「・・・あれ?〜?」

「・・・何?」


が朝っぱらからじろじろとあたしをなめまわすように見る。
あたしは後ずさりしながら下駄箱で靴を履き替えた。



「なんか、変わったんじゃない?」

「え、そ、そうかなぁー」

「目が泳いでるよ。ははぁ〜ん・・・幼馴染と、なんかあったね。」



するどい目があたしの心を射抜く。
もし頭の上に心の中が浮かび上がっていたらきっと図星って文字が一番適しているだろう。



「・・・わ・・・わかります?姉さん・・・。」

トントンとつま先を廊下につけて上履きをはく。
は下駄箱にもたれて「ふ〜ん」と不適な笑みであたしを見た。


「っていうか、あたしじゃなくてもわかると思う。ってかはわかりやすすぎだよ。舞の海の解説ぐらいわかりやすいよ。」

「それどんな反応していいかわかんないから!っていうかそれわかりやすいの!?」

「まーいいじゃん。というか・・・その様子からみたら・・・・OKだったってこと?」

「う、うん・・・。」

おかげさまで・・・と控えめにあたしが言うとはニッと笑ってあたしにピースを突き出す。

「よかったじゃん!おめでと!」

「・・・うん!ありがとう!!」

あたしもその笑顔につられて笑ってピースを返す。











あたしの日常はちょっと変わった。

なんていうか、今までは色で言えば青色だった。

でも今はどちらかといえば桃色?

あの後隆也の家に行ってご飯食べて、二人でゆっくりして、

おばさんが帰ってきて、あたしも自分の家に帰ってその後お風呂にゆっくりつかって、

ぬれた髪を乾かすのも忘れて自分の部屋のふとんに飛び込む。
きっと生まれてきて一番だらしない顔をしていたんじゃないかと思う。



あたし、隆也の彼女になったんだ。


隆也はあたしの彼氏になったんだ。


もう、ただの幼馴染じゃない。





「ぐふふふふー」

「そーか、そんなにこの授業が楽しいのかは。」

「・・・・え?」

「じゃーもちろんこの16ページの練習問題も解けたんだろうな?」


でましたツルピカはげ丸国務長官。(数学の先生のあだ名)


「・・・・もちろんです!」

「よし、いい返事だ!意外は終わってよし!は私と一緒に職員室まで来るように!」





やっぱな。
こうなると思った・・・・。
あたしの日常は色は代わりはしたものの、根本的なところは変わってないらしい。


「・・・・はぁ・・・・やっとか・・・・。」


説教させられ(最終的に今時の若者の恋愛観について語られた)
ぐったりと疲れきって鞄のある教室へと戻る。



教室のドアを開ければが椅子に浅く座ってヒラヒラと手を振っていた。



〜!!!」

「お帰りおバカちゃん。」

「うわーーーん!!めっちゃ長くてウザくてなんかくさかったよー!!」

「うんうん。お疲れ様。」


ぽんぽんとあたしの頭をなでてくれるの手。
頭をなでられるのってなんだからすごく安心する。
心地よくてその人の体温があたしの心、体に流れ込んでくるみたい。





「・・・、顔赤いぞよー?」

「ぇえ!?うそ!?」

「・・・・・・彼氏か?」



うわ。なんでわかるんですかさん。


思い出しちゃった。

隆也の大きな手。

あたしの頭をつつむみたいに、
あたしの体をつつみこむみたいに、

大きな男の手。
ちょっとゴツゴツしてるけど綺麗な手。
あたしに安心できる場所を与えてくれる不思議な手。
大好きな、手。




「・・・!マジごめん!!」

「え?」

「ニヤニヤしないで!!ホントに気持ち悪いって。」

「・・・・・あやまんなよ・・・。」

「アハ。あ、携帯鳴ってない?」

「え?あ、ホントだ・・・」


全然気づかなかった。
バイブってたまに全然なってないじゃん!って思うことがある。
あたしはカーディガンのポケットから急いで携帯を取り出してディスプレイも見ずに急いで通話ボタンを押した。


「もしもしー」と言い終わる前に聞こえてきた低い声。


「・・・テメェーなんでメール返さねーんだよ・・・・。」

「・・・その声は隆也君?」

「つーか今何処いんの?」

「いや、会話になってない。」

「今すぐ俺の家集合。」

「ちょ!おいコラ!!」


文句を言う前に切られてしまった。
眉をしかめながら待ちうけを見て見れば新着メール3通と表示されている。
あたしは急いでメールボックスを開いて確認すると三通とも隆也からのメールだった。

一通目は

今日何時に学校おわんの?

