「なーなーー!!」


上唇と鼻の間にペンを挟みながら悠一郎が言った。
部屋は暖房で暖められていてちょっぴり息苦しい空気。
それでも部屋のドアを開ける気はないのはこの二人きりという空間を満喫したいからなのかもしれない。


「何ー?」

数学の問題に苦戦しならがも視線は合わせずに答えた。










「セックスしよう!!」





「・・・んー・・・・ちょっと待ってね今・・・ってはぁあああああーーーー!!?」




目の前のかわいい彼氏の発言に叫ばずにはいられなかった。
あたしは思わず顔を上げて悠一郎を見る。








「だから!セ ッ ク ス!!セックスしよ〜!」

「ちょ、唐突に何いいだしてんの!?」

「だってそういう雰囲気だったんだもん!!」





いや、全然そういう雰囲気じゃないんですけど。

あたしはペンを置いてこほんとひとつ咳払いをする。




「・・・ゆうさ、何のためにあたしの家に来たと思ってんの?」

「セックスするため?」





はったおしていいのかな、こいつ。





「まったく、その頭かち割って中身調べたろか。お前の頭ん中はコーンポタージュでもつまってんのかコラ。」







そもそも今日あたしの家に悠一郎を呼んだのは他でもない。
セックスするため・・・・なわけないから。


勉強するため。


テストで悠一郎に赤点を取らせるわけにはいかない。
泉にきつく言われている。


「もし田島が赤点とって部活に支障をきたすことになったら彼女のお前の責任だからな。覚悟しとけよ。」




と殺し屋の目で言われてる。




だから









大切。








「あたしは悠一郎の頭の中のコーンポタージュを脳みそに変えるために今日家に呼んだんだけど。」

「意味わかんねーよ!セックスセックス〜!!」

「いや、お前の方が意味わかんねーよ!!だめ!勉強しないとだめなんだから。」

「なんでだよ〜!!だって勉強嫌いじゃん!!」

「そりゃ嫌いだけど・・・・・」


うう、と言葉につまりながらもふと頭をよぎるのはあのときの魔王の顔。
あの時の泉の目を思い出せば嫌いな勉強も苦じゃない。



命の方が大事だもん。(しつこいようだけど)




「じゃーいいじゃ〜ん!!それともさ・・・・」



そういって悠一郎はグッと身を前に乗り出してあたしの顔を覗き込んできた。







「俺とするのやなの?」




いつの間にかにあたしの手をきゅっと掴んで上目使いをする。
それだけで体中の血液が煮えたぎるように熱くなるのがわかった。





うわぁ・・・・・・






反則。






そんなかわいい顔で、

迫られたら・・・・・

いくらあたしでも・・・・・・・・・




「ねぇ・・・・・・・・・ちょっとだけ・・・・・」


「ゆ、う・・・ちょ・・・・」






そのままグイっと引っ張られて深く口付けられる。
体に力がはいらない。
抵抗したいのに悠一郎の舌があたしの体を制御してるんじゃないかと思うぐらいに自由を奪う。
そのまましばらくされるがまま・・・・。
悠一郎の手がゆっくりと服の裾に手をかけてきた。



まずい!




その瞬間に流されることに本気で抵抗する。
腕をつっぱらせて思い切り体を離そうとするとそれに気がついて悠一郎がゆっくりと唇を離す。
お互い重たいまぶたを少しだけ開いて視線を絡ませた。









「・・・・・・・俺もう・・・・」

「駄目。」

「・・・む、もぉーーー!!無理ーーーー!!」

「それが無理!駄目!悠一郎!」

「俺我慢できねぇーよぉーー!!」


ぷうと頬を膨らましせてあたしを見る姿は小学生みたいで本当にかわいい。
さっきまでの色っぽさは何処に?と思うぐらい。


ううう・・・・やっぱり悠一郎はあたしの彼氏なわけで。
大好きなわけで
わがままだって聞いてあげたくなっちゃうけど・・・・・
これで悠一郎が試合とか出られなかったらもっとやだし・・・・・
ここは何か悠一郎も納得してくれるような言い訳をしないと。
必死に頭を働かせようとするもいつの間にかあたしの座っている横に回りこんできていた彼にギュッと抱き寄せられていて耳元でそっとささやかれる。



