窓ガラスを叩くようにふり続ける強い雨。

蒸し暑い教室。

人は数えられる程度しかいない。


その中で、あたしはなんとなく視線を感じた。



「・・・田島?なんかよう?つーか部活は?」

「んー雨だから筋トレだけ!!何飲んでんの?」

田島はあたしの前の席の椅子に逆向きにまたがってあたしの机にひじを突いて上目使いで聞いてきた。

「レモンティーだよ。」

「いいな!!これちょーだい!!!」

「え!?」

「ダメ?」

「田島飲み物持ってないの?」

「持ってるよ!」と元気よく言って、田島は自分の鞄の中からスポーツドリンクを取り出す。

「えーじゃあ自分の飲めば良いじゃん。」

別にあげたくないわけじゃないけど、レモンティーはペットボトルの4分の1程度しか残っていなかった。
しかも・・・間接ちゅーだし。

田島は気にしないのかな・・・・?っていうかあたしが気にしすぎなのかな。
いや、きにするでしょ!だって女の子だもん!!


なんて一人であほな事を考えながら田島を見る。


田島はへらっと笑って

のがほしいんだもん!」


なんていう。

そんな事を田島に言われたら(しかもまんべんの笑みで)


「・・・しょうがないなぁ・・・いいよ〜」


ちょっと惜しい気持ちもありつつもなんとなく恥ずかしい気持ちでペットボトルをさしだすと


「サンキュー!!!」といって嬉しそうに受け取ってのどを鳴らしておいしそうに飲む。

全部飲む。


全部・・・・

「お前!ちょ・・・全部飲んだよこいつ!あたしのなのに!」

「だってちょっとしか残ってなかったじゃん!」

「だからって・・・もぉー・・」

「ごめんごめん!じゃーかわりに俺のあげるからさ!!」

「この間もあたしのおにぎり食べたし!ポッキーだって食べたじゃん!フェアじゃないよ!!」



ここ最近、田島はあたしの席に来るたび何かちょうだい!ちょうだい!!といってあたしのもをほしがる。

そのたびあの太陽みたいな笑顔で迫ってくるもんだから、断るに断れない。

まんざらでもない自分もいたりする。


でも、今日はちょっと勝負に出てみようと思う。


あたしは一呼吸おいて田島を見た。



「・・・じゃー・・・飲み物はもういいから、今日は田島のもの、なんかちょうだい。」

「え?俺の?」

「うん。」


うざがられたかな・・・。いや田島はそんなこと思うやつじゃない・・・

あたしの思考を中断するように「うーんうーんえーっと・・・」とつぶやきながら鞄をごそごそあさる音が聞こえた。


「田島?」

軽く冗談気分で言ったつもりだったのに、田島は真剣に鞄の中身とにらめっこ。

その姿がなんともかわいらしく思えてちょっと笑えた。

「あ!!コレは?」

そういって田島はあたしに数学のプリントを渡してきた。

「・・・あたしに勉強しろってか?」

「違う違う!!裏裏!!」

言われたとおり裏返してみると・・・

「・・・・誰?っていうか・・・何?」

「三橋!!!」


・・・・三橋が気の毒になる・・・。

「うーん・・・もっと実用性があるものがいいなぁ。他には?」

「え!ダメ!?んー・・・じゃーコレは?」

そういって次に出してきたのは路上で配られているキャバクラのティッシュ。


「・・・たしかに実用性はでてきたね。うん。でもいいや、将来のためにとっときな・・・・。」

「えー!!コレもダメー!!うーん・・・と」


そういってまた鞄をあさって探してくれる。


でも、多分そろそろ部活に行かなきゃ行けない時間だとおもう。筋トレも大事な活動のうちのひとつだし。
部活に一生懸命な田島に惹かれてるのも事実だし。


そろそろ開放してあげなきゃ

そう思って田島に声をかけようとしたとき、

ふと田島が顔を上げて、目が合った。


あたしはちょっとびっくりして 口をつぐんでしまう。

キラキラ光る田島のまっすぐな目があたしから視線をはずさない。



「俺!」

「・・・は?」

「だから俺は?」

田島は自分を指差した。

「・・・何が?」

「だから!にあげるもの!俺じゃダメ?」



これが水谷とかなら100パーセントからかっていると思えるのだけど、相手は田島。しかも思いのほか真剣な目。表情。


「・・・マジで言ってんの?あんた。」


あたしが恐る恐る聞くと大きく首を縦に振る。

「当たり前じゃん!俺の事好きだし!」

「げんみつに!」といって笑う彼。
つーか厳密の使い方違うし。




でもとりあえず




「じゃーその厳密な愛ごと田島君をいただこうかな。」



もらえるものはもらっておきましょう。


「了解!!!」


田島はあたしに飛びついて力いっぱい抱きしめてくれた。

教室のみんなはじろじろあたし達を見てたけど、
それでもしばらく田島は離れてくれなかったし


あたしも離れる気はなかった。




「あ!!でも、これからは俺がのものになるからも俺のものになるってことだ!!」

「あんたはジャイアンか。」


つっこんだ後、あたしも了解ですと小さい声で言うと、

少し体を離してあたし達は笑う。


「うん、じゃーそういうことで。」





「「げんみつに」」










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初、田島夢。というか初おお振り夢です。
厳密乱用です。田島君は天然かっこかわいい!大好きです!でも正直文章に起こしたときに・・・
偽者疑惑が出てきました・・・・。
これから頑張るんで!はじめてなんで!許してやってください!!!!