例えばもしあたしがめちゃめちゃ可愛くて頭も良くて運動神経も抜群のモテモテ
パーフェクトガールだったら




きっとあの瞬間を逃さなかったと思う。




さん?」

「あ、えっと・・・」

「何?」

「・・・す、・・・」

「・・・す?」






「す、す、すぁよならぁぁあああああ!!!」





その場から逃げるように走り去ったのは今から1ヶ月前の事だった。



好きです!付き合って下さい!


その一言を伝えるためにマイフレンド文貴にわざわざ栄口君を呼び出してもらったのに。
内心栄口君も呼び出しって時点で感ずいていたと思う。
少しそわそわした様子で屋上まで来てくれた。
来てくれたのに・・・・・・




「すぁよならーはないなぁー・・・」

「ご、ごめん・・・」

って天才的に意気地がないね。」

「文貴!友達でしょ!?幼馴染でしょ!?」

「だから言ってんだろー。」


けらけら笑いながら彼は頬杖をついたまま口にポッキーを運ぶ。


「く・・・・その真ん中わけのところから二つに引き裂きたい・・・・!」

「怖いから!目が若干本気だから!」

「あたしだって、あたしだってそんなつもりじゃなかったんだよ。普通に伝えたかったの!普通に言う予定だったの!!!」

「つーか普通あんな絶好のシチュエーションならちゃんといえてるから!!」

「うう・・・・。」


おっしゃるとおりですよ。
ホントあたしは何をやってるんですか。




「・・・・自分に自信なさすぎなんじゃない?」

「ぇえ!?」


文貴は口にくわえたままでいたポッキーをポキリと折ってあたしを見る。
さっきよりも真剣な、でもどこか優しいまなざしは文貴独特のものだと思う。
あたしも俯きぎみだった顔をゆっくり上げて文貴を見た。



ってさ、自分を好きになってくれる人なんてこの世に絶対いないって思ってるでしょ。」

「うん。」

「たとえばさ、告白されたとするじゃん?どー思う?」

「罰ゲームだと思う。」

「・・・その人が罰ゲームじゃない!って必死に言っても?」

「うん。だって・・・」



あたしなんかの何処がいいの?つーかあたしみたいなこんな奴を愛する?
え、絶対嘘じゃん!みたいなね。
今までそうやってずっとずっと生きてきた。
別に今まではそれでよかったし、なんの問題もなかった。

でも、栄口君と会ってからまるで別の人の頭の中のようにあたしの世界が変わった。
優しい笑顔に、さりげないツッコミとか、普通の人がなかなか出来ないことを当たり前のようにしちゃうところとか。
普通なのにどこか特別に見えてしまうのはきっとあたしがめちゃめちゃ栄口君の事好きだからだと思う。
彼の事を想うだけでいつの間にか一日が終わる日々は、他人から見れば充実してるはといえないけど。
あたしは幸せだった。





はさー」

「ん?」

「栄口にそういわれたらどーする?」

「え・・・・」

「本気で本気で、めちゃめちゃ好きなのに、そうやって嘘とか信じないとかの一言で片付けられちゃったら。」

「・・・悲しい。」

「でしょ?」

「・・・うん。」


「だからね」といって文貴の大きな手があたしの頭にポスリとかぶさる。



「自分を否定するような考えは捨てなさい。」

「・・・。」

「自分が信じなきゃ誰からも信じてもらえないよ。」

「ふみぃ・・・・・」

「な!!泣くなよぉ〜!!」



そのまま頭をなでられた。



心にジーンと染み渡った。
だって、ホントにその通りだとおもったから。
こいつってホントたまにいいこと言うんだよね。
そうだ、
あたしが信じなきゃ、
あたしの気持ちも信じてもらえないよね。
こんなに自分が嫌い嫌いっていってたら
こんなあたしを絶対誰も好きにはならないよね。



「元気でた?」

「元気でた!!!」

「よし!いっておいで。」

「へ?」



そういって文貴が指した先には

栄口君が困ったような笑顔で待っていた。











「文貴・・・・。」

「ん?早く!昼休み終わっちゃうだろ!!」

「サンキューわが友!!」



ニッと笑う文貴の横を通ってあたしはゆっくり彼の居る廊下に行く。
栄口君は気まずそうに後ろ首に手を当てて横を向く。


「あー・・・ごめんね、急によびだしちゃって・・・。」

「え、文貴じゃないの?」

「あ、違う違う。俺が水谷にお願いしたの。」

「え・・・あ・・・・・」

「とりあえず場所変えようか。」


あたしは黙って頷いた。



外に出ると教室よりも五月蝿い生徒達の声が響き渡る。
バレーボールをしていたり、サッカーをしていたり。


そんな校庭の木の下のベンチは、日陰になっていて涼しかった。
二人でゆっくり腰をおろす。
自然とあんなにうるさかった生徒達の声は届かない。




「あの、さ」


先に口を開いたのは栄口君のほうだった。


「う、うん。」

あたしは彼を見ないで返事をする。


「一ヶ月前の事覚えてる・・・よね・・・」

「う、うん・・・。」


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃいーーー
心の中で土下座のオンパレードですよ。
もう穴があったら入りたい。これ。
俯いたまま腕と肩に力が入ってぎゅっとスカートを握った。



