窓からぽかぽかと暖かな光が差し込んできて調度布団に当たっている。
鼻をかすめるのは太陽の匂いと
悠一郎の匂い。
「・・・・・ん〜・・・・」
軽く目をこすってからうっすらとまぶたを開くと、そこにはまだすやすやと幼い顔で寝ている彼の姿があった。
何度か瞬きをした後、そばにおいてあった携帯で時間を確認する。
2時34分。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
えーっと、悠一郎の家に来たのが10時50分くらいで・・・・
あれ・・・・?・・・・・・あ〜・・・・
あたしはだんだんとハッキリしていく意識のなかでゆっくりと今日の朝の事を振り返る。
『久しぶりの休みだから早く会いたい!!』
「わかった!んじゃあ早めに悠一郎の家に行くね!!何処行くとかはそのあと決めよう!」
『おう!んじゃおやすみ!!!』
昨日の簡潔な電話に胸を躍らせながらあたしは朝出かける準備をした。
音楽を聴きながら歩きなれた道を歩くのもまた楽しみの一つで。
軽く鼻歌なんて歌いながら久しぶりに会う彼の事を考えていた気がする。
でも悠一郎の家についてみれば、彼はまだ寝ていて・・・・・
何度も何度も体をゆすっても起きる気配はなく、むしろそれどころかあたしの腕を引いて一緒に寝よう〜ぜ〜なんて言い出す始末で・・・・。
しかもまたあたしもそこで誘惑に勝てず、日ごろの夜更かしのせいで早起きが体にこたえていたのもあり、
「・・・・寝ちゃったんだった・・・・・・」
自分の情けなさにため息を付くと横で悠一郎が体をよじった。
「・・・ん〜・・・ー・・・・?」
今日の回想の間にどうやら悠一郎が目を覚ましたようで、
甘ったるい眠そうな声であたしを呼ぶ。
いや、なんていうか、
普通にかわいいんですけど。(惚れた弱みかコラ)
クリクリとした目に幼い顔付き。
無邪気で人懐っこい彼はいつもこうやって不意な仕草であたしをドキドキさせる。
まぁ悠一郎は全然そんなつもりないんだろうけどさっ。
あたしはその不意打ちになかなかなれることができないでいた。
「お、おはよ。」
「おはよーーー!!!」
さっきまでトロンとしていた目はもうしっかりと見開かれていてあたしを見た後、にこーと元気いっぱいの笑顔をみせる。
「うん、ゆ、ゆう?」
「ん?」
あたしは冷静を装いながら咳払いをひとつした。
「・・・・・・・・・・・・・・・・起きた瞬間からさりげなく腰に手回してくんのやめてくれ。」
「えー!!なんでだよーーー!!」
あたしの言葉にすぐに不満そうな声を上げる悠一郎。
いやいやいや。
ちょっとまってよお兄さん。
ただでさえ同じ布団に引きずり込まれたときはああ、これ死ぬな。心臓爆発して死ぬわ。あたしの死因ときめきだわ。
なんて覚悟したくらいなのに!!!
そんなぎゅってされて、体が密着したらもうコレ完全に爆発しますけど?
そんなあたしの気も知らないで今も「あったけー」なんて言ってギュッと抱きしめてくる。
腰にスッとまわされた腕に頭の上にくっと置かれているであろう顎。
コレだけならまだしも(いや、限界なんですけど)さらにはあたしの足の間を割るように悠一郎の足が進入してきた。
その瞬間にドクンドクンと胸が大きな音を立ててなる。
心臓の音が五月蝿い。
いけないって。
これは、
まずい。
「ゆ、悠一郎!!!ちょ、ま・・・・」
一回離れて!!!と口に出そうとした瞬間。
すっと顔を上げてみれば
口は自然と悠一郎にふさがれていた。
頭が真っ白になる。
別に初めてのキスな訳じゃないのに。
いつまでたってもなれることができないでいるあたしは結局そのままされるがまま。
角度を変えて何度も何度も重なる唇はあたしの下唇を挟んでくる。
頭がボーっとしてきてもうさっきまで抵抗していた腕も悠一郎のシャツを掴むだけで精一杯で。
もう呼吸的にも心臓的にも限界というところでぐるんと体を仰向けにさせられる。
それと同時にあたしの上に出来た影。
「だーーーーもう無理!!!」
そういって彼はあたしの上に馬乗りになったままシャツを脱ぎだした。
その姿に一瞬フリーズするもののすぐに我にかえる。
「いやいやいやいやいやいやぁああああーーーー!!!!それが無理だってちょ!おいおいおいおいおおいぃいーーーー!!!!まてぇーーーい!!」
ぐっと両手を突き出すとそれをまた掴まれて、両側に開かれた。
「なんでだよーーー!!!しょうがねーだろぉおおーーーー!もうたっちゃったもんは無理だって!!」
「いやお前それ何問題発言してんだコラ!!その発言が無理だって!大体悠一郎ってそればっか!!お前の頭ん中はエロスと野球しかないんか!」
「もある!!」
「地味に嬉しいなおい!でもそれとこれとは別ーーー!!!!」
あたしの必死の抵抗に悠一郎はむぅと頬を膨らませてあたしの腕をぐいっと引っ張り体を起こさせる。
二人の間に少し気まずい空気が流れた。
悠一郎は黙ったままで、あたしも黙ったまま。
チクタクと時計が時を刻む音だけが二人の間に流れるだけ。
怒ったのかな?
