あたし何してる?
いや、走ってんでしょ。
いや違う違う!!
いや、違わないんですけど、違うって!!!
そーいうことじゃない。
なんであたしはついさっきまで、あんな気まずい状態の幼馴染の胸ぐらつかんで、
一気に逆の立場になって、
そんで何言ってた?
西浦のキャッチャーは明日からあたしなんだから!!!
・・・それも言ってたけど、それじゃない。
あたしがやなの!!!!
あたしがヤダ?
は?何が??
隆也が離れていくのが
いやなの?
あたしが?
別に家だって近いじゃん!!離れるわけじゃない。
別に隆也に彼女ができたっていいじゃん!!!別にあたしが隆也の彼女なわけじゃないし?
たとえあたしの事を隆也が好きだろうと別に隆也が他の子と付き合おうと別にいいじゃん!!!!
あたしは何がやなの?
あたしは何が不満で
何が不安で
何が嫌なの?
自分でもよくわからない。
でも、栄口君から話を聞いたとき、血液が沸騰したみたいに熱くなって拳に力が入って、
胸の真ん中がグッと誰かに握りつぶされるぐらいに痛くて。
いてもたってもいられなくなった。
なんにも考えないで隆也の部屋に行って隆也をぶん殴った。(未遂)
自分の家に帰って、自分の部屋で一息つく。
そういえば携帯なってたっけ。
ぼんやりとポケットから携帯を取り出して、ディスプレイを見てみれば新着メールの文字があった。
「あ、」
栄口君からだった。
栄口君
Re:
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えっと、俺また余計なことしちゃってない?
って言うかホントにごめん!!
ホントにいい人だなぁ・・・。
なんか悪いな・・・心配ばっかりかけちゃって・・・・。
あたしは急いで返信した。
送信ボタンを押したあと、ボーっと画面を見る。
「・・・・やいてんの?・・・・あたし・・・・」
無意識に独り言があたしの口から出た。
自分でも驚いた。
こんな独り言がでるなんてよっぽど追い詰められてる。
でも、どこかで思ってたこと。
隆也の事。
いつも一緒にいる存在。
いつも欲しい時に欲しい言葉をくれる存在。
いて欲しいときにそばにいてくれる。
隆也が笑うとあたしもつられて笑う。
隆也が泣けばあたしもつられて泣く。
隆也の事はまるで自分のとこのように思ってしまう。
隆也の事ならなんでもわかるつもりでいた。
だってずっと一緒だったから。
「ええ!別々の高校なの!?」
「あー?それが?」
「えー!それがってひどいな!!それじゃーなかなか会えないじゃん。」
「・・・・別に会えねぇー事ねーだろ。家隣なんだから。」
「でも、高校生になったら色々忙しくなるじゃん!!」
「お前別に忙しくねーじゃん。」
「あたしは多分暇だけどさー。隆也部活やるんでしょ?」
「まぁーな。」
「じゃー忙しいじゃん。しかも最近隆也家行くと怒るしぃー!」
「いきなり人の部屋にいたら怒んだろ!普通!」
「えーいいじゃん幼馴染なんだしぃー」
「・・・・つーか、俺に会えないと困んの?」
「ばっか!!困るよ!あんた宿題は誰が写さしてくれんの!?つーか誰が勉強教えてくれんの!?誰が辞書貸してくれんの!?そーゆー話になってくんでしょ!?」
「・・・・・・・死ね。」
「ひどい!!」
高校が決まって、隆也の部屋でくつろいでいた時の会話。(たしかこんな感じ)
あの時は、高校に入ってからこんなにも生活が変わるとは思ってなかったから、結構無神経なこと言ってた。
でも、高校に入って実はうすうす感ずいていたこと。
クラスの男子と話しても、
ああ、隆也だったらこう言ってくれるのに。
辞書を忘れたとき無意識に隣のクラスに行こうとする。
ああ、隆也に借りないと。
ぼんやりと教室からグラウンドを眺めてみても、
ああ、隆也今ごろ部活頑張ってんのかな。
クラスの女子の彼氏自慢を聞いてても、
・・・うちの隆也は意外と優しいし何気に容姿だっていいし女子にもてるっつーの。つーかお前の彼氏はどうみたってただのギャル男ですけどー。
なんかなんだかんだで、隆也の事を気にかけてる自分がいた。
ホント今までは無意識だった。
というか気にかけもしなかった。
だって『幼馴染』なんだから、別におかしいことじゃないでしょ?
