おいおいおいおい



ちょっと待て。




疲れた体に鞭打ってわざわざ全力疾走してきた俺にまるで電気が流れるみたいに
衝撃がはしった。







「栄口君かっこよかったよ!」





エコーがかかったみたいに何度も何度も俺の頭の中で響き渡る。




だいたいなんで栄口が一緒にいんだよ・・・!?






つーかは試合見に来たんじゃねーのか?






なんでこんな校舎裏で、しかも二人でいんだ・・・?




しかもなんか渡してるし。






なんかムカつく。









俺は込み上げる怒りを抑えられずにいた。

ぐいぐいとの腕を引いて歩く。
も戸惑いながらも俺についてきた。











「・・・たか・・・や君?」

「あ?」

「な、何怒ってんですか?」

「別に。」

「別にって・・・なんか怒ってんじゃん。」

「怒ってるけど?」

「やっぱり。なんで・・・?」

「・・・当ててみろよ」

「無理だよ」

「じゃー一生わかんねーままだな。」

「なっ!!なんなの!?あんたの口はそーやって意地悪いうためについとんのかいコラァ!!」


は俺の手を振り払って立ち止まった。
眉間に軽くシワを寄せていつものように口を尖らせる。
しかもふざけて「隆也のマネー」とかいってさっきよりも眉間にシワを寄せて目のあたりを指で下げる。
その姿を見たら余計にムカついた。でも悔しいけど憎めないと思った。
俺はため息をひとつついてゆっくり歩く。
もちろん黙っての手をとって。
も自然を俺の手を握った。


しばらくの沈黙。
風が頬をなでるように吹いて目を細める。
ゆっくりと深呼吸して気持ちを落ち着かせて、俺は独り言のようにつぶやいた。





「栄口君かっこよかったよ、ね・・・・。」

「はあ?」

「別に。」

「・・・隆也・・・?」

「・・・だから来させたくなかったのによぉ・・・」



鈍感というかただのバカというか騒ぎたがりやというか・・・、
人の気持ちを汲み取れないコイツを好きになった俺が悪いのか、
無意識に人を夢中にさせる、人に好かれやすいのはの長所だと思う。
でもそれはときには俺にとって最悪な短所になる。
がどうとかこうとかじゃなくて、誰かがをってパターンだってある(かもしれない・・・・)
それが怖い。
俺はずっと何年間もこの時を願ってた。諦めようとも何度も思った。
だから絶対手放したくない。
ちょっとの事でもめちゃくちゃ不安で怖くなる。
・・・・・我ながら女々しい・・・・。
なさけないから絶対にには言わない。つーかいえねぇ。



「いだだだだだーーーー!!!」

「あ、わり。」


無意識にも握っていた手の力を強めてしまっていた。
の色気のない声でいったん頭をリセットする。



「・・・力強くなったね。」

「そーか?別に普通だろ。」

「えー昔はあたしなんかよりも弱かったのに。」

「アレはわざと負けてやってたんだよ。」

「えぇー!!あんな小さい頃から捕手!?何!?なんなのその人を立たせてやろう精神は!!」

「優しいだろ?」

「・・・目が怖いって。」


は少し笑った後、改まって話を切り出した。



「栄口君かっこよかったよ。」

「あ?」



こいつわざとか?なんで改まってわざわざそんなこと言うんだよ。
俺をイラつかせたいわけ?
イライラしながらも手はそのままで振り返ると、
そわそわしながらがきょろきょろしていた。




「・・・・た、隆也君の次に・・・・・。」

「・・・・・・!!!!」





心臓が止まるかと思った。
がこんな、
こんな女みたいな、(いや女なんだけど)
俺は少し俯いて空いてるほうの手で顔を押さえる。
今、このままコイツを見てたら、思いっきり抱きしめて、この場でキスして。
とにかく落ち着け、落ち着け俺。


俺の様子には二マリと怪しく笑う。





「隆也君?」

「・・・・・。」

「隆也くぅーん・・・?」

「隆也君っていうな。」

「・・・照れてるね?隆也くん。」

「うるせ。」

「まったくもーかわいいんだからぁん!」

「さわんな!きもちわりぃな!!」

「ひどい!仮にも彼女なのに!!」

「あーもーうるせーうるせーうるせーうるせーうーるーせー!!」

「なんでもうそんな・・・・・・・。」





が黙ったのは、

俺がつないでた手を一瞬離して、
指を絡めて(いわゆる恋人つなぎってやつ)手を握りなおしたから。






「赤面症?」

「うるさぁーい!!」

「・・・はいはい。」

「・・・・・。」

「栄口に何渡してたんだよ。」

「タオルー。」

「は!?」

「ちょっと借りたんだよね。前に。返せる機会なかなかなくってさー」

「・・・ったく。俺に渡せば早く済む話だったんじゃねーの?」

「ん、ちょっと・・・お礼もいいたかったし。」

「・・・ふーん。どうせ忘れてただけだろ。」

「お!お兄さんよくわかったね!」

「そんなこったろーと思った。」



内心ホッとしたけど。






それはまたコイツが調子のってめんどくせーことになるから絶対に言わない。





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第三話!!くだらない二人の掛け合いとか居れないとめちゃめちゃ短くなっちゃうってことがよくわかりました。
ホント相変わらずの文才のなさに涙が出てきます。
とりあえずここで手をつなぐ段階ですね。恋人つなぎってやつですね。
まぁA終了ってことですよね。はい。
でも先Bしてるってことは・・・・残りはCってことですよね・・・・。
いやなんでもないですよ。なんでもないです。なんかすいません、ホントに。


ここまでよんでくださって本当にありがとうございました!!