とシンプルに用件だけのメールが最後の授業が終わる直前に来ていて、

二通目は

おい、

とまたまた隆也らしいシンプルなメール。

そして三通目は

シカトしてんじゃねーぞ、おいコラ。

とかなりご立腹とも取れるメールが・・・・・。




「・・・?」

「ごめん!あたしちょ」

「うん!急いで駅むかおっか!」

「うん!!」



すべてを理解した様子ではあたしの鞄を机からとってあたしに渡す。
さすがマイフレンド。持つべきものはさんです。はい。



あたし達はいつもより大またの早足でアスファルトの道を歩く。
心なしか足が軽い。目もさえてる気がする。

なんか変なの。

ホントつい最近まではただの幼馴染だったはずなのに。

こんな気持ちをもったのは生まれて初めてで、

正直戸惑ったけど、

嫌いじゃなかった。


メール返さないだけであんな怒ってんのかな?
それともなんかあたししたのかなぁ?
それとも隆也がなんかあったのかな?


早く会いたいな。
今日あった(っていうかあのクソ教師の)事を話そう。
あとはの体育の時間に見せてくれた必殺魔球の話とか!
色々話したい。



あたしははやる気持ちを抑えながらも




隆也の家へと足を急がせた。




















「・・・・・・・。」




見慣れているはずの隆也の家なのに、

どこか新鮮なのもきっと世界が淡い桃色になったからだろうか?





「こんばんは〜」



ゆっくりと玄関の扉を押すとそこには人影が




「・・・・おせえ。」



あたしを出迎えてくれた。
玄関に大きく足を開いて突っかけサンダルを履いている。
頭は下を向いていて表情はわからないけど、
きっと隆也の事だからなぁ・・・・。



深呼吸をひとつ。


あたしはゆっくりと隆也の横に腰掛ける。




「隆也・・・・こんな玄関で何してんの。犬?あの玄関のタイル冷たくて気持ちいてきなアレ?」

「テメェー他に言うことねーのかよ。」


不機嫌そうな声(おせえの時点で薄々は感ずいてたけど・・・)
あたしはちょっと隆也から視線を外した。


「えっと、遅くなってごめんなさいー。」

「ったくよー、こんなんじゃ携帯もってたって何の意味もねーじゃねーか・・・。おっさんか!」


舌打ちをした後のため息交じりの声には苛立ちを感じさせる。
隆也らしい、なんて思ったけど言ったらたぶん殴られるからやめておこう。


「だって、しょうがないじゃんかー!!!先生に捕まってて携帯なんて確認する余裕なかったんだよ!!」


あたしも一応身振り手振りで言い訳をしてみるも、隆也の眉間のしわは取れる気配はなかった。


「・・・日ごろもメール返信めちゃめちゃおせーくせによく言うよな・・・。」



・・・・痛いところつきますね。隆也さん。



「それは否めないよ!!!」

「堂々と言うな!!」


スパーーンと隆也のツッコミが入って大きなため息をつく。
あたしが「ため息つくと幸せ逃げるんだぜ!」って言ったら「誰のせいだと思ってんだ。」とあきれたように言われた。



「で、急にどーしたの?なんか急ぎのようなんでしょ?」

「あ?あー明日。」


隆也はあたしから目をそらして言う。


「明日?」

「ああ、明日空いてるか?」

「・・・・空いて・・・・ないかな。」

「なんかあんの?」

「世界アザムヒムコッパニーラ議会っていう会議があるから。」

「おう、ようは暇って事だな。」

「うん。」

「明日、練習試合あんだよ。」

「へーそうなんだ!頑張って!!」

あっさりそう返したら隆也の目は悪鬼のごとく怒りをむき出しにしてあたしを見ていた。
「え、な、なんです・・・か?」と後ずさりしながら言うと両頬を思いっきりつねられる。(上に持ち上げて半ひねりのテクニックで)


「・・・・・お前はよぉおーーーー!!!!」


この口か!!といわんばかりにぐにぐにと掴まれた。


「いひゃいいひゃいいひゃいいいいーーーー!!!!」

「見に来いよ!!」

「い、いひまふ!いふぁせてもらいまふ!!!」


必死になってうんうんと上下に首を千切れんばかりにふると、ぱっと手を離して今度はあたしの頬を手のひらで挟むみたいに押さえる。
きっと視線を外させないため。(あたしすぐ下向いたり上向いたりするから。)


