男の子にしては少し物足りない背


短くていつも無造作な黒々した髪


大きな口は



目が合うたびニッと横に広がって笑って見せる。




それが嬉しくてちょっと恥ずかしくてやたら幸せに感じて。

つくることなく笑顔が自然にこぼれた。









ーー!!!!」


「・・・ゆう!!」



あたしの姿を見つけると悠一郎は待ち合わせ場所の時計台から手を振りながら駆け寄って来てくれた。


「珍しいね!悠一郎がこんな早く来てるなんて。」


待ち合わせは2時半。

だけどあたしの腕時計は2時を軽くまわったところだった。


今日は部活も休みなはずだし、いつもなら「ゴメン!遅れた!?」何て言ってギリギリに走ってくるのに。
何かあったのだろうかなんて思ってしまうのは悠一郎に悪いから口には出さなかった。




「なーー」

「んー?」

「俺達ずっと一緒だよな?」

「・・・・どしたの、急に。」





やっぱりなんかあったのか。



悠一郎はあたしの手を取っていつもより少しゆっくり歩き出す。


「俺今日スゲー怖い夢見ちゃってさー」

「何、どんな夢?」

が阿部と手繋いでどっか行っちゃう夢!!!!」

「ブッ!!!!」

「怖いだろー?」

「・・・まぁ色んな意味で・・・、」



どんな夢だよ。


つかあたし阿部君と接点ないし。

まぁ夢なんていつだって意味わかんないもんだしね。

この間なんて、新宿アルタ前でドラム缶を叩くなんていう謎の夢にうなされた。






「・・・・・・・・・・・悠一郎・・・・?」




さっきよりも強く手を握られてようやく悠一郎の異変に気付く。

いつもならにかっと笑う顔が見えるはずなのに彼はまだ俯いたままだった。





「どした?」

「んー・・・俺スゲーびっくりした・・・」

「まぁ、そんなん聞かされたあたしもびっくりだわ」

「本気で怖かった。」



悠一郎はゆっくり顔を上げながら立ち止まる事なくあたしの手をしっかりと握り直した。
掌の硬い豆がざらりと感触を残す。



「目が覚めてホントにが俺の彼女じゃ無くなってたらどうしようって。ホントにホントに怖くて・・・・・」



悠一郎は「スゲー会いたくなった」と最後につぶやくようにしと付け足した。

その横顔は幼い。
少し尖らせた唇やしゅんと悲しそうに伏せられた目。






可愛くて可愛くて胸がキュンとした。







「まぁ阿部君もいいよね。カッコイイし、頼りになりそうだし。」




あたしの軽率な発言にバッ悠一郎の顔がこっちを向く。







不安そうな、まるで子犬みたいな眼があたしをじっと見つめる。







「でもやっぱりさぁ、」












言うまでもないけどさ。









「あたしの隣には悠一郎かなぁ。」










その顔に向かってにいーっと笑ってみせると悠一郎の目が見開かれる。


もちろんそのあとは



いつもみたいに大きな口が横に広がって
あたしの大好きな笑顔。








「そんなの当たり前じゃん!!!!」







「ねー悠一郎ー」

「んー?」




「あたし達ずっと一緒だよね?」











「決まってんじゃん!!!」

















強く握り直した手は暖かくて心地良かった。





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え、何これだれこれ。つかこれ私が書いたの?なんなの?誰?
誰?


ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!