「今日、あたし隆也ん家に泊まるから。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」



鉄砲豆を食らった鳩のような顔であたしを見る隆也に、
替えの下着やらゲームやら携帯の充電器とかその他色々をぶち込んだ鞄を投げつけた。




「ちょ、お前!何考えてんだよ!は?と、泊まる!?」

「うん。親と喧嘩した。だから泊めてくれ。」

「お前!餓鬼じゃねーんだかそんぐらい・・・・・」

「いいじゃん!昔はよくお泊りしてたじゃん!!!」

「昔の話だろーが!!!」



どなり散らす隆也をいつもどおりシカトしてあたしはダンダンと階段を上って隆也の部屋に入った。
ベッドにもたれてさっきまでの親とのやりとりを思い出す。
些細なことから日常生活の生活態度が悪いだの、だらしないだの、出したらしまうだのぐだぐだぐだぐだ・・・・・・
まぁ100パーセントあたしが悪いんだろうけどさ!!
いっぺんに怒りだすことないじゃん!!!




「おい!!!」

「うるさいな!!!!!!!!!マジ頼むよ!!幼馴染のよしみでさ!!!!」



強気なあたしの態度に隆也は目を伏せた。





「・・・・・・・・・今日はやべーんだよ、」

「は?何がやべーの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「隆也?」

「・・・・・・・いねーんだよ。」

「何が。」
















「シュンも両親も・・・・・・・・・・・・・。」




































「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で?」












意味がよくわからないんっすけど。



あたしのしれっとした態度に隆也は呆れてものも言えないといわんばかりの顔でため息をついた。












「・・・・・・・・・・・・・・・・言ったな。後悔してもしんねーからな。」

「後悔しないよ!まぁいいじゃん。今日は特別にさんがカレーを作ってあげましょう!ゆっくり話もしたかったしさ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」






その時は引っかからなかった隆也の言葉と表情。



そっと目を伏せて、視線をそらした

ただそれだけだと思っていた。










そのあとあたし達は何気ない会話をして、

適当に作ったカレーを二人で食べて、

そのまま居間でテレビを見ていた。




「なーー。」

「んー?」

「そろそろ10時なるし帰れって。」

「いや、帰んないって。」

「おばさん心配してんだろ。」

「いや、普通に隆也の家に泊まるから!!って出てきたから大丈夫だよ。」


テレビを見たまま言うと隆也がソファーからそっと立ち上がった。




「・・・・・・・・・・。」

「・・・・風呂。」

「ああ、いってらっしゃい。」





はぁーっと長い溜息をつきながら洗面所へと消えていった。
なんだか今日の隆也はため息が多い気がする。

何か悩みでもあるんだろうか。


部活がそんなにきついんだろうか。

隆也って色々誤解されやすいところあるからもしかしたらチームメイト達とうまくいってないのかな?

それとも恋の悩みだろうか。
目つきが悪いから好きな子から嫌われてるのかな・・・・・


昔だったらもっと腹を割って話す機会があったのに、高校に入ってめっきり減ってしまった。



幼馴染としてそれはちょっと寂しくて
一人の女子としては純粋にもっと一緒に居たいと思う。


あたしはいつまでこの幼馴染を続けられるんだろう。


幼馴染として育ってきたからには

あたしはそれをまっとうする義務があると思ってる。


もし彼女ができても、笑顔でおめでとうって言ってあげるって決めてるよ。


あたしは隆也の「幼馴染」だから。






しばらくぼーっとテレビを見ていたあたしもすっと立ち上がる。




「・・・・・・・・・・・・っし!!!!!!!!」








いっちょ一肌脱いでやるか!!!!






















「・・・・・・・・・・・・・・。」



タァーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!
お風呂場に洗面器を落とした音が響き渡った。






「お背中流しにやってまいりました〜」

「はっ!?・・・・・・・・・はぁ!?っつーか待て!待て!!!入ってくんな!!!死ね!!!」

「死ねはひどすぎるだろ。大丈夫だよ!あたし基本気にしないから。」

「おめぇーが気にしなくても俺が気にすんだよ!!!バッカ!!!出てけ!!いーから出ろ!!」

「いいじゃーん。唯一の幼馴染よ?腹わって話そうや。まぁあたしは服着てるけどさ、全裸みたいなもんだから。心が。」

「いや、全然うまくねーし。」



出てけ出てけと言われてもこれまたいつもどおりのシカトで。
隆也は腰にタオルを巻いてしぶしぶ椅子に座った。
あたしは右手でタオルを泡だてながら隆也の肩にそっと触れる。





