フリーズ


凍る





あたしの頭はまさに凍っていた。


だって、

ちょっと・・・・・はやすぎるんじゃない?






「・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」



二人の間にきまづい沈黙が流れていた。

だって、
だってだって!!
ちょ・・・・・。

あたしだってただの餓鬼じゃない。
隆也の言ってる「したい」の意味だってちゃんとわかるぐらい成長している。
だからこそ、

安易な返答は出来なかった。



「・・・・・・わり。」


先に沈黙をやぶったのは隆也のほうだった。
頭をかきながら申し訳なさそうに俯く。
あたしもどうしていいのかわからなくてあたふたするだけだった。


こんなときなんと返答したらいいんだろう?
たりない頭をこれでもかとしぼりにしぼって言葉を捜した。



「あ、あのね」

「あ?」

「い、いや、じゃない!!いやじゃないんだけど・・・・」

「・・・・無理すんな。」

「・・・・・。」


隆也の切なそうな、申し訳なさそうな表情と一言にまた言葉が詰まる。
彼は「んじゃ。」と片手を挙げてからから自転車をだまって自分の家のほうへと向けて歩いていった。

あたしはただ止めることも出来ずにそれを見送る。
何もいえなかった。





それから何日かして、

あたし達はほとんど会うことなく、メールだけのやり取りを重ねていた。

絶対に、

あの日のせいだ。
あの日あたしが、断ったから。
断ったから・・・・。










「ぇええーーー!!!阿部からエッチしようって言われたの!?」

「うぉおおおおーーーい!!!声オッキイよ!!おっきい!!バカ!」

が手に持っていたミルクティーを握りつぶしそうになるぐらいこぶしに力を込めて叫んだ。
あたしもびっくりして席を立つ。


「・・・・ちょ・・・あんたらいったいいつの間にそんな進展してんのよ。」

「してませんよ。」

「やることやっといて何いってんだか・・・。」

「やってないから!」

「ぇえ?ちょ・・・どーゆー事?」

「いや、断っちゃったんです。」


その言葉の後、あたしはこれまでの出来事をにすべて話した。
それには黙って頷く。
すべて話し終えるとさすがのも少し驚いたのか長いため息をついた。


「うーん・・・なるほどね・・・。まぁ急でびっくりしたのね。」

「うん・・・・。」

「まぁでも、そっちの方が良かったと思うよ?」

意外な言葉にあたしは口をすぼめた。


「なんで?」


は校庭のうるささに横目を向けながらも穏やかな口調で話し出す。


「阿部だって同じ気持ちで重なりたいんだと思うから。無理にしたって全然本望じゃないって事。」

「・・・・そうなのかなぁ・・・。」


あたしもボーっと校庭に目を移すと男子が楽しそうにサッカーをしている。


「多分そうだと思うよ?阿部あんたの事めっちゃ大事にしてるみたいだしね。」


「ぇえ!?そんなことないって!ついこの間まではヘッドロックかけられてたんだから!!!」

「・・・・そーゆー意味じゃなくて。」

「じゃーどーゆー意味さー!!」


あたしが興奮気味に身をのりだしてを見ると軽く頭をはたかれて、またため息をつかれた。


「手放す気がないってこと。」




の一言に体中の毛がぞわっと立ち上がる。


隆也が、あたしを大切に思ってくれてる。

隆也があたしを


本気で好き。

考えただけで、胸がいっぱいになった。





「・・・・・・・・・」

「ん?」

「ありがと。」

「・・・コーヒー牛乳5本でいいよ!」

「どんよく!!!」


笑い話でしめたものの毎度には世話になってる。
今度ちゃんとお礼しよう、
そう思いながらお昼を済ませた。


退屈な数学が始まる5分前ぐらいからずっと考えていた。

あたしと隆也の

体の事。

普段はふざけてバカな下ネタばっかり言ってたけど、
今は真剣に考えてる。


正直怖い。
でも隆也は好きで、
隆也の気持ちにも答えたくて、
決していやなわけじゃない
でもうんと頷くにはまだ時間が欲しくて。
今こうやってギクシャクしてるのが自分の思っている以上にダメージが大きくて。
自分がどれだけ隆也がすきなのかよくわかった。

本当にあたしは変わった。



違う。

隆也のおかげで変われた。


隆也が好きだからこそ、
このままあいまいにしていてはいけないと思った。


ちゃんと話し合わなきゃだめだ。


あたしは決意を固めて携帯を握り締める。



親指を携帯のボタンの上で滑らせる。

最後に送信ボタンを押した。





『今日、会って話したい。』





5分もしないうちにポケットでバイブがなって、


『わかった。』


と短い本文にあたしはゆっくり目を通して携帯をもう一度強く握り締めた。


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はい!だい5話目ということで。
うん。どーしたい!?どーしたいんだお前は!!!もうホントこんな連載を楽しみに待ってくださっていた方に申し訳ないです・・・。
阿部全然出てこないし・・・・ホントすいません。っていうか私尋常じゃなく誤字脱字が多くって申し訳ないです。
っていうか生まれてきてすいません(十八番)


とにかくここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!