さん、ちょっといい?」









「え、あ、・・・・・・・・・うん。」














昼休み半ば、



あたしは隣のクラスの女子に呼び出された。











え、これってもしかして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






















「告白・・・・・・・・・・・・?」

「は?誰が誰に?」




100パーセント嫌悪に溢れた顔をされた。


ですよねー。
ここでまさかのとかそんな展開、こっちだって求めてませんしね。



「いや、ジョークです。で、なんでしょ?」



人気のない階段に、あたしはどっしりと座り込んで彼女を見上げる。
お尻が冷たくて気持ちい。

少し先の廊下が凄く騒がしく感じた。









「うん、ストレートに聞くけど・・・・」



















さんって阿部君と付き合ってるの?」

















「え、誰が?」



「え、いや、さんが。」


「え、あたし?」


「え、・・・・うん。違うの?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

















「ちょ、そんなこと・・・・阿部に嗅ぎつかれたらマジで殺される、ホント殺される。」





「え、何々、ごめんどういうこと?付き合ってるの?」



あたしの反応に彼女は眉を顰める。
まぁ確かに、どっちにも取れる応え方だったかもしれないな、
なんてちょっと反省。


立ち上がって手すりにもたれた。







「付き合ってるわけないじゃないですか!!!そんなん知られたらマジ今度こそあたしボコられる。」







ホントだよ!!
そんなおいしいことあってたまるか!!
いや、あって欲しいけど。
残念ながら昨日一緒にムラスポに行っただけです。
ムラスポ行って直帰しただけです。
幼馴染のクソセンター分けにそれはないわーとか言われる程度の仲です。

あ、自分で言っててちょっと悲しい!!!






「お前付き合ってるとかわけわかんないこと言いふらして回ってんのか!とか言って梅干しされる。三橋みたいに!!!」



ああ、どうしようどうしよう!!!
ちょっと遊んでやっただけで彼女気取りかよこいつーとか言われる、思われる。
せっかくちょっとだけ仲良くなれたのに!!!
ガッテム!!!
なんてこった!!!



あたしからは冷や汗が止まらない。



「ちょ、その話どこからの情報?そいつ締め上げるから名前教えてくんない?」



必死にその女子生徒に詰め寄ると、少し後ずさりされた。
あ、やんわり傷つく、これ。




「べ、別にそんな噂になってるわけじゃないし・・・ただ昨日一緒に歩いてるところ見たって子が居たのと、あと」


「あ、あああああと!?」




さんが好き好きっていつも言ってるからてっきり付き合ってるんだと思ったの!!」





「だからそんな近づかないで!ね?」

と最後につけ足されて後ろに押しかえされた。
あ、ストレートに傷つく、これ。





「じゃあ、付き合ってないんだ?」

「うん。付き合ってないよ、あたしが一方的に好き好きーって言ってるだけだわ、うん。」

「ふーん・・・さんって結構色んな人に、つか男女問わす好き好きって言ってるからよくわかんないんだよねーこっちは。」














・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう。」






こっちは・・・・・って・・・・・・・・・そっちが把握しとく必要・・・・あるんです、か?









「えっと、じゃあ別に阿部君のこと、恋愛的な意味で好きってわけじゃないってことだよね?」





「えっ」





「うん、ありがとう!ごめんね急に呼び出して!!」





「えっ」




「なんかあたしの友達が阿部君のこと好きみたいでさー協力してくれとか言ってきて・・・・」





「えっ」




さんっていったいなんなの〜みたいになってさ、あたしもこんな役回りやだったんだけど・・・・・ほんとごめんね!」





「えー・・・・・・・・・・・」






「じゃあ!!!」





「ちょ、」







マジでか。


女の恋は盲目ってあれ、マジだな。
うん。
だってあたしの話をイチミクロも聞かなかったし、さらにボケる隙すら与えられなかった・・・・・
はんぱねぇ・・・・猛獣だな・・・・あれ。
絶対強いよ、相撲とかとったら絶対負けるよ、あたし。
騎馬戦の法則だ。
普段「えーやだー」とか言ってるやつに限って髪の毛ごとむしりとってくるっていう法則ね。


怖すぎる。

最後じゃあとか言ってたけど、全然さわやかじゃなかったし。




「あたし、も、恋愛的な意味で好きなんですけど・・・・・」






ポツリとつぶやいた言葉は、少しだけ冷たい階段の踊り場の静寂に簡単に飲み込まれてしまった。



『なんかあたしの友達が阿部君のこと好きみたいでさー』




さっきの言葉があたしの頭をループする。








「はぁーーーーーーー・・・・・・・・・・・」







マジでか。









「どした?」
























マジでかぁあぁあぁああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!