「う、わぁ・・・・」




まっすぐ過ぎる隆也の目。

正直ちょっとびっくりした。

隆也の頬が、
耳が、

赤く染まってて



むうとまだしかめっ面なのは確かだけど



照れてるように見えた。






「た、隆也・・・・?」


徐々に隆也の顔が近づいてくる。

ゆっくり目を閉じながら、


隆也の熱を感じる距離。

鼻と鼻がふれあって、




最後に唇がほんのちょっとだけ、

ちょっとだけ触れた。

それだけなのにすごくあつくて、


すごくドキドキする。







「・・・明日・・・・余所見してんなよ。」







うぜー。


なんて俺様な奴。

こんなキモイ奴、


隆也じゃなかったら好きにならないと


心から思った。





「・・・・あたしは男前しか目で終えない体質なんでね。いいとこみせろよ。」

「なめんな。」

「うん。」

「とりあえず明日また連絡すっから。」


そういって隆也はすっと立ち上がる。
あたしも一緒に立ち上がった。


「・・・・え、じゃーこれメールでよかったんじゃね?」

「あ?まーな。」

「いやいやいやいや!なんだよ!!急ぎのようかと思ってすっ飛ばしてきたのに!!」

「・・・いいじゃん別に。」


は?何怒ってんの?といわんばかりの表情にあたしはじだんだを踏む。
玄関にローファーがパンバンとあたって結構な大きさの音がなった。

「コラァアアア!!!いいわけあるかボケェ!あたしは今日ホントはとゆっくりだべる予定だったのに!!」

「はぁー?そんなん、いつでもできんだろぉー!?」

「そんなことないって!バイトで忙しいもん!」

「俺だって色々忙しいんだよ!!」

「別に帰ってきたら会えるじゃん!!」

あたしのこの言葉に隆也は目を見開く。
それと同時にさっき以上に眉間のしわがこくなった。
ハァーとまたため息をつくと右手で口元を覆う。


「・・・お前まさか、夜とか俺の部屋にこれるなんて思ってねーだろーな・・・・?」

「は?家近いんだからそーゆーのって特権じゃね?」


けろっとあたしが言うと隆也の真っ黒な髪の毛が逆立った。


「ばっ!!!ふざけんじゃねーぞ!!」

「は!?オラふざけてなんかねーぞ!」

「んだよ、そのどっかの銀河一強い主人公みてぇーなしゃべり方はよぉおおおーーー!!!」

「なんでよーなんかダメなのかさー!!」




「俺はもうただの幼馴染じゃねーんだぞ。」





あらためて言われると照るな。

真剣な隆也の目にあたしも真剣に頷いた。



「わかってるよ。」


「・・・・・お前、襲うからな。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「別にこっちは来てもらってもかまわねーんだけど?」


くっくっくとまるでゲームのボスキャラみたいに黒い笑みを浮かべながらあたしを追い詰めるみたいに見る。


ぶっちゃけこれ深夜にやるバイオハザードとかよりはるかに怖いと思う。



「・・・・あ、アハハハハ、アハハハ。」


「だから俺の呼び出しにはすぐ応対すること。」

「アイアイサッ!!!」

「ん、いってよし。」

「アイアイサッ!!」

。」

「ん?」




呼び止められて振り返れば
どこか穏やかな表情の隆也が後ろ髪あたりを掻きながらあたしを見る。




「・・・また明日。」







「うん。また!明日頑張ってね。」








「おぉ。」






にぃーっと笑ってみせたら「変な顔」とつぶやかれた。












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・・・・はい、というわけで第二部突入です。
なんかちょ・・・なにこれ?誰?あんたら誰!?って思いました。なんだこのヒロインのかわりっぷりは!阿部の気持ち悪さといい!!!なんなんだよぉおおーーーーー!!!!
これからちょこちょこ修正していければ・・・いいなと思っております。
あ、ちなみにというかなんというかなんですけど、これは原作沿いではございませんのでその辺をご理解いただけてうえで読んでいただければ幸いです。
これからどーなるのか私自身わかりませんが・・・こんな連載をどーぞよろしくお願いいたします!!!

ここまでよんでくださって本当にありがとうございました!!!