何?
ねぇ何さ?
告白ってなに?
kokuhakuって
な
に
?
「ああ、ちゃん。」
ボーっとしながらポストから新聞をとりにきたあたしに声をかけてきたのは、
隆也のお母さんだった。
「おおおおおおおおおばさぁーーーん!!!!!」
やばい!!なんもやばくないけど!!いや、落ち着いて考えたら頭もぼさぼさだしパジャマだし目も半目だけど!
そんなことじゃなくて。あの日の事がフラッシュバックして頭をかけめぐる。
「・・・どーかした?」
心配そうにあたしの顔を覗き込むおばさんにあたしは首を横にふった。
「いえぇ!!?何も!?」
「そう?ならいいんだけど・・・」
「は、ははははは!ははははーー!!」
乾いたあたしの笑い声におばさんは眉をしかめた。
そんな表情がどこか隆也に似ていてドキッとする。
「・・・・隆也となんかあった?」
げっ、おばさん勘がいいね。
「いえ?全然?な、なにも。」
「そう・・・なら安心ね。」
あ、安心?
なんだろ、なんだか嫌な予感が・・・するよーな・・・。
あたしはつばを飲み込む。
「おばさんたちまた旅行に行くことにしたの。」
「え、へ、へぇ・・・。」
「それでねぇ、いつもどおり家に二人分の食事を用意しといたから食べてね。」
「え、あ・・・はぁ・・・。」
「あ、大丈夫。この間と違って今回は隆也鍵持ってるみたいだから。」
「そ、そう・・・ですか・・・」
「うん、じゃあそういうことだからよろしくね。」
「は、はぁ・・・」
そういっておばさんは笑顔で家に戻っていった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ワァーーーオ!!!!
嫌な予感!みごと的中☆
あたしってエスパーなんじゃないの?ユリゲラーの後継者じゃないの?
ふふふふー!全世界があたしにちゅうもくするといい・・・
ってそーじゃないっつの!!のんきか!あたしは!
やばいって!きまづいどころの騒ぎじゃないでしょ!?
生き返ったばかりの天津飯とベジータぐらい気まずいって!
ねぇ!!?どーすんのさ!?あたし!!!
必死にポケットをさぐってみても、オダギリジョーのように自分の運命を握るカードは出てきてはくれなかった。
「・・・どすればいいの・・・あたし・・・・。」
あたしは頭を抱えながら家へと戻った。
「バカねーチャンスじゃん!!!」
お昼休み、パンをかじりながらあたしの頭を引っぱたいてがいった。
「・・痛いし。つーか何がチャンスだよ!意味わかんない!!」
「だぁーかぁーらぁー話合いができるチャンスでしょ!!」
「話し合い?」
「そうそう!ホントに彼女いるのかどうかとかさ、つーか気持ちを伝えられるチャンスってことだよ!!」
「え・・・・あ・・・・」
「意味わかった??」
「う、うん・・・わかった・・・けど・・・・」
あたしは持っていた箸をおいた。
その様子を見てが一言
「怖い?」
と聞いた。
あたしが黙ってうなずくとはおおきなため息をつく。
「あんたってホントひどい女だね。」
「ええ!?何が!?」
「阿部は、あんたの気持ちなんてわかんない状態で、むしろダメだってわかってて告白してんだよ?」
「あ・・・・。」
あたしは俯いた。
そうだ。
隆也は、あの時あたしがただの「幼馴染」としてしか思ってなかったときに、
あたしを好きだっていってくれたんだ。
全然考えもしなかった。
「阿部、きっと怖かっただろうね。」
「・・隆也・・も・・・怖い・・?」
「当たり前じゃん。自分の一言で、今までどおりじゃならなくなっちゃうんだよ?怖くないわけないよね。」
「・・・・・。」
「阿部は勇気あるよ。」
「・・・・・。」
「ん?」
「あ、あたし頑張るよ。今日告白・・・す、する!!」
「・・・おう。」
「もしダメだったら・・・」
続きを言おうとして、俯いた顔を上げると上からふってきたの手があたしの頭をなでてくれて、
「なぐさめちゃる☆」という言葉と大好きな笑顔。
「ありがとう!!」
「いっておいで。」
「うん。」
女は度胸。
やるっきゃない。
あたしは落ち着かないまま午後の授業を受ける。
ああ、あんなこと言ったけど対面したらなんていおう。
隆也!愛してるよ!
いや、なんか気持ち悪いよ。
ねぇ、あたいのこと・・・好きなんだろ?