そう思ってた。
でも、ここ数日でようやくあたしの中で、隆也への気持ちがただの幼馴染ではないことに気づきはじめた。
じゃあこの気持ちはなんだろう?
コレがその、えっと、えーーーーっと・・・・・・・・
『俗に言う恋ってやつなんじゃない?』
「やっぱり?」
勉強机の椅子に正座で携帯を持つ。
心なしか手が震えていた。
夜遅くにに電話したのは生まれて初めてで。
本人も「あんたこんな時間まで起きてられるようになったの?いつのまに?」と驚いた様子でいた。
『いやーもついにねぇー・・・・しかも相手があの阿部なんて。』
「あの阿部って・・・」
『だって散々隆也はただの幼馴染だし!って中学の時言い張ってたじゃん。』
「うー・・・・ん・・・そこはつっこまないでくださいな。」
『まぁが成長したって事かな。』
「そーなのかな・・・。」
『そーだよ。ここ最近様子がおかしかったけど、まさか恋に悩んでるとはね・・・。』
「まだ恋と決まったわけじゃないじゃん!!」
『はぁー?じゃー他になんだっていうのさ?』
「・・・・親心的な・・・」
『・・・・切るよ?』
「ごごごめんなさい!!」
『・・・・好きなんでしょ?阿部の事。』
「・・・・多分。」
『じゃー告白すればいいんでない?』
「ぇえ!?今更!?か、彼女いるんだよ?」
あたしは椅子から思わず立ち上がる。
『かもでしょ?別に最後にどうするかはだけどね。』
「えーそんな、でも、だって・・・そんなのできないよ!どーすればいいのかわかんない!わかんな」
『』
の優しい声にあたしは口を止める。
『わかんないことない。だっての心にあるそれを直接阿部に伝えればいいんだよ。』
『形はどうあれ、ずっと一緒に居た阿部ならさ、わかってくれるんじゃないのかな?少なくとも、が一生懸命阿部を好きな気持ちはあたしには伝わってきたよ?』
「・・・・・・・。」
『まぁ結果はどうあれ、いつでも連絡しといで。』
「・・・・ありがとう!!」
そいじゃーおやすみぃーといつものふざけた声が聞こえたあと、ぷつんと電話が切れた。
に電話してよかった。
心のそこからそう思った。
ああ、あたし隆也がすきなんだ。
多分思い出せないぐらいずっと前から好きなんだ。
その気持ちは幼馴染としてじゃなくて、
一人の男の子として。
ずっとそばに居たから気づかなかった。
隆也以外にこういう感情を持たなかったあたしはそれが恋だとは気づかなくて、
ようやく気づいたときには
少し遅かった。
そうだ、
隆也には・・・
もう他に大事な人が居るんだ。
気持ちを伝えたところで、
あたしの言葉は届かないかもしれない。
隆也はもうその女の子を好きなのかも。
あたしの事なんてもうただの幼馴染としてしかみてないかも。
彼女が大切なのかも。
と話していたときにはなかった
恐怖心。
自分が傷つく事。
それがこんなに怖いことなんて、
思わなかった。
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10話めにしてようやく気づきましたね、ヒロイン(爆)
というか、これ色々おかしい箇所ありますよね?いやホントひどい・・・・!さすがはノープラン!!!
でも気にせず連載続けます(笑)
ここまでよんでくださって本当にありがとうございました!!