オレはとんでもないことをしたかもしれない。




さっきから変な汗がとまる気配なく流れ続けている。




携帯を握り締める自分の手を見た。






話ってなんだ?




別れ話?


いや、に限ってそんなことがあるわけがない。
そんなことで別れたいだなんていうはずがない。
だけど、今まで普通の幼馴染だと思ってたやつと裸で向き合えるか?
しかもこんなすぐ。
もしかしたら呆れられたかもしれない。
もしかしたらオレを変な目で見るかもしれない。

頭の中は不安でいっぱいだった。
授業なんて身にはいるわけがない。



今までこんなとき恋人同士だったら押し倒してそのまま・・・


だなんていうシチュエーションは腐るほどあった。
そのたびぐっとこらえて、理性を保ってきたつもりだ。
を手に入れたと思って気が緩んだ?
ちがう。
好きだからこそ、
わかって欲しかった。
隠したくなんてなかった。
それだけだ・・・・・・・・。




自分を落ち着かせる。
部活に影響があってはいけない。
自分の事はチームとは関係ない。
落ち着けオレ。
落ち着け・・・・・。





そう思い続けて授業が終わるのをじっと待った。


















「あ、阿部君!」

「あ?」

「・・・あ、あの、えと・・・・」


部活の始まる少し前。
部室で練習着に着替えている途中、三橋に声をかけられる。
はっきりしない三橋に少しイラついた(まぁいつものことなんだけど。)


「なんだよ。」

「そ、その・・・・な、なにか・・・あ、あったのかなって・・・」





目を見開いて三橋を見た。
三橋はビクッと肩を震わせて「ごごごごごめんなさぃいい!!!」と目をそらす。



正直びびった。
自分では顔に出していたつもりも態度で出していたつもりもなかった。
オレってそんなわかりやすいのか?
それとも三橋が敏感なだけなのか?
理由はわからないけど、コイツがオレを気にしているのだけはよくわかった。




「あー・・・ちょっとな、わりぃ。なんでもねーから。ありがとな。」

「う、うん・・・む、無理しない、でね。」

「サンキュ。」


ぽんと三橋の頭を叩いてやる。
またびくついたけど、今度は顔は少し笑っているように見えた。
少し、救われたような、安心したような、そんな気持ちになれた。




練習はもちろんいつもどおりこなす。
(というかぶっちゃけた話、別の事を考える余裕がないぐらいにきつい。)



だけど、部活が終わる時間が近づけば近づくほど時計を確認する回数が増えた。
プレーも少しずつ雑になる。(疲れてるのもあるけど)



集合して、練習が終わりを告げる瞬間


オレの心がどっと重くなる。




部室でワイシャツをはおうが、なかなかボタンが止まらない。
自分でもおかしいのがよくわかった。







「阿部。」





そんな時、後ろから声をかけてきたのは栄口だった。


「・・・・んだよ。」







まずい。





今、一番話したくない。
特に栄口とは。


あの試合の日の事がフラッシュバックする。


と二人、

後者裏に居た。





『栄口君かっこよかったよ。』









もし、
がオレと付き合ってなかったら、


きっと栄口みたいな奴を好きになると思う。

優しくて、気が利いて、よく笑う。




は恋とか恋愛とか彼氏とかあまり気にしてないと思ってた。
だから付き合おうといってくれたとき、
死ぬほど嬉しかった自分が居た。


でもそれってオレの勝手な想像なんじゃないか?


は別に一度だって男になんて興味ないなんていったことあるか?



オレが一方的にそういう話を避けてただけなんじゃないのか?



もし、




オレに嫌気がさして、





別れたとしたら、




次可能性がありそうなのは





「阿部ってば!!!!」

「えっ。」




栄口の大きな声によって現実に戻された。



「どーかしたの?」

「・・・いや、別に。ボーっとしてた。」

「・・・・・さんのこと?」

「はぁ?・・・・なんでだよ。」


一瞬動揺した。でもすぐ冷静を装う。

「いや、なんとなくだけど。」



こいつ、するどいな。



オレはため息をついた後、また黙ってワイシャツのボタンをとめる。



「なんでもねーよ。」

「・・・・そう。」






なんとなく、栄口には言いたくなった。
オレはシャツのボタンを全部とめおえて、身支度をすませたあと、

暗いグラウンドをゆっくりとふみしめて歩く。
一歩一歩。
に近づいていく。










そのとき、



まさかがあんなコトを言うだなんて



そのときのオレには考える余裕はなかった。







暗い空には
少なからず星がてんてんとしている。


オレを見下しているように。




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阿部視点。
やっぱりキャラ視点は苦手です。なんというか・・・・誰だこいつ・・・ってなりますね。
ごごごめんなさいぃいいーーー!!!でも一応はさんでおかないと・・・・!
とりあえずキャラ視点も頑張って勉強していく予定なのでどうか大目にみてやってください!!!




ここまで読んでくださってありがとうございました!!!!