いやいやいや、これどこのワイルドガールよ。つーかこれでふられたら伝説的に恥ずかしいだろ。
あたし!隆也が好き!付き合ってください!!
・・・・これが一番無難じゃね!?
これいいって、これ!これが一番いいよ!!
おっしゃこれで・・・
「おい、?そのガッツポーズはもちろんこの数式が解けたと解釈していいんだろうなぁ?」
「・・・・え?」
気がつくと、
先生が口の端を引くつかせながらあたしの横に立っていて、
右手を見ればガッツポーズ。
握られた拳からだらだらと流れる汗と、どんどん血の気が引いていく背中と頭。
「・・・・もちろんです。」
「嘘付けコラァアアア!!」
そのあと言うまでもなく、職員室でプリントをまとめる仕事を手伝わされた。
「あんたホントバカだよね。」
「・・・。友達にホントバカて!あたしが一番わかってんだよ!!!」
「はいはい。まぁこんな時間まで待っててあげたあたしに感謝してよね。」
「え、今何時なの!?」
「7時30分ぐらい。」
「ぇええーーー!!もうそんな時間なの!?」
あたし自身もあわてて携帯のディスプレイを確認する。
でも、のいう通り、7時30分。
「そーだよ。」
「あんのハゲ教師ぃいいいーーーー!!!ごめんね!」
「気にすんな。すべてお前のせいだから。」
「・・・気にするよ。それは。」
「まぁいいじゃん。帰ろー、あたしコンビニよりたい。」
「あたしも!!」
あたしは鞄を肩にかけなおしての後をおう。
空は暗くなっていた。
夜だからというのもあるけれど、どこか濁った空と、湿った空気はもうじき雨が降りますよーといっているようなもので。
なまぬるい風があたしの気分をさらに落とす。
「・・・雨ふりそうだねー。」
「あー・・・なんか夜から降り出すって天気予報でいってた気がする。」
「マジでー。やだなぁー・・・。」
「早くかえろ!あたし駅から家遠いんだよね。」
「あたしもあんまり近いほうでは・・・ない。」
いつもより少し早歩きであたし達は駅前のコンビニに入った。
ドアをあけると「いらっしゃいませー」とやる気のない店員の声と笑顔が迎えてくれた。
やっぱ若い子は態度悪いなーなんて思いながらあたしはパックのお茶を手にとった。
「あれ?パック買うの?」
「うん。お金ないからさー」
「貸してあげよっか?」
「大丈夫。あんがとー」
こんな普通の会話をしているときも実はメチャクチャ緊張してる自分が驚いた。
いや、緊張するでしょ?今日は初めて告白するんだよ!?
しかも相手は幼馴染。
しかも今めっちゃきまづい状態。
何をしてても落ち着いてなんて居られないでしょ。
きっとはわかってるけど、あえて触れないようにしてくれてる。
あたしが黙って考えこまないようにずっと会話をとぎれないようにしてくれた。
なんやかんやと話してくれた。
でも、時間は待ってはくれなくて。
「じゃ、」
「あ、うん。」
「・・・。」
「ん?」
「・・・・・また明日ね。」
「・・・うん!!!!」
あたしが大きく手を振ったらも軽く手をふってくれた。
また明日ね、っていうのはなりの応援の言葉だろう。
なんとなくそう思った。
一人電車で繰り返す。
授業中にずっと考えてた言葉。
『隆也が好きです。付き合ってください。』
これ、この短い文みたいなのを言えばいいだけだよ。それだけだよ。頑張れよあたし。頑張れよ。
電車の揺れがあたしの緊張を高める。
なんか体がゆすられてプレッシャーをかけられてるみたい。
「頑張れよ!」
「が告白ねぇ・・・いっちょやってやれ!」
みたいな感じで・・・。
目をつぶれば沢山の電車人間があたしとすれ違うたびにポンポン叩いていく。
「・・・・あ。」
気づけば最寄り駅。
足が重い。
頭もおもい。
なんか具合悪い。
心折れそう。
携帯を見たら8時25分で。
ああ、まだ隆也が帰って来るまでまでまだ時間あるじゃん。
その間に瞑想でもして心を落ち着かせよう。
って修行僧かあたしは!!