「・・・・・あれ?」

「んだよ。さっさとしろ・・・・・。」

「・・・・・・・。」




ふと気がついた。





「隆也の背中ってこんなに大きかった?」









「はぁー?」

「いや、大きくなったんだなーって思って。お母さん嬉しい。」

「へーへーいいからさっさと済ませてくれ。」

「ちぇーつれないやつー。」


あたしはできるだけ丁寧に隆也の背中をごしごしと洗った。
細身なものの、肩はがっしりとしていて硬い。
男の体って感じで、よけいに距離を感じて切なくなる。



「隆也ー?」

「あー?」

「西浦はどう?」

「・・・・別に。普通。」

「普通かぁー。好きな子できた?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



さっきまでお風呂場に響き渡っていた二人の会話が急にしんとする。

隆也は黙ったままで


俯いた。

チクリと胸が痛んだ。




「・・・・・・・・・・・・・隆也?」

「・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・できたの?」









「・・・・・・・・・できたもなにも・・・・・・・・・・・・・・・・ずっと前からいる。」















低い隆也の声が
静かなお風呂場にそっと響いた。







どうしよう。









覚悟してたのに

ちゃんと幼馴染続けようって
頑張るって決めたのに










「・・・・・・・・・・・・・ふーーーーーーーーん。」











泣きそうだ。


鼻がつーんとして目の奥がじんじんする。

でも隆也の前では泣けない。



「知らなかったなー!!あたしにぐらい教えてくれたって・・・よかったのに!」




泣かない。






洗い終えた隆也の背中を流して、
あたしはすっと立ち上がる。



この場にいたら、きっともたない。

そう思った。



「はい完了!それではちゃんは退却するでありんす!」



ニッと笑って敬礼をして見せた。

隆也の冷たい目があたしを射抜く。



一瞬硬直して




動けなくなった。




その刹那、

隆也が勢いよく立ちあがってあたしの左手首をつかみ、思いっきりひっぱる。
あまりに突然の出来事で、あたしの体は簡単に隆也の方へと引き寄せられた。


ダンッと大きな音がして、背中をタイルの壁に打ちつけられる。
むせそうになった。


「・・・・っ!!・・・・・・・・たか・・・や?」





なんで、

なんでそんな悲しそうな眼で

あたしを見るの?







気づけば隆也の両手があたしの両手の自由を奪っていて
この小さなお風呂場に逃げ場はない。



ゆっくり隆也の顔が近づいてきて、
唇が重なった。




「ふっ・・・・・!!!」


びっくりして、身をよじった。

それもむなしく、さっきよりも強く手首をつかまれる。

唇は角度を変えて何度も何度も重なり、呼吸をする暇を与えない。
苦しくて苦しくて酸素欲しさに口を開けばその隙間から容赦なく舌が入ってくる。
歯列をなぞるようにして生暖かい舌があたしの口の中を犯していって、
抵抗することはおろか立っていることすらもできないぐらいあたしは骨抜きにされていった。


