いやいやいやいや。
ちょ・・・・ねぇ?
これは何かのまちがいですよね。
っていうか偶然が重なりすぎでしょ?
こんな漫画みたいな展開あたしは望んじゃいないから。
もっと平凡で当たり前でいいんだって。
相手が隆也なだけであとは普通でいいんだって。
こんな正念場いらないって。
いいよ。この際許すから。
朝青龍が嘘ついてサッカーやってても許すから。
小学生を横目に遊戯王カードを大人買いする36歳独身も許すから。
だからお願い。
目の前の事が事実じゃなくて、現実じゃなくて夢であってください。
「さん!!」
「えぇ!?」
我に返ったあたしは栄口君と目を合わせ、一瞬のうちに自分達が今しなくてはいけないことを察知する。
二人でバッとガラスがわから顔を背ける。
この状態を向こうに知られてはいけない!!!
二人の頭のなかはぴしゃりと意見が一致していた。
だってアレでしょ!?向こうから見たらこれは明らかにアレなわけだし、なんか栄口君顔青いし、あたしも無駄な争いは避けたいし(まぁ話せばわかってくれるだろうけど)
何より二人はチームメイトなんだからこんな事でてんやわんやになりたくない!!!!!
あたし達は気持ち悪い汗を流しながら時が流れるのを待った。
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・いったみたい・・・・・。」
栄口君がそろりとおそるおそる顔を上げる。
あたしもその言葉にゆっくりと二人の後姿を確認した。
「・・・・・いや、なんていうか・・・・うん。」
「あれだよね・・・アハハハ・・・・。」
「まー・・・基本的にはあれだよね。うん。アハハハ」
「あ、はははははは」
「はは、はははは・・・・・・・・・」
二人して意味のわからない笑いが生まれた。
主語ないし、汗がとにかく尋常じゃない。
消費したのはヒットポイントと言うよりはどちらかといえばマジックポイントみたいな感じ。
「・・・・・・か、かわいかったよね、アノ子・・・・・」
「あー・・・あの人阿部のクラスの子だと思う。」
その言葉に胸がちくりと音を立てて痛んだ。
かわいかったし感じよさそうだし、かわいかったなぁ・・・・
まぁ人はみかけじゃわからないからとにかくかわいかったとしかいえない。
しかも隆也があんな顔して話してるなんて思うときっといい子に違いない。
隆也は昔から無駄に五月蝿い女とかいいよってくるぶりっこ女とか、
そういうのにはすこぶる冷たかった。
だからよくわかる。
彼女が綺麗なのは多分ルックスだけじゃない。
「やっぱり、クラスの子か・・・・・・・・・・。」
「うん。多分。」
「・・・・彼女かなぁ・・・・」
ぽつりともらした言葉に時間差で栄口君の目が飛び出すぐらいにひん剥いた。
「いやいやいや!ちょ、さん!!」
「え!?」
「阿部の彼女はさんでしょ!?」
「・・・それはどうかな・・・?」
「なにその表情!!中途半端な視聴率のクイズ番組司会者みたいなリアクションして!!!しっかりしっかり!!」
「う、うん・・・・」
栄口君こんなときでもツッコミが切れててすごいな・・・・。
「で、でも二人で何してんだろーね。」
「ほ、ほら!たまたま会ったとかさ!もしくは普通に友達として買い物とか・・・・他のみんなと合流するとか!!」
「隆也って基本女の子とそうそう買い物とか行ったりする性格じゃないよね。つーかあいつ基本的には冷たいっつーかとっつきにくいから・・・人と行動すんのも得意ではない方だし・・・・・しかも相手が・・・・」
「・・・・・・・・・・。」
「・・・・・前、隆也に告白してるんだよね。隆也の事好きだったんだよね。っていうか今でも好きなんじゃないかなっていうか多分好きだよね。そしてかなりかわいいよね。」
「・・・・・・さん・・・・・。」
フォローしていた栄口君の表情がどんどん曇っていく。
「やっぱ隆也は違うなぁ。もてるレベルが違うよ〜なんであたしなんかと付き合ったんだろうね。ギャグ?」
「ありえるよね」とふざけて笑って見せたのに。
栄口君は信じられないぐらい穏やかな顔であたしを見ていて
見透かされてるみたいだった。
「俺はさん好きだけどなぁ。」
「ぇえ!?」
ちょ、それどーゆー意味!!!?と胸を高鳴らせて聞くまもなく「いや、そーゆー意味じゃなくてさ!」と付け加えられた。
「あ、あぁ・・・そう・・・・」
あたらしい展開は特になしすか。(求めてないくせに期待してみたり)
「なんていうか・・・・・一生懸命でさ、阿部の事すごいちゃんと考えてて・・・・さんは俺の事いい人、とか優しい人とか言ってくれるけど全然そんなんじゃないよ。」
「・・・栄口君・・・・・?」