ああ、落ち着かない。
これ世の乙女達はかなり勇者だよ。
すごいって。
告白する事はほんと並大抵の神経じゃ出来ないと痛感した。
一歩一歩家へと近づいていくたびにあたしの心の中で繰り返される告白の言葉。
タイミングとかよくわかんないから会った瞬間に言おう。勢いで言おう。
それがあたしらしい気がする。
よっしゃ、女は度胸
「やるっきゃない!!」
そういいながらたどり着いた自分の家。
隆也の家の電気はついてないからまだきっと帰ってきてない。
隆也も多分おばさんから事情は聞いてるだろうし、帰りをまとう。
無意識にもドアをあけようとしてしまったけど、開かない。
そりゃそうだ。誰も居ないんだから。
あたしったらお茶目☆
あたしは鞄のファスナーを開けていつも鍵を入れているポケットへと手を入れる。
そこにはジャラリと鍵の感触が。
いつもなら・・・
あるはずなの・・・・
に・・・・
「・・・あれ!?」
鞄をひっくり返してみても、
何度も服のポケットに手をつっこんでみても、
ない。
ない、
ないないないないないないないない。
鍵がない!!!!
相変わらず神様に嫌われているあたしにはお約束。
「・・・・・うそー・・・・。」
ポタリ
ポタポタポタポタ・・・・
ザーーーーーーー
雨まで降ってきちゃいました。
「最悪だよ。これなんだこれ。」
隆也君はいつごろかえってくるのかね。
あたしは玄関の前にしゃがみこむ。
さっきコンビニで買ったお茶を飲みながら、じっと空をみた。
こんなことならお茶だけじゃなくておかしも買えばよかったな・・・。
雨はザーザー激しい音を立ててふり続ける。
やむ気配を微塵も見せることなく。
いじめか。
もう一生神頼みなんてしてやらない。
だって神が居ようが居まいが、どーせあたしの事なんて眼中ないんでしょ?
だったら意味ないじゃん。
それならあたしは自分のみ、自分の力だけを信じてやる。
そんなコトを思っていたら、聞こえてきたシャーいう音。
自転車がコンクリートにたまった雨水を切る音。
隆也かな。
もしかしたらと思い、うるさいぐらいに高鳴る心臓を軽く押さえて立ち上がる。
首だけを道のほうに伸ばして、ぬれないように覗くと、
どんどん音が近づいてくる。
でも、近づいてきたのは音だけじゃなかった。
「へー・・・阿部君ってこの辺にすんでるんだー。結構あたしん家近いよー」
「そーなんだ。」
「うん。今度遊び来る?」
「・・・機会があったらな。」
「はぐらかされたー」
「ハハ。」
------キキィイーーーーー!!!!!
あたしの目の前で踏まれたブレーキ。
隆也の後ろに乗ってるのは
セミロングで、大きな眼が印象的なかわいい女の子。
隆也にぎゅっとしがみついてる腕は白くてか細い。もう片方の手で傘を持っている。
女の子って感じで。
あたしの頭を真っ白にするには足りすぎているぐらいの光景。
「ちょっと待ってて。」
「うん。」
隆也はあたしに気づくことなく自分の家に入っていった。
あたしは身動きひとつ取れない。
なんでなのかはわからないけど、まるで金縛りにでもあったみたいに、
息も止まってる感じ。
隆也が紙袋を持って出てきて、
「コレ。」と言ってその子に差し出す。
中身はわからない。
女の子は「サンキュー」といってそれを受け取るとそのまま自転車に、
今度は前のサドルにまたがった。
よく見るとそれは隆也の自転車じゃない。
「送っていかなくてホントに平気なのかよ。」
「平気だって。家近いっていってんじゃん。」
「でもお前あぶなっかしいから。」
「平気だよ!ありがとねーバイバイ!」
軽く手を振った。
隆也も手を振ってる。
笑ってる。
---バンッ!!
「!!!!」
「・・・・・・・・おま・・・!!!」
あたしの腕から鞄が落ちて、大きな音が鳴って、
隆也と女の子がこっちをみて、
隆也と目があって、
隆也の驚いた顔を見て、
そのあと、
あたしは全力で、
その場から逃げるように走りだした。
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・・・・長い!なんか今回はやたら長い!!!
つか、今更ですが、いっさい原作沿いではありませんね。
弟いないし、多分お母さんこんなきゃらじゃないし。
ひどいな・・・・!でも気にしません。なぜならドリーム小説だから!!!
とりあえず今回はどうしてもここまで話を持っていきたくて・・・やたら長くなってしまいました。
ごめんなさぁーーーーい!!!(土下座)
とにかくここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!