「ん・・・・ふっ・・・・・・はぁ・・・・・ああ・・・」



ひざがカクンと折れてあたしはその場にぺたりと座りこむ。
その時に腕がシャワーのひねり口にあたったのか勢いよくシャワーが出てきてあたし達に降り注いだ。

服がひっついて気持ち悪い。
伏せていた目を少しだけ持ち上げれば隆也があたしを切なそうに見ていて
よけいに何も言えなくて、胸が締め付けられた。



「・・・・・・・・」


そっと耳元でささやかれた名前にぞくっと身震いすると、隆也の手が胸辺りをゆらゆらと右往左往する。


「やっ!やだ、やだ隆也・・・・・・・・・!」


隆也の腕を押し返そうとしてもなかなか力が入らない。
どうしよう、と考える間もなく隆也の唇がちゅっと音を立ててあたしの首元に吸いついた。



「ひゃっ!!!た・・・かっ・・・・だめ・・・おねが・・・・」

「それ、誘ってるようにしか聞こえない。」



ゆっくりと唇を下へ下へと降ろしながら隆也が言った。



「後悔するって忠告してやったのに・・・・・・・」

「ひぃ・・・・あぁ・・・・あ・・・・・・・」

「人の気も、しらねぇーで・・・こんなことすっからいけねーんだよ・・・・。」





びしょびしょに濡れてなんの意味もなくなったワイシャツと下着はあっけなく取り払われ、
あたしの上半身があらわになる。
羞恥で体が熱くなるのがわかった。

隆也がわざと卑猥な音を立てるようにしてあたしの胸の突起に吸いつくと、
あたしの口からは自分でも知らないような甲高い声を上げる。
よけいに恥ずかしくてぎゅっと眼をつぶった。
突起を歯を立てたり優しく口の中で転がされてあたしはもう何がなんだかわからない。

頭が付いていかなくて
快楽の渦に飲み込まれていく。


流れるようにして隆也の手が下半身をそっとなでた。
ビクンと体を強張らせれば、胸元から顔をあげた隆也がにやりと笑う。


・・・・濡れてる・・・・・・・」

「ちが・・・・シャワー・・・・・・」


「シャワー?ホントか?」といたずらな声が聞こえたと思ったら、すっと隆也の手が下着の中に滑り込んでいって割れ目をなぞる。
さっきとは比べ物にならない違和感。
背中がぞくぞくして、気持ち悪い。


「・・・ん・・・やぁ・・・や・・・やめ・・・・ひゃ、あ・・・・ああ・・・」



しっとりと湿ったそこに隆也は指を侵入させて動かす。
あたしが気づかないうちにシャワーは止められていて
狭いお風呂場には卑猥な水音とあたしのあえぎ声がこだました。


はじめは一本。次は二本と徐々に指の数を増やしていく。
そのたびあたしは隆也にしがみつくようにして快楽に飲み込まれないようにと必死に耐えた。





「・・・・・・んっあぁ・・・・・・・・・・・っ!!!!!!!!!!!!」




しばらくして、隆也の指がそっと抜かれる。




ぎゅっと隆也にしがみついているせいで彼の顔は見えない。
耳元にある隆也の口がそっとあたしの耳をかむ。


「った・・・」

・・・・・・」

「・・・ん・・・・・・・・・」























「好きだ。」














小さくつぶやかれたその言葉を合図に隆也のものがあたしの中に入り込む。
指とは比にならないそれの大きさに、あたしは悲鳴をあげてしがみつく。


涙をながして、
隆也の背中にぎゅっと手をまわして
熱を分け合う。






「あっあっあっあっ・・・・たか・・・・・」

・・・・・・・おれ、もう・・・・・・・・・っ」












あたし達は二人ほぼ同時にはてた。








それからどれくらい時間がったのだろう。
いつの間にか意識を失ったあたしは隆也の部屋のベッドで目覚めた。




「っ!!!!!!」




服着てる!!
ブカブカな隆也のスウェットに身を包んだあたし。


勢いよく起き上がれば5分の2ぐらい減ったペットボトルを持った隆也が首からタオルをかけてうつむいていた。




「隆也?」

「・・・・・・・・・・。」

「えっと、あの、服ありがとう。」

「・・・・・・・・・。」

「あ、あと運んでくれてありがとう!重かった?」

「・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・隆也・・・・・・・・・。」



なにを言っても返答も反応もない。



「隆也。」


もう一度名前を呼んでそっと肩に触れた。






「・・・・わりぃ。」

「・・・・・・・・・。」

「ホントにごめん。傷つけた。謝っても謝りきれねぇーことだけど。」



「ごめん。」と小さくつぶやいた隆也の背中は少しだけ震えていた。



その背中が愛おしくて、
大好きで大好きで






あたしはそのまま後ろから隆也を抱きしめる。










「ずっと前から大好きだから問題ないよ。」



あたしのその言葉に隆也の顔が持ち上がってあたしの方に向く。








あたし達の気持はいつから通じ合っていたんだろう?


その時からきっと随分たってるんじゃないかと思う。


だからその時間をこれから二人で追い越していこう?



恋人として。












その日初めての隆也の笑顔にあたしもつられて笑顔になった。










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千代様!遅くなってしまってもうしわけありません!!
なんかちょっと生々しくなってしまったような気もしますが
一生懸命書いたのでどうか許してやってください!!!
つーかこんなん!?こんなんでよかったんでしょうか!?ほんとすいません!!!


とにもかくにもここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!!