傷つけたかな?
すねちゃったかな?
頭の中に少しの後悔とあせりが駆け巡る。
悠一郎は家で会うたび、セックスーセックスーなんて口にだして駄々をこねて。
そのたびあたしはずっと断り続けてきて。
どうしよう。
セックスできない女とは付き合っていけないなんていわれたら。
っていうか今はまだできないってだけで絶対できないわけじゃないし・・・・そんなつもりで言ってたわけじゃないんだけどな・・・・
ど、どうしよう、どうしよう。
さっきとは違うドキドキがあたしの胸を締め付けた。
苦しい。
そんな時、少し俯き加減だった悠一郎がすっと真剣な顔であたしを見る。
「俺の事嫌い?」
「へぇ!?んなわけないじゃん!!!す、好きだよ!!」
声が裏返った。
だって悠一郎があまりにも寂しそうな顔であたしを見たから。
全然そんなわけないのに、そんなつもりもないのに。
「んじゃなんで嫌がるの?」
「え、だ、って・・・は、はずか・・・しい・・・・から・・・・。」
「・・・・・それだけ?」
「う、うん・・・悠一郎が、す、きだから・・・・ドキドキしちゃ、うんだよ!!!」
「ホントに?俺の事好き?」
「ホントだよ!?絶対絶対厳密にホントだよ!!」
「ん!なら良かった!!」
そういって彼はいつもどおりにっと笑ってみせる。
その笑顔にほっとした反面、少し不安になった。
「ねぇ・・・・悠一郎・・・・」
「んー?」
「・・・・・・ゆ、ゆうは、なんで・・・そればっかり・・・なの?」
一瞬きょとんとした顔をしてから「それってセックス?」と首をかしげる。
あたしは黙って小さく頷いた。
「そんなのが好きだからに決まってんじゃん!!!」
「・・・・・・!」
悠一郎のまっすぐな言葉。
キラキラと太陽の光が彼の艶やかな黒髪を眩しく見せるように差し込んできて、
いつも以上に悠一郎がかっこよく見えた。
言葉が出てこなくて、あたしはそのまま彼から視線を移すことが出来ない。
向き合って手を繋いだまま悠一郎はあたしを見た。
「俺はが好きだからスゲーいっぱいギュって抱きしめたいし、スゲーいっぱい抱きしめたらそれよりも沢山キスしたいし、キスしたらそれよりも沢山セックスしたいって思うよ!!」
「・・・・ゆ、う・・・・」
「大好きって言葉だけじゃあらわせらんねーもん!でもは嫌がるから、そうじゃないのかなって思ったら俺の事好きじゃないのかなって思った。」
「そ、そんなことないよ!す、好きだけど・・・」
「うん。まぁセックスはしたいけどじゃなきゃ意味ねーし。が嫌がるコトしたら好きって上手く伝わってねーってことだからな!だからがいやだっていうんなら俺は厳密に我慢するよ。」
あたしの大好きないつもの笑顔。
この笑顔を見るたびに
また胸が苦しくなって
全身が熱くなって
どうしていいのかわかんなくなって。
悠一郎が好きなんだと実感する。
でもあたしは悠一郎みたいにまっすぐに好きって気持ちを表現できなくて
上手く伝えられなくて
自分でもそれがもどかしくて
そんな素直になりきれないところが悠一郎を不安にさせて。
一人で空回りしてただけ。
「・・・・・・ありがと・・・。」
スキって気持ちを表すことは
「心配すんな!俺は厳密にが好きだかんな!!」
ホントは簡単なこと。
「・・・・うん、」
「・・・いっぱいキスしたらなれるかもよ!?」
「いや・・・ま、まだ勘弁してやってください・・・・。」
「あ!!俺スゲーこと思いついた!!」
「何?」
「セックスいっぱいやればキスするのもギュってするのも平気になるんじゃね!?」
「あー・・・グーでなぐったらもっといいこと思いつくんじゃない?」
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ごめぇえええええーーーーーーーん!!!すしこちゃんごめんねぇええーーーーー!!!!
こんなんですがもらってやってくださいぃいーーーーーー!!!!
田島で甘いの目指したら悲劇起きた。
とりあえずこんなんじゃあの素敵エロ眼鏡阿部には見合わないと思うけど・・・・その辺は付き合いの長さでカバーしてやって。
ではではここまで読んでくださって本当にありがとうございましたぁーーー!!
AAAPANCHI、すし子ちゃんにささげます。