「俺ね、ホント、ホント恥ずかしい話なんだけど、」

「まままま待って!!!!」

「えぇ!?な、何!?」


急に話をさえぎられて栄口君は驚いた様子であたしを見た。
あたしも俯いていた顔を上げてまっすぐ栄口君を見る。
まわりの木がざわざわと風に吹かれて音をたてる。
カサカサと葉と葉が擦れ合う音はどこか気まずいあたし達の間をうめるかのように聞こえた。



「さ、栄口君が・・・好きです。」

「・・・・・・・・・・。」


ぐぐぐと開かれた目。
そのあと「ハァ〜」と力が抜けたようにくずれる栄口君にあたしはどうリアクションしていいかわからずきょとんとしてしまう。



「え、な、え?」

どういうことなの!?何!?なんなの?なんなの!?
どうしたらいいの?ふられたのこれ?え、なになになになになになにぃーーーー!!?


頭の中を文字がループし続けていた時、しばらくしてから「よかった・・・・」とポツリと聞こえた声をあたしは聞き逃さなかった。




「・・・よ、かった・・・?」


唇が震えて上手くしゃべれない。


「うん。」

「それ・・・って・・・?」

「・・俺ね、恥ずかしい話、自惚れてた・・・」

「え!?」

「いや、なんつーか、さんが・・・俺の事ね、想ってくれてると思っててね。呼び出されたときはどうしようかと思っちゃって・・・」

「お、お・・・・」

「でも、あの日は突然居なくなっちゃって。」

「ご、ごめん。」

「その後もなかなかこうやって話せる機会もなかったし、なんていうか避けられてる感じしたし・・・・。」

「う、ご、ごめん・・・。」

「好きな子から告白されるって思ってて、かなり浮かれてたから。めっちゃへこんだ。」

「・・・・・。」

「でも、このままじゃ、絶対だめだって・・・っていうか嫌だって思った。」

「さかえぐちくん・・・」

「だからこうやって呼び出したわけなんだけど・・・先越されちゃったなぁ〜」





アハハハハと照れながら笑ったあとに
栄口君はいつもの優しい笑顔とは全然違う、きりっとした顔であたしを見た。







さんが好きです。付き合ってください。」









「・・・ホントに?」

「ホントだよ。」

「あたし、なんかだよ・・・・?」

「うん。そしたら俺も同じだよ。」

「え・・・」

「俺なんかを好きってホント?」

「ほ、ホントだよ!すごいすごい好きです!好きなところなんて腐るほどいえるよ!」


あたしが必死になって目で訴えると「あ、ありがと・・・」と照れながら笑う。
そんなところも愛しくてあたしの心をきゅんとさせた。


「じゃー俺の事も信じて。ね?」

すこし顔を傾けてあたしを見る彼は今までみてきた彼の中で一番かわいいかもしれない。
ドキンドキンと胸が音を立ててあたしの体中に響く。

「あれ・・?返事は?」

「あ!う、うん!し信じる、よ!!」

「・・・・・・・・・・・・。」

「あ、れ・・・?さか、えぐちくん?」

「ご、ごめ・・・・あはは、三橋みたい。」

「え!?そ、そうかな・・・」

「うんっ・・・・・・くく・・・」

「えぇ!?そんな笑うことなくない!?ねぇ!?」

「ごめんなんかつぼっちゃって・・・」

うっすら涙をぬぐってひーひーとおなかを抱えていた。



「そんな面白かったかなぁ・・・。」とぽつりと言ったら。

一言、


「かわいかったから」









その瞬間に顔は尋常じゃなく熱くなって、
目を見開いた。

その顔を見てまた栄口君が笑顔になってくれた。

あたしもつられて笑った。






「俺好きだなー」

「え、」

さんの笑顔。」





そうやって、
あたしが笑顔になれる言葉をかけてくれるのは
栄口君の才能だと思った。






「あたしも、好きだよ!」

「ん?」




「栄口君の笑顔も声も全部!!!」








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なんだこれ。オチ微妙だろ。っていうかストーリーが微妙だろ。
これ水谷君でてきすぎだったんじゃないの?なんなの?だれ?誰なの?
ごめぇえええええん!!!彼方ごめん!!ホントごめん!!なんかもうホントごめぇえええーーーーーん!!!!!
あれ、これなんなの、私。リクエスト募集してるくせしてかけないって言うこのね。無念な感じね。
なんなの?なんなの私。
ごめんなさい。

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!