「しよ?」






あ、やばい



とろんとした悠一郎の目があたしの頭をかき回す。
ゆっくりと彼の手があたしの腰を撫でる様に触る。
その手がゆるりゆるりとその場にとどまることなく動き続けて自然に服の中に入ってきた。



どーしようどーしよう!
早く何か、何か・・・・・


必死に頭を働かせて


あたしはグッと彼の旨を押し返して叫ぶ。







「駄目なの!あたし今生理だから!!!」







必死に搾り出してコレですか。
我ながら苦笑する。でもなかなか彼には効果があったようで、

あたしの決定的な一言に一瞬目を見開いた悠一郎。




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」



「ごめん、駄目。」





「・・・・・・・・・・どーにかしてそれ今すぐ終わんないの?」

「終わんないよ!!」

「むぅ・・・・・」

「さ、勉強勉強!!」



本当に諦めてくれたのか悠一郎はスッとあたしを離してくれた。
あたしは素早くペンを握って教科書に向き合う。
内心めちゃめちゃホッとしている。
あのままだったら絶対流されてた。
あぶないあぶない
命大切。

あたしが胸をなでおろしていると自分の座っていた場所に戻ってつまらなそうにしている悠一郎がポツリとつぶやくように言った。



「せっかくと二人で過ごせるのに俺勉強なんかしたくねーよ。」





「・・・悠一郎・・・・」





「テスト終わったらまた部活始まって忙しくなるし、そしたらこうやって二人でゆっくり一日会えるのだってできなくなるじゃん!!」

「それは・・・・」



あたしだって同じ気持ちだよ?
ぐっと唇を噛む。

毎日毎日野球で忙しい悠一郎をいつもいつも笑顔で見送れてるわけじゃない。
彼氏とデートといっている友達がうらやましくて
無性に寂しいときもある。
すごく強い学校に勝ってから人気急上昇して女の子たちに騒がれてるのをなんとも思わないで見送れているわけでもない。


だから
こんな貴重な日にさ、
勉強したくないのはあたしだっておなじなんだよ?



「・・・だめだよ、悠一郎。甲子園行くんでしょ?」

「・・・行く。」

「それなら今は勉強して赤点は免れないとだめだよ?あたしはいつでもそばにいるんだから。ね?」


そばにいる


その言葉に悠一郎はふっとした顔であたしを見た。
大人しすぎる彼に少し驚いたけど
彼がすぐにいつもの笑顔を見せてくれて顔が熱くなる。







!!!」

「ん?」

「俺勉強する!!厳密に!!」

「・・・・うん!」

「野球も厳密に頑張る!!」

「うん!!」

「で、テスト終わったら即効エッチする!」

「うん!・・・うん?」





勢いでうんっていっちゃったけど・・・・・・・・・・・・

なんか今おかしかったよね?




にんまりと笑っている彼を見て






「約束な!厳密に!!」





してやられたことに気がついたけど




「え、ちょ、さ、最後のはちょっとまって!不本意だよ!!」

「駄目ー!!っていうか絶対無理。が足りないと野球も頑張れねーし勉強もできねーし!!」






ニッと笑った君の顔がまぶしくて





「・・・・もぉ・・・・・」










あたしは熱い頬を両手で挟むように押さえながら俯いて小さく頷くことしか出来なかった。













「テスト終わったら泊まりな!!!」

「ちょ!もーわかったってば!!」

「厳密に頑張る!夜はずーっとだかんな!!!」

「そっちの頑張るじゃなくて!今は勉強を頑張って!」

「わかってる!!やべ、今から超楽しみ!!」














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もーだめです。
私の思考回路は死んでます。
書きたいことが上手く文章にならない・・・・・
こんな田島様で申し訳ないです。


ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!