その場にひょっこり顔を出したのは、あたしが毎日でも眺めていたいと思う人。




「うお、阿部、何?運命?」

「気持ち悪りぃ・・・」

「それすらもう気持ちいいわ。」

「怖っ。それ怖いからやめろ。」


こんな昨日までは当たり前だったやりとりも、実際なんだか今日はちょっと緊張している。
まぁさっきのこともあったし。
ひと笑い終えてまた静かな階段に戻る。


なんともいえない緊張感が二人の間に流れた。






「・・・・・・阿部はさー」

「あー?」














「好きな子、いる?」

「いねぇ。」









即答きたぁああぁあぁぁああああああああああああああああああああ。



失恋ですよ。


ってわけでもないのかな?


でもまぁ、両想いではない。



別にわかってたけど、
わかってたけど、

わかってたけどぉーーーーーーーーーーーー



ほんの少しだけ、どこか期待していたらしい。





ちくりと胸が痛んだ。









「うわー・・・・」


「んだよ。」


「ぶろーくんはーと・・・」



「はいはい」




そんなうんざりみたいな顔、しないでよ阿部。

ホントにちょっとだけ、へこんだんだ、あたし。







「じゃあさ、じゃあさ!どんな子がタイプ?」

「あーんなもんわかんねーよ。あれだ、肌奇麗な子。」

「更にぶろーくんはーと、もう無理立ち直れない。」

「はぁー?意味わかんねぇ。なんだよ、急に。」

「うるさいなぁ・・・もう阿部のプロテインに砂混ぜるわー無理だわー阿部のおにぎりに砂利混ぜるわー」

「おまっ!マネージャーの権限乱用すんな!!!」

「乱用するわー阿部専属の嫌がらせマネージャーになるわー」

「どんだけ俺のこと嫌いなんだよお前!!」









阿部の一言にむっとした表情であたしは阿部に向き直る。





ちゃんと向かい合ってるけどどことなく目はあっていない。










「だからさー、言ってんじゃん、す、っきだって・・・・・・・・」








・・・・・・・・・あれ、







なんだか言葉に違和感が・・・・・・・・・・・・・






それに気がついたのはあたしだけではなかったようで、



阿部も少し驚いたようにあたしを見ていた。







眼は合わせてないけど、何となく視野にはいってるからわかる。



あれ、どうしよう








静かな階段のせいで余計に二人の間にはいつもとは違う違和感のある空気が流れた。



心臓がいつもと違う。

顔が熱い。

いつもと、違う。



あたしが?

阿部が?


場所が違うから?


あれ、

あれ・・・・・・










「おい、。」


「おう、何?阿部。」

「お前さぁ・・・・・・・・・・」










ため息交じりの阿部の声。


阿部がゆっくりとあたしよりも少し上の段に上って腰を下ろす。
なんだかその様子も見てられなくて、あたしはそっとうつ向いた。





































「あんま・・・・・・・・・俺を、調子のらすんじゃねぇーよ・・・・・・・・・」





































「えっ?」













っというあたしの問いかけは、
予鈴によって簡単にかき消されてしまった。





「おっ、次移動だぞ、ほら、行くぞ!つかお前のせいで昼休みつぶれたじゃねーか。」

「え、ちょあたしのせい!?ごめんね!?」

「あやまんのかよ!ちょっと気にするわ。」

「マジ?じゃあ明日イチゴ牛乳おごってよ!」

「いいよ。」

「ぇぇええーーーー!!!!ウソウソウソウソウソウソウソ!!!ごめん嘘!やっぱいい!!」

「はぁー?急に謙虚かよ!意味わっかんねぇ奴。」





くしゃりと顔をゆがめて笑う阿部をみて、
ああ、やっぱ好きっす。マジで。






改めて思った。






ホントにこいつは賢いな。
天然か?



あんなん、反則っしょ。



迷うような揺らぐような不安定だったあたしの気持は


もうまっすぐ阿部へと道を定めてしまったようだ。




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あれ、なんか、ちょっと読みにくくない?
間の取り方とか忘れてる・・・・・・・・・!
いやあのホントまどころか展開とかマジあれですよね微妙ですよねすいませんすいません。


ここまで読んでくださって本当にありがとうござました!!