ああ、明日が雨ならいいのに。

そしたら、

もっと文貴と一緒にいられる時間が増えるのになんてことを考えるあたしはきっと彼女しっかくなんだと思う。



「はぁ・・・・。」

「どーしたんだよ、ため息なんてついちゃってさ。」


不思議そうな顔をした文貴が首をかしげてあたしをみた。
あたしはコントローラを握ったまま文貴を見ないで「別に」とそっけなく答える。
こんな事を考えてるなんてしられたら絶対笑うとわかってるから。

今日は野球部がミーティングだけの日で明日は練習が午後からというのもあってあたしは文貴の家にお泊りする事になった。
二人で文貴の部屋で肩を並べてゲーム中。
ちなみにもっと詳しく説明すれば文貴をぼっこぼこにしてました(格ゲーで)




「・・・怪しい。」

「え、なにが。」

がため息つくなんて・・・ま、まさか浮気!?」


文貴は歌舞伎の女形みたいなボーズであたしを見る。



「そうそう。なよなよしくて頼りにならないクソレにとうとう愛想つかしてさー」

「ちょ、リアルリアル!!ひどいって!!」

「アハハハ」





こうやって二人でふざけられる時間が好き。

自然と笑みがこぼれてしまう。
それを見て文貴は黙ってゲームのスイッチを切った。
きょとんとして彼を見るとあたしに向き直る形で座りなおす。
まじまじとみられると照れる。
文貴の綺麗な瞳から思わず目をそらしてしまった。




「ねえ、。」

「なに?」

「・・・なんで目そらすの?」

「文貴が見るから。」

「ホントに?」

「ホントだよ。」

「他に理由あるんじゃないの?」




文貴は普段とぼけているようで、こういうときに案外鋭い。
あたしは答えることが出来ずにいた。
だって、

ない、といえば嘘になる。


でも、理由をいうのは恥ずかしい。




だから口は閉じたまま。



「・・・・・・・・・・・・・。」

「ねぇ、

「・・・・・・・・・・・・・。」

ってば。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

ちゃ〜ん。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」


あたしの名前を呼びながら少しずつ少しずつ距離を詰めてくる。
徐々に近づいてくる文貴の顔をまともの見ることもできないままあたしも少しずつ少しずつ後ずさりしていく。
立てひざのままカーペットに膝がすれる音がする。
窓の外は車がたまにエンジンをふかして通るだけ。
とても静かだった。



「・・・・・あ。」


背中にとんっと感じた冷たい感触。
それはあたしの選択しから逃げるということを消去した。

壁にめいいっぱい寄りかかる。
それでも文貴はそれを楽しむかのようにじりじりと近づいてくる。
顔の横につかれた手。
完全に逃げ場を失った。




ゆっくりゆっくり文貴の顔が近づいてきて




唇と唇がふれるか触れないかのもどかしい感じ。
いっそうの事重ねてしまいたい。
でも自分からせがむ様に重ねるのは恥ずかしい。
お互いの体温が伝わってくる距離。


心臓がドキドキうるさくて
ぎゅっと目を閉じたとき、


額にこつんと音がした。




「・・・・ふみ・・・・?」

「・・・・・が逃げるからいけないんだもん。」



さっきまで壁につかれていた手がゆっくりとあたしの頬をなでるように掴む。
もう片方の手もそっと頬に添えられた。




「なんかあったら、話して欲しいよ。」

「・・・・。」

「オレだけじゃん。の彼氏はさ。」

「ふみ・・・」


少しだけ寂しそうな文貴の顔。




あたしバカだ。


寂しいとかそういう言葉はただ文貴の重荷になるだけだと思ってた。
変なプライドもあって
女々しい女だと思われたくなかった。


でもそれは、


彼女として文貴を裏切ることになるんだね。

そんなこと考えもしないで、
勝手に文貴の気持ちわかってる彼女面してた。
かえって文貴を心配させて、文貴に気を使わせてることになんて気づかなかった。



こんなあたしこそ彼女失格じゃん。




「・・・・・・?」



だまって文貴の手に自分の手を重ねた。
文貴の手の熱がじんわりとあたしにも伝わってくる。





「あのね、あたし明日が雨になればいいと思った。」

「へっ?」

「そしたらもっともっと、文貴と居れる時間が増えるのになって。」

「うん。」

「でもそれは文貴が頑張ってる野球を奪うってことでさ、」

「うん。」

「そんなこと考えちゃうあたしは彼女失格だなって思ったの。」

「うん。」

「それに絶対笑うと思ったから言いたくないって思った。」

「・・・・・・うん。」

「・・・・笑うなコラ。」

「は、はい。」

「でも、今気づいた。」

「ん?」

「自分の気持ちをそんな風に隠すことの方が彼女失格だなって。」

「うん、そーだね。」

「これからも野球頑張って欲しい、そんでもって・・・・休みの時はこうやって・・・・・・」

「・・・・こうやって・・・・?」








「そばにいてね。」









最後につまりにつまった言葉。



いえたあとは心のつかえが取れたみたいにすっとした。





文貴の手があたしの頬から離れてぱっとあたしの手を掴む。
ぐいっといっぱられて首の方へともっていかれた。
文貴の腕はあたしの背中にぎゅっと回される。
その細身からは信じられない力強い腕。
ぎゅっとぎゅっと強く抱きしめられて、
あたしもめいいっぱいの力で抱きしめ返す。








「それ、オレがいいたかったなぁ・・・・。」


ポツリとつぶやくように文貴から発せられた言葉に笑ってしまった。


「ちょ、笑うことないじゃんか」

「いつだって文貴の先に行く。」

「えー。」

「黙ってついていくなんてガラじゃないよ。」

「確かに。」

「うん。」

ー?」

「ん?」

「これからもそばに居てね。」

「・・・・うん。」








文貴の言葉があたしの心をじんと暖める。



そっと目を閉じて



しばらくの間抱き合ったまま。
普段だったら絶対ないけど




たまには、甘い恋人の時間をすごすのも悪くはないと思った。






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あれ・・・?失礼ですが・・・・どちらさまですかね?
ごめんなさいぃいいーーーー!!!!こんなの水谷じゃない!これは違います。そう。違うんです。
あわわわわわわ・・・・!!!!(涙)なんでこんなことに・・・甘いのを目指した結果てんやわんやでこうなってしまいました・・・・
ごめんなさいぃいいーーーーーー!!!!!こ、これから!これから頑張ります!許してください!!!



それでは、ここまでよんで下さって本当にありがとうございました!!!