授業中、クルクルとペンを回していたらうっかり手を滑らせる


カツンと音を立てて机に落ちた



俺の指をすりぬけるようにして




「・・・・・・・・。」


ペンを持ち直して頬杖をつく。

俺はまだ自分の気持ちに整理が上手くつけられないでいた。


まさかが告白されるだなんて、予想外どころの騒ぎじゃない。

というかそんな男のいるところにアイツを通わせることすらも気が気じゃない。


別にわかってる。あいつがそんなの相手にしないことぐらいは。
告白なんて珍しいものでもないし。(にとっちゃ珍しいけど)





でも相手はなんたって男。






いざとなれば力技で・・・・なんてことはないこともないわけで。











「・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・。」

「阿部?」

「あ?んだよ。」

「お前らしくないぞ。どーしたんだよ。」


練習も終わり一日が終わろうとしていたとき。
花井がタオルで軽く洗い終えた顔の水分を拭いながら俺に言った。



らしくない?

つーか俺らしいってなんだよ。



「別になんでもねぇーよ。」

「そーか?なんか機嫌悪そうに見えたけど。」


花井のその一言に俺は少しイラ付いた。
俺ってそんなにわかりやすいのか?
それともコイツが敏感なのか。
そんなことはどっちでもよかった。


「・・・・・なー花井」

「ん?」

「・・・・・やっぱなんでもねえ。」

「なんだよ!気になんだろ!」

「んーー・・・」





さん?」





よくお分かりで。

アンダーシャツを脱ぎながら俺は軽く目を細める。



「告白されたんだってよ、人から。」

「いや告られるっつったら人だろ」

「そこじゃねーよ」

「わかってるよ!別に全くないわけでもないはなしだろ?お前だってこの間呼び出されてたわけだし」

「俺とあいつはちげーんだよ」

「はぁ?意味わかんね。」


眉をしかめる花井に俺は無言でにらみを利かせると、彼は苦笑した。

「まぁ別に断ったんだろ?」

「あたりめーだろ。」

「じゃあなんも問題ねーじゃん。」



ジジジジとエナメルバックのジッパーを閉めながら俺は小さくため息をもらす。
他の面々は着替えやらこの後のコンビニで何を買うかで盛り上がっている様子で俺達の会話は聞こえていないようだった。


「まぁそうなんだけどさ。」

「・・・・・そんなんじゃお前身もたねぇーぞ?」



花井が一番上のボタンをかけ終わったとき、ハンと軽く鼻で笑って見せる。
背の高いコイツのこの顔は最高に人を見下してるように見えて、余計に俺をいらだたせた。
ずっしりとしたエナメルバックを肩にかけて俺は部室をあとにする。
外はもう真っ暗で風が冷たい。でも散々動き回った俺達にとっては調度いい温度で、このイライラした気持ちを落ち着かせるのにも最適だと思った。




「なーなー何食う何食う!!?」

「俺はやっぱ今日もアイスかなぁ〜」


帰り道。
いつもどおり俺達はみんなでコンビニに向かう(西広だけは今日は用事があるからと先に帰ったけど)
わいわいとみんなで話している時、俺は携帯の画面に映し出された文字に声もでなかった。





Re:
-----------
足怪我した。
多分捻挫だろうって
勝手に思ってるけど、
めっちゃ腫れたよ。
超痛い。歩けない。
でもなんかそれでも前向きに
頑張ろうとしてる自分が好き。
部活お疲れさま。
気をつけて帰ってきてね。








「・・・・・・・・・・・・・・・わり。俺先帰る。用事が出来た。」

「おー!!」

「また明日〜!!!」


みんなが手を振るのを横目にサドルにまたがりペダルを力いっぱいこぐ。
普段の一歩目はやたら重く感じて疲れていることを実感するのに、
今日はもうそんな余裕もない。



・・・・・は?
怪我?
意味わかんねぇ。
つーかお疲れ様のタイミングもおかしいし。
普通は頭にもってくんだろ。倒置法かこら。
しかものことだ。
どうせ捻挫だと思って病院に行こうだなんて微塵も考えてないはず。
俺も見てみるだけじゃわからないかもしれないけどある程度の処置なら出来る。
とにかく早く、早く

それだけを自分の原動力に俺はひたすらに足を動かした。


見慣れた風景がどんどん流れていって、
の家が見えてきたとき





「じゃあお邪魔しました。」

「ごめんね、有沢君。なんか結果的に無理やり引き止めるみたいな感じになっちゃって・・・・。」





耳に飛び込んできたのは風をきる音だけではなかった。




目を細めてみてみれば、
家の玄関先には自転車に乗った男とそれを見送る女。
女の方は紛れもなく
男の方は知らない奴。

自分の心臓が大きく脈打つ。




「全然大丈夫。足お大事になー。」

「うん、ありがとう・・・・なんか迷惑ばっかりかけちゃってホントごめん。」


は軽く手を振りながら笑って見せる。
男の方もヒラヒラと手を振っていた。




「謝るなよ。もう謝られるのはあの時だけでいいから。」

「・・・・・・・ごめん。」

「だから謝るなって!」

「うん、ありがとう。」




どんどん二人の会話する声が大きくなってくる。
息が乱れる。
これ以上そこにいんな、どっか行けどっか行け。
帰れ。帰れ、さっさと帰れよ。
そんな言葉だけが頭を埋め尽くす。





「あ、そうそう。」




俺がキキッーーーとブレーキをかけた時だった






「俺まだのこと諦めたわけじゃないよ。」


「えっ」








ブレーキの音に阻まれた声。
それでも俺にははっきり聞こえた。


がえっと聞き返しながらも俺の存在に気づき目を丸くしている。

男もチラリと俺の方を見て、軽く会釈をする。
俺も軽く会釈した。




「有沢君、ごめん。聞こえなかった。」


とりあえず俺はシカトかコラ。
軽くしたうちすると男の方が少し笑って見せて「なんでもない。それじゃあおやすみ。」と俺達に背を向けペダルをこいだ。
シャーと軽快に道を進んでいく後姿が見えなくなるまで俺とは見ていた。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・お、おかえり。」

「ただいま。」

「お疲れ様・・・、こ、こんな時間までがんばるねぇ・・・・」



びくびくしてとぎれとぎれのの声に俺は何も答えずに自転車を自分の家の物置にしまう。



「おい、逃げんな。」

「・・・・・よくわかったね・・・・。」



「はい」

「とりあえずあがらせてもらうから。」

「・・・・・はい」





俺の簡潔な言葉には頬を軽く引きつらせドアに寄りかかっていた。




----------------------------------------------------------------------------------------
阿部視点はやっぱり苦手です。
なんかギクシャクしちゃう!!!そして文章が幼稚すぎて笑えて来た。
同じ言葉何度も使いすぎなんですけど!!っていうかこれじゃあただの阿部やな奴だし!うっとおしい!!


ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!!