むぎゅ



押し当てられた唇の感覚が


お風呂に入ってもなくらない。




そこに気持ちいーとかっていう感情はなかったけれども












たしかに感じたもの














(・・・まだ熱いんですけど・・・・・・・・・・・・・・)








あたしは膝を抱えて水面を見つめた。










そのあとは、
なんだかいつも通りで




「えっえ・・・・・・えええええ!!!?」とかなるあたしをよそに「授業始る」なんて冷たく言い放った阿部。
いつも通り部活をやって、ほんとに何もなかったみたいに自転車にまたがって帰っていった。




なんかもうホントになんでもなかったみたいな
そんな風に思い始めた時に携帯が鳴る。









『どういう意味だか、ちゃんと考えとけ』






阿部のシンプルなメールに、
やっぱりあれは現実だったんだと頬が熱くなった。




?どしたの?メール?誰誰!」

「違う」

「もしかして阿部?」

「ほんっと、お前今から送ってやろうか?あの世まで」

「えええええ!!!!そんな怒ること!?」




うっとおしい文貴を軽くあしらいながらあたしたちは自転車を家へと走らせた。
そのときは爽快な風も、横を走る車の音も、文貴のあーだこーだ言う雑音すらもちゃんと耳に届かなくて







阿部のメールと


キスと




っていうかもう阿部のことしか考える余裕がなくなって







「文貴」

「へ?」

「ムカつくからジュースおごって」

「えええええ!!!!!!」



幼馴染に八つ当たりするしかなかった。





















あーーーーーーーーーー




やだな、あした学校行きたくない


ズズズーっと帰りに文貴におごらせたジュースをすする。
部屋で濡れたままの頭をタオルでわしわしとこする。
さっきの阿部のメールに返信できないままにらめっこをしていると

















「ひゃん!!!!!!!!!」





突然の着信に変な声が出た。


いや、びっくりしたんだよ!!!
あるよねこういうこと!!
そしてびっくりしすぎて切ってしまった電話。
誰からだったんだろうと確認しようとした矢先、



「うおおお!!」

また鳴り出した。



今度は勢い余って出てしまう。




「も、もしもしぃ・・・・・?」
おそるおそる出てみれば


『何切ってんだ、殺すぞ』



不機嫌な脅迫電話でした★
まぁその不機嫌な理由はたぶんあたしがさっき電話切っちゃったせいなんだろーけどさ
そんな脅迫電話でもあたしの胸は高鳴った。




「いやーん、隆也怒らないでよぉ〜」

『ホント全力でうぜぇなお前ってやつはよぉ・・・・・!!!』

「もうそれ軽くほめ言葉だからね、嬉しいから、逆に」

『はいはい、気持ち悪い、気持ち悪い。』

「ナチュラルに酷いからね、それ」



いつも通りの会話
なんだかもやもやするけど知らないふりをして、
ずっとこの話が続いてほしいと思う反面で
本当の本題に入ってほしいような気もした。


しばらく続いた会話も、阿部が最後に「うん」と呟いて途切れた。









くる



『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あのさ、』


「・・・・・・・・・うん」





髪の先からしずくがポタリと布団に落ちてじんわりと滲む。









『今ちょっと出てこれねぇ?』

「は?え、今?」


予想外な台詞にすっとんきょうな声が出た。


『一番近いコンビニまで出てきといてくれりゃ、俺がそこまで行くから』

「え、あ、・・・・わかった・・・」

『おう、悪い。』









あたしはしばらく切れた携帯をぎゅっとにぎって見つめていた。



軽く深呼吸して


ジャージの下をジーパンに履き替えて、



部屋を出た。






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とりあえずここまでーーー
いや、なんかあれ、これ、どうしたもんかな・・・・・・・・・
なんかすいません・・・・



ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!