図書室からそろぉーりと抜き足で出てきた所を
「あ!!!何してんの??」
誠二に見つかってしまった。
「・・・・べ、別に。本借りただけだよ!誠二こそこんなところで何してんの?部活は?早く行ったほうがいいんじゃない?じゃーあたしはコレで。」
「待った!!なんでそう急がせるかなぁ〜。彼氏ともうちょっと話してたいって気にはならないわけ?」
「・・・・いや、でもホラ!先輩達に迷惑、か、かかるよ?急がないとね!ほら!」
「・・・・・・。」
汗が止まらない。
早くこの場を立ち去ってくれ!
あたしの願いもむなしく誠二は不審そうにあたしを見た後、
あたしを連れて図書室に入る。
突然の事でびっくりしたけど、ここで抵抗したら余計不自然だし・・・アレがばれちゃうかもしれない・・・!
図書室には誰もいなくてほこりっぽい空気が漂う。
窓越しに部活動をしている生徒の声が聞こえてきて、古ぼけた時計は3時半を回っていた。
「ちょ、誠二?どーしたの?」
「何かかくしてる。」
「か、かくしてない。」
攻められて、無意識に鞄を隠すように抱え込んでしまった。
それに気づいた誠二はさっきよりも不審そうにあたしを見る。
「・・・・鞄の中になんか隠してるだろ〜?」
「・・・か、かくしてない!もう!隠してないってば!」
「見せてみ、見せてみー!!」
「だぁー!!ダメだってば!ダメ絶対ダメ!!もーあっちいってくれぇーー!!」
「・・・・」
「うっわ!!」
不意に耳元で名前をささやかれて一瞬気を取られた隙に、誠二に鞄を取り上げられてしまった。
「ちょ、ずるいよ!バカ!」
「バカだもぉ〜ん。」
べぇと舌を軽く出しながら鞄のファスナーを下ろす。
たのむ!ファスナーよ!!かんでくれ!かんであくんじゃない!!一生あくな!!
そんな願いもむなしくジィーと音を立てて下げられる。
鞄の中から茶色い紙袋がとりだされた。
ああ、もういっそうの事あたしの心臓もあたしの体内から取り出してくれ。
「ん〜これ・・・は・・・・・・・・コレで彼氏のハートをバッチつかみ取り☆女の魅力を最大限に引き出す仕草服装ポイント50・・・・・・?」
一瞬首をかしげたあと、誠二の笑い声が図書室の静寂を破った。
「・・・あーもー!!!んな笑うことなくない!?ねぇ!!?ちょっともー!!!誠二なんて嫌いだぁあーーー!!!!」
「ごめん!ごめん!!!だって、が・・・こんな本読んでるなんて思わなかったから・・・・」
誠二はひーひー言いながらあたしの肩をぽんぽんたたく。
あたしは誠二から取り上げた雑誌を両手で抱え込むようにしてギュッと持った。
「買ったの?」
「・・・・うん。図書室は誰も来ないから・・・ここで読んでたの。」
「そっかそっか。・・・気にしてんの?」
そりゃ気にするでしょ?
彼氏がこんな、サッカー部エースで、かっこよくて、性格も良くて、みんなの人気者で、女子からもモテモテで・・・・
ぶっちゃけ呼び出されたことだってあるんだからね!?君には言ってないけど・・・。
少しは自覚してほしい。
正直気にするでしょ?
別にあたし普通だよ。これぐらいはしなきゃって思うよ。
「・・・・・・。」
「・・・・。」
「もー笑うんだったら笑えー・・・」
そういってふいとそっぽを向いたら、それを無理やり大きな手で阻止される。
誠二に顔を掴まれた。
「ってば超かわいい。」
「うるせーバーカ。」
お前のがかわいいっての。
そんなニコニコ顔で見られたら、
あたしも釣られて笑っちゃうじゃん。
「そんな雑誌読まなくったってもうそんなに夢中なんだけど。」
「・・・・それはありがたいんだけど。つーか恥ずかしい事面と向かっていわないでください。照れます。」
「アハハハ。照れろ照れろ。」
「・・・・バカ。バカ代。」
「・・・・・、」
「ん。」
ゆっくり誠二の顔が近づいてくる。
「んぐ・・・!!」
「ここは学校です。」
あたしは雑誌で口元を隠していった。
ホントはしたいけど。
今は本越しということで。
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本ということで・・・!うーん・・・一応あっては・・・いますよね?お題にそってますよね?
なんというか・・・誠二の彼女はホントに大変だと思う。絶対男女に好かれてるしなんつーか、あんま気にしないで接しそうだから、誠二を
好きな女の子が多そう・・・!あんなにかっこいいしね!!!
ということでここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!