秋の昼下がり。
まだまだ木々の葉は青々と茂っているも風は涼しく幾分過ごしやすい気候となった。
そんな時
あたしは焦りながら廊下を全力疾走していた。あたしが向かう先は7組。
勢いよくドアを開けばバシッと清々しい音が教室中に響き渡れば、みんなが一斉にこっちを見る。
だけど、そんなことはお構いなしにあたしは乱れる息を整える間もなく叫んだ。
「お母さん!!!数学の教科書貸して!!」
もちろんまっすぐ彼を見て。
「・・・・・。」
どっと沸き上がるクラスの笑い声とスパーッンと響き渡る気持ちのいい音にあたしは我に返った。
「あれ?」
「教科書貸してあげろよ!おかぁーさん・・・!」
腹を抱えて笑う水谷に軽く舌打ちをして花井はあたしに数学の教科書を差し出し
た。
「ありがとー花井ー!マジ恩に着るよー!!」
「お前なー・・・ホントいい加減にしろよぉ・・・?」
「へっ?何が?」
わかってるけど。
わざとキョトンとして見せればいつの間にか花井の拳はぎりぎりと握られていた
。
「待ってくれ。話せばわかる。キブミーチョコレイトゥ。」
「どーやら話す気はないみたいだな。図々しいし。」
花井はため息をつきながら目を細めた。
「ウソウソ!ごーめーんー!花井〜」
「・・・・。」
「そんな目でみないでよー・・・だって花井お母さんみたいなんだもん〜」
花井は多分前世はお母さんだと思うぐらいに面倒見がよくて、大人っぽい。
でもかわいいところもあってからかうと意外に面白かったりする。
そんな花井をいつの間にか好きになって、でもあたしには可愛く着飾るなんて出来なくて、ふざけてばっかりで。
それでもこうやって二人仲良く馬鹿ができるのはあたしにとっては幸せなことで、
よくばる勇気もないし。
「なぁ。」
「ん?」
「オレってから見たらお母さんなわけ?」
「え?」
久々に見た花井の真剣な表情と言葉にドキリと胸がなる。
そんなあたしの顔をみてはっとした彼は「いや、なんでもねぇ」といって俯いた。
些細なやりとりだったためクラスの誰もが気づかなかった。
そのあとすぐにチャイムがあってあたしは教科書を持って教室に戻る。
花井の教科書はあたしの教科書と違ってちゃんと折り目がついてる(しかも沢山!)
それに色々書き込まれてる。
男の子の字。
花井が授業中に真剣に黒板を見て書き込んでるんだろうなぁ・・・・
授業風景が目に浮かぶだけで顔がにやけた。
ふとさっきの事を思い出す。
「オレってお前から見たらお母さんなわけ?」
あの言葉。
そんなわけないじゃん。
立派な男の子だよ。
こうやって24時間頭の中から離れない。
大きな体にきりっとした眉。
頼りになるしすごく安心する。
でもあたしはドキドキして。
大好きです。
あの時、
もしあたしが花井にお母さんなんかじゃないと伝えていたら、何かが変わってたのかな?
頬杖をついてぼーっと眺めた空はあたしの頭の中よりも平和でのんきだった。
授業が終わる数分前に携帯が振動した。
花井からメール。
『次数学だから教科書もってこい。』
・・・・・メールが来るだけでドキドキするって重症なのかな?
にやける口元を隠すことなく『了解!』と返信した。
授業が終わるまであと数分。
ちょっと冒険してみようと思って、あたしはメモ帳とペンを用意した。
キュッキュと力を少し込めてペンを走らせる。
あたしにはこれが限界です。
書き終わるとすぐにタイミングよくチャイムが鳴って、
あたしは花井のクラスに走る。
そのメモを持って。
「ありがとう!!」
「おう。」
「ちゃんと勉強してんだねぇ。」
「がしなさすぎなんだよ。」
「うへ、数学は苦手だからね〜」
「数学は?」
「・・・数学もです・・・」
「ったく。ちゃんと勉強しねーとあとあと受験に響くぞぉー?」
「またお母さんみたいなこと言ってー!!」
「てめぇ!また言ったな!」
「へへへー!!!んじゃありがとね!」
いつもどおりのやり取りを済ませた。
いつもどおりに振舞えたはず。
うん。大丈夫大丈夫。
指先が軽く震えている。
さっきのメモは今日やったところに挟んだ。
多分花井の事だから、教科書を絶対に開くはず。
そのとききっと驚くだろう。
『ありがとう。梓。PS好き』
という字に。
張り裂けそうな胸にそっと手を当てて、
あたしは次の授業のある理科室へと向かった。
向かっている途中に携帯がなっていることも気づかずに。
『オレも。あと、お母さんはもう禁止な。』
このメールを見て、
走って梓に会いに行くまであと50分。
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リクエストの花井夢です・・・・。えっと・・・・名前変換すくなくってごめんなさい!!!
っていうかもっと謝るところ沢山ありますね!ごめんなさいぃいいいーーーーー!!!!!!
ホントキャプテンはもっと書いてみたいし男前に書きたいんですけど・・・・・
申し訳ないっす・・・・私の技量ではここまでで・・・・
ごめんなさいぃいいいーーーーーー!!!
とにもかくにもここまでよんで下さって本当にありがとうございました!!