「そんなさんがほっとけないっつーか、まぁようは好きだから力になりたいし相談にだってできるだけのってあげたいって思うわけ。」
「・・・・・・!!」
「だから、とりあえず落ち着いて、ね?自虐に走らないで。」
そういって彼は笑った。
その笑顔を見た瞬間、心のイライラとかもやもやとか、いっきにすっ飛んで自然とあたしも笑顔になっていた。
「うん!ありがとう!!あたしも栄口君好き!!!」
「あ、あはは、ありがとう」
苦笑いしてみせる栄口君にあたしも笑って見せた。
とりあえず日が暮れるまであたしと栄口君は二人でおしゃべりを満喫した。
忘れたかった
何も見なかったことにしたかった。
それを察してくれたのか栄口君はこのあとその事には一切触れなかった。
多分彼なりの優しさなんだと思う。
あたし的にもそっちの方がよかったし、助かった。
帰り道、最後の最後まで「送っていこうか?」といい続けてくれた栄口君とわかれて歩きなれた道をひとり歩いた。
もう真っ暗で、古臭い外灯がちかちかと点滅している。
人は誰も歩いていない。
まぁ住宅街だし無理も無いか・・・・なんて事を考えていたら
「ちょっと」
と声をかけられた。
「へっ?」
と声が聞こえた前方に視線を移せば真っ黒な長いコートを身にまとった無精ひげの男。
気持ちが悪いぐらいにのびた前髪は脂汗でおでこにぴったりくっついている。
あたしが顔をしかめるとにたっと笑ってコートをバッと開く。
「・・・・・・・・・・・・・!!!」
そこには下半身をあらわにしたやせ細った体があった。
これが噂の通り魔ですかぁあああああああああーーーーーーー!!!!
・・・・ん?いや違う。
通り魔はあれだよ、刃物とかでグサッってやってくるやつでしょ?
ほらなんていうんだっけ、こーゆー奴。
えーっと、もーこんな時に限って度忘れー?
ちょ・・・・ほら、あれ、裸族じゃなくて裸の王様じゃなくって変態じゃなくって・・・・いや、変態でも間違ってはいないと思うけど
チンコマンじゃなくって・・・・つーかそんなヒーローヤダよ!何スーパーマンみたいな感じでいってんの!!
あーーーえーーーっと宗教改革・・・じゃなくって・・・あ、でもなんか近づいた!?
ほら・・・・あーもう喉のところまででかかってるんだけどなぁ・・・・
ほらーーーーえーっと・・・・
「露出教だ!!!!!!」
すっきりした気分とは裏腹男はイライラした様子であたしを見ている。
じっと濁っためで見つめられて気持ちいわけないっつーの。
とりあえずどうしよう・・・・・
あたしの家はすぐそこなのだけれども、
男が道の真ん中であたしの道をふさいでいるわけで・・・・・
かといって背中を向けて逃げるのも怖いし、なんとなくしゃくだし。
大きな声も出したくない。
何されるかわかったもんじゃないしね。
うーん・・・・
・・・・・・っというか・・・・・
ふと気づいたことがある。
あたしは来月、このものを、
隆也のものをこうやって見ることになるんだ・・・・・・・・・
うわ!あたしなにこんなときにのんきなコトを・・・・・
でも、よくわかんないし、こんな機会めったにないし・・・見学させてもらおう。
あたしはそのぶつをまじまじと見つめてなんどもその男の顔と見比べた。
「・・・・っ!!」
男も少し動揺しているように思えたが、もうぶっちゃけそんなことはどうでもよくてあたしの頭の中はすっかり来月の事でいっぱいになっていた。
「・・・・・えー・・・うーん・・・・あのすいません。」
「っ!!」
あたしの急な問いかけに男が肩をビクリと震わす。
「これって・・・・普通サイズなんですか?」
「・・・・はぁ・・・・?」
「いや、ホラ、色々サイズがあるじゃないですか、あ、でもどうだろ・・・小さい方なのかなぁ・・・・」
あたしの最後の一言がそうとうきいたんだろう、男はなみだ目で走って闇の中へと消えてしまった。
き、傷つけたかなぁ・・・・・・・・・・・
少しだけ気になったけど、一瞬にしてどうでもよくなって、あっさり帰宅した。
ないすポジティブシンキング☆
「ただいまぁー・・・・・」
重たいドアを開けると母がひょこりと顔を出して迎えてくれた。
「あ、おかえり、あんたずいぶんおそかったわねぇ・・・・。あのねさっき」
「あーごめん。今ちょっと頭使って疲れてるから後にしてー・・・・・・・・・・・・」
そうだらだら言い残して母の話も聞かず、あたしは自分の部屋のドアを開けた。
「遅い。」
「しょうがないじゃーん。さっきそこで変な男が・・・・」
「変な男!?」
「そうそう、なんかいきなり・・・・・・・・って」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ワッツ?
