目をつぶって軽く深呼吸。



少し痛む足。
膝辺りをそっと摩った後ふぅーと長めに息を吐いてまっすぐ彼を見ると



「・・・・・・・。」



やっぱり隆也は不機嫌そうに眉を寄せてあたしを睨んでいた。










「・・・・とりあえず色々聞きたいことがあんだけど。」

「な、何でも聞いてください。」

「足。」

「えっ、あ、足?」



「見せてみろ。」




意外な隆也の一言にはじめは頭がついていかなかった。
なんとなくだけど有沢くんについて聞かれると思ったから。

ベットに座ったまま足を出すとすっとしゃがみ込んで巻かれた包帯と湿布を剥がす。
もちろん変えの湿布とサージカルテープ、そして包帯も用意されていた。

あたしの足を真剣に見て眉間のシワを深くする隆也。






「・・・何笑ってんだよ。」







舌打ちをされてもあたしの口元は下がらない。


だって凄く嬉しかったから。





あたしの心配を1番にしてくれて
普段ならただの不機嫌そうなしかめっつらも
今は凄く優しい顔に見えて笑えてきた。





「多分捻挫だろうけど万が一ってこともあるかもしんねーから明日絶対病院いけよ。絶対。」

「はい・・・」

「・・・・大丈夫かよ。」

「ん、わりと大丈夫。心配かけてごめんなさい。ありがと・・・」



怖ず怖ずと隆也に視線をうつすと彼は安心したようにふぅと一息ついて微笑んだ。



あたしなんかよりもよっぽどいたそうな顔して・・・・
本気で心配してくれたんだね。


ありがとう。

あたしはもう一度心の中で呟いた。










「・・・・・よっし!!」


「えっ?」





そんな優しさの余韻に浸る間もなく隆也の両拳があたしの頭をガッチリ挟む。






あれ?怪我人にもすんの、それ。





「てぇんめぇ・・・・・・・・はよぉぉおおおーーーーーー!!!!!!!!!」



「いだいいだいいだいだだだだだぁぁあぁあぁあああーーーーーーー!!!!!!!!!」




きっと今この状態を漫画にしたらコマ一面にグリグリグリグリという字がうめつくすと思う。

いや、普通に足より痛いんですけどぉぉおおおーーーーーーーー!!!!!?







「いだいーーーーーごめぇーーーん!!!全ての罪にアイムソーリィィイイイイイイイ!!!」

「テメーは死んで懺悔しろ!地獄で懺悔しろ!!」

「そんなにぃぃいいいいーーー!?」

「んであっさり男なんてあげてんだよ!!!」

「だっ!あたしの部屋にはあげてないよー!!?」

「ったりめーだ!!!!つーかあいつ知ってるし!!同じ中学の有沢だろ!?」

「おっ、よく覚えてたね☆」

「覚えてたね☆じゃねーんだよテメーはぁぁあああああああ!!!だいたい何で家にあげてんだよ!!おばさんいねーし二人っきりじゃねーか!!!」

「だっ!!!しょーがないじゃんかー!!有沢君家まで送ってくれてお茶も出さずに帰せないでしょーーー?」

「だからってお前こんな時間まで・・・押し倒されでもしたらとか考えねーのかよ!?」

「考えないっつーの!!!あたしがそんなにやわに見えるか!!!?」





つーか有沢君はそんな人じゃないし!!!(多分)
あたしがなみだ目でキッと隆也をにらむと彼はさっき以上に眉間のしわを深くしてあたしをにらむ。
隆也は少し心配性すぎる。
というか、大事にされてるのは身にしみるぐらいにわかるけど・・・・・こういうところはどうかと思ったり。
そりゃ嬉しいといえば嬉しいけど・・・・愛情表現が乱暴すぎるし!
こいつ結婚したら絶対亭主関白なんだぜ!!





「わかんねー奴だな・・・・」


「・・・・・・・わかってるし・・・・・。」




色々頭の中で会議をしていたあたしを見下しながら、舌打ちをした隆也は今日1番怖い顔であたしを睨み付ける。

あたし達の間に緊張感のある沈黙が流れた。







背筋に何かがつーっと落ちていく感じ。
絶対なんかやばいよ、これ。
直感でそう思った。






ーーーーーーボスッ








時にはもう遅くて。











少し重みのある音が静寂を破る。








「・・・・・・隆也君・・・・・・?」



あれ〜背中が柔らかいよー?
それに隆也君の顔がさっきよりも暗いし。
なにより天井が見えるって、これ角度どーなってんの?












さっきまでは見下されていたはずなのに



もっと顔が遠くにあったはずなのに









「お前がどんだけやわか、教えてやるよ。」







いつの間にか身動きの取れない


隆也に覆いかぶさられた状態で







あたしは身じろぐこともせず
暴れることもせず



彼を見た。


彼の開かれた瞳孔に吸い込まれたみたいにただ見続けた。










いや、そのギャグ、笑えないんですけど。








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うーわー!!!なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ(エンドレス
ホント久々の更新かと思えばこれか。これなのか。
私なんて消えてなくなれ!!メラゾーマ!!!!
ホントすいません。



ここまで読んでくださって本当にありがとうござました!!