「あのね、あのね!!今日はね・・・・」

嬉しそうな声が受話器を通して俺の鼓膜を振動させる。
それが心地よくて目を瞑った。

「・・・隆也?ちょ・・・聞いてますかぁー?」

「あぁ、聞いてる。」

「うん、それでね、がその後浜田の消しゴムを廊下にぶん投げてさー!もう笑った笑った!!しかもさ、その時たまたま泉が・・・」

俺の彼女
との日課。

毎日11時30分になると俺の携帯のディスプレイには「」の文字が表示される。
こうやって俺はの話を聞くわけだ。

話といっても本当に他愛もないことばかり。
普段厳しい先生の社会の窓が全開だっただの、三橋が居眠りして先生に怒られただの。

他の奴ならすぐに電話を切るに決まってるのに
なぜかの話が苦じゃないのは惚れた弱みなのか・・・・・俺自身にもよくわからない。


とりあえず
コレが普段の俺達のはず。(ちなみに昨日の会話)



なのに今は




携帯の時計は12時をまわっている。
それでも着信はなかった。

ちょっと不安になって俺からも何度かかけているにもかかわらず、


電話にはでねー、かけてこねー。



なんなんだ?
俺がなんかしたっつーのか?なにか地雷をふんだのか?

俺は自分の部屋のベットに倒れこむようにして寝転がる。
もちろん携帯を握り締めたまま。


じっと見ていてもうんともすんとも言わない携帯に苛立ちがつのった。




別に毎日電話する約束をしてるわけじゃない。
ただ、
俺にとってアノ電話は俺が思っている以上に大事なんだとわかった今、
あいつのくだらねー話が聞きたい。
あいつのバカみたいな笑い声が聞きたい。


あーなんで俺はこんなことでイラついてんだ。




つーかなんで電話でねーんだよ。何してんだよ。






次の日朝練が終わって、俺は自分の教室には向かわずまっすぐ9組の教室へと向かった。




そこにはいつもどおりと話すの姿があった。
でも、の顔はいつもどおりじゃなくて、
どこか悲しそうなさびしそうな顔。










が俺に気づいたとき。







俺は息を呑んだ。



今まで見たこともないの表情。
面食らったみたいな、
そんな顔。




の目にどんどん涙がたまっていく。









俺は自分でも気づかないうちにの手を引いて走り出していた。











の「ちょっと隆也!!?」という声が聞こえたけどシカトする。






とにかく今はを抱きしめたくて、
の泣き顔を誰にも見せたくなくて、
なんでが泣いてるのかをしりたくて。





部室の扉が大きな音を立ててしまる。



ここなら誰にも邪魔されねーし、
が白を切って逃げることもない。(俺が扉を背中にする)







「・・・・た、かや・・・・?」

「おい、お前なんで泣いてんだよ・・・・・」

「泣いてないよ!つーか隆也こそどしたの?そんな怖い顔して。あ、そりゃいつもか!」

「全然笑えてねーよバーカ。」

「・・・そんなことない。」



が下唇を噛む。
この仕草をするときは大抵いつも嘘をつくときだた。



俺は頭を抑えてはぁーとため息をつくと、の体がビクリと強ばる。




「なんで昨日電話でなかったんだよ。」

「・・・ああ、その事気にしてたの?寝ちゃったんだよねー!ごめんごめん!」


わざと明るく振舞うに俺は苛立ちを隠せなかった。
眉間のシワが深く刻まれる。




「・・・お前さ、散々毎日色んなこと話すくせによぉ・・・んで肝心な事は話さねぇーんだよ・・・!」

思い切りロッカーをけっぱくる。
しばらくしてバンと大きな音がして、
が同じようにロッカーをけっとばしたことがわかった。


「バカ!クソバカ!クソキャッチャー!!!」

「・・・・んでポジションの事までいわれなきゃなんねーんだよ・・・」

「隆也ってさ、あたしにはなんも話さないよね!?」

「はぁ?」

「この間1組の女子に呼び出されたのも調理実習の時に色々もらってたのも下駄箱に恋文入ってたのも全部花井から聞いたんだけど!」


・・・・・こいつ・・・・・。




「つーかさ、なんで花井には話してあたしには話さないの!?何?あんたの彼女は花井か!?つーかそうだよね、あたしみたいなベラベラベラ話す女よりもよっぽどいいよね!?」


・・・・・・もしかして


「花井って何気男前だし!・・・ああ、あたしって結構男っぽいところあるからだから付き合ってみたってわけ?ホントはってうわぁあ!!!」







俺はを力の限り抱きしめた。







「ちょっと、嫌い!隆也のバカ!嫌い!!はーなーしーてーよぉーーーー!!!」




は俺の腕の中で暴れるもそれは無意味で。
俺にとっちゃかわいいもんだ。





「バカ!エロ目!スケベー!一生三橋君の尻でもおっかけてふっ・・ん・・・」





口を軽くふさいでやればドンドンの力は抜けていって
俺のシャツを軽く掴む仕草が愛らしいとまで感じた。




「・・・ん、ふぅあ・・・・・・・・・・・。」






唇を離せばは俺の胸にポスリともたれかかる。





「・・・いつもうるせークセにこれやるとすぐおとなしくなんのな。」

「う、うるさいな!」

「はいはい。」




赤く頬をそめる姿に本当はもう一度キスしたいと思ったけど、これ以上キスしたらそれ以上も求めてしまいそだったから、
の顔が見えないように思い切り胸に押し当てた。






「ごめんな。」

「うるさい。」

「これからはもっと話すよ。」

「うん。」








こいつの話を聞くのがすきで、
こいつが好きで、


喧嘩して
でも仲直りして




キスして、
抱きしめて


もっと好きになる。



それでいい。


それがいい。






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・・・・・・・・・あれ?あれ・・これ・・・あれぇえええええーーーーー!!!!?
ごめんなさいごめんなさいごめんんさいごめんなさい!!!!マジで!!なんか悩んで悩んで悩みぬいてコレ!?えぇ!?
コレって・・・・なんだこれ・・・・誰だコイツ。誰だ私。すしさん!いやすし様!!!せっかくリクエストをいただいてこのざま!!
ホントなんとわびて良いのか・・・・すいません!私にイマジネーション能力がないばかりに・・・・!(土下座)

とにもかくにもここまで読んでくださって本当にありがとうございました!&リクエストありがとうございました!!