そこには聞きなれた声がした。
だけどここでは聞こえるはずの無い声。
思わず耳を疑ったが・・・・
もうひとつの五感である目にはしっかりとその姿を映していた。
「おい!変な男に絡まれたのか!?なんかされたのか!?」
「・・・・隆也?」
そこにははっきりと隆也が見えた。
っていうかいた。
いや、なんで!?
そう問いかける暇もなく、隆也はすごい形相であたしに向かってくる。
「おいコラ!!聞いてんだよ!!」
「いや、むしろこっちが聞きたいんですけど。なんであたしの部屋にいるんでしょうか?」
「あ?さっきおばさんに言われなかった?」
「・・・・・・右から左に受け流した。」
あれか。
母さん・・・・隆也が来てるっていいたかったのね。
今更になって聞いておけばよかったと心から思った。
「んなことより変な男ってなんだよ!!!なんかされたのか!?」
「い、いや、ななんもされてはないけど・・・・全裸姿を見せられた・・・・。」
「はぁ!?」
「でも大丈夫。なんか泣きながら立ち去ってくれたから。」
「はぁああーーー!!!?」
「いやーこれがホントの初体験☆なんつってね!」
「テメー・・・・いい加減にしろよ!?あんま遅くまでほっつき歩いてっからこんなことになんだよ!テメェーはよぉ!!!」
「いいじゃん別に。なんもなかったわけだし!結果オーライじゃん!あ、ああははははは・・・・・・・わぁ!!!」
隆也のしかめっつらが見えなくなったと思ったら。
それと同時にぬくもりを感じた。
あたしはいつの間にか隆也の腕の中に居たらしい。
急なことで胸がドキドキして、
きっと隆也にも聞こえてるんだろうななんてかわいらしいことを思う反面、
今日の街での出来ごとが頭を掠めるようにしてフラッシュバックした。
だけど、この力強い腕の中ではどうすることも出来ないし、
悔しいけどホッとしてしまう自分が居て考えることすら諦めた。
「・・・・心配させんな・・・・・。」
あの時みたいな隆也の弱弱しい声。
あたしが熱で倒れた日。
付き合う前のことだっけ。
その時と同じ声で隆也が言った。
その時あたしは自分がなんてのんきなコトを抜かして、どれだけこの男に心配をかけて、
どれだけこの男が自分を思っていたかを感じた気がした。
「・・・・・ごめん。」
小さい声で謝ると
「これから遅くなるときは連絡しろよ?」
と今度は優しい声があたしの鼓膜を振動させる。
黙って頷けばさっきよりも力強く抱きしめてくれる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「何?」
「お前今日こんな時間まで何してた。」
抱きしめたまま、隆也が言った。
「えっ・・・・・とゲーセンで遊んでた。」
思わず嘘をつく。
その瞬間、口の中に苦い何かが広がって胸が痛んだ。
罪悪感が体中をかけめぐる。
でも、栄口君といたなんて言ったら色々面倒だし・・・・
そう思ってついた嘘。
それに・・・・隆也だってあたしの知らないところであたしの知らない女の子と一緒にいたんだから、
これぐらいは嘘ついたっていいよね。
そう思っていた。
「てめぇー嘘つくんじゃねーよ。」
イライラした、怒気のある声。
「、お前めちゃめちゃコーヒーの匂いがする。」
しまった。
あたしはそのまま固まった。
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だめだこれ。なんだこれ。ホントお前って連載どころか小説むいてないよ。こころからそう思いました。書いてて。
うん。なんていうか、まず異常なまでに長くてスイマセン。切るのへたくそすぎて・・・。
しかもこれ一難さってまた一難みたいな状態ばっかでなんの面白みもないっすよね。ホント申し訳ないです。
わりとらぶらぶな感じも書いてみたいんですけど・・・うーんどうにもこうにもいかないんですよねー・・・申し訳ないです。
こ、これから日々頑張ります!!精進します!!見捨てないでくださいぃいいーーーーーー!!!!!
ではでは、ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!!