ポタリ、ポタリと垂れ落ちる水滴。

それは真っ赤だった。



重力に逆らうことなく、床に引き寄せられていくように落ちていく。










「ギャァアアァアァァアアアアアアア!!!!ひひひひ土方さんの馬鹿!エッチスケッチワンタッチ!!!」

「ハァアァアアァアアアアア!!!!!?古っ!!ギャグが古すぎる!死語にもほどがあんだろ!!つか俺か!?俺が悪いのか!!?」

「ああああたりまえじゃないですか!!!何してるんですかこんなところで!!のぞきですか!!?あたしの裸体にそんな興味津々ですか!?」

「んなわけあるかボケェエエェエエ!!!!お前の裸見るぐらいならコナン全巻読み返す方がワクワクするっつーの!!」

「そんなこと言っちゃって!!興奮のあまり鼻から血が出てるじゃないですか!!!」

「これはテメェーに殴られたからだろーがあぁぁぁあああああ!!!!」









せっかくいい気分でお湯につかってたのに!!
この後ワクワク気分で甘味所に行く予定だったのに!!!


体を洗おうと湯船から上がった時、カポーーーーーーーーンと桶が落ちる音がして



音の方へと首を向ければ





湯気の中からぼんやりと見えたのは


鬼の副長であり、


実は恋人でもある




土方十四郎だった。






目はガッと見開かれていて、




あたしもガッと見開いて見て









「ウァアアアアヤァアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!」


























思い切りグーで殴った(助走もつけて)

















そしてなんやかんや











「すいません・・・・・・・大丈夫ですか・・・・・・・・」










今に至る。















土方さんの自室に呼び出されたあたしは正座で俯いたまま謝った。



札をちゃんと清掃中にしていたつもりだった。
この屯所で女はあたし一人しかいないから、お風呂はいつも夜遅くか昼間の掃除の一時間前って決まってて。
でも、どうせこんな時間に風呂入る人とかいないだろーし、掃除が終わりたてのピカピカのお風呂に入りたくて、
きっと清掃中ってかけておけば誰も入ってこないよねとか思ってたら


あたしはすっかり札をかけ忘れていたらしく、


土方さんが全裸で登場してしまったらしい。



まぁ風呂なんだから当たり前か。






「おい、。」



土方さんの厳しい声にビクッと肩を震わせる。




「はい・・・」

「顔上げろ。ちゃんと謝る気あんのかお前。」

「あ、あります!!」


で、でも顔をあげたら・・・・・・・・・



「いいから上げろ。」


「は、はい・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ッブッ!!!!!!!!!」

「ふきだすんじゃねぇえぇええぇええええええええ!!!!!!!!」





いや、無理です副長。

両鼻にカールみたいなティッシュを詰め込んだ土方さんの真面目な顔をみて、誰が笑わずにいられるというのですか。
さっきすれ違いざまに沖田さんは泣きながら写メ撮ってたし(なぜか連写機能で)

土方さんの治療にあたった山崎さんに関してはげっそりするぐらいに笑ってたし。
まぁその後ぼっこぼこにされてたけど






「ったく、どいつもこいつも・・・・・・・」


っちっと不機嫌そうに舌打ちをして、土方さんはティッシュを鼻から引き抜いた。
先は真っ赤に染まって入るものの、もう大丈夫そうだった。


「と、止まりました?」

「あ?平気だろ。たぶん。こんなんじゃみっともなくて仕事にも出れねぇーしな。」

「え、土方さんってこれから外回りの仕事だったんですか?」

「まぁな。」




え、あれ?





「行かなくていいんですか?」

「あぁ?、お前のせいでもあるんだろうが。」



ああ、そうでした。
それでもなんだか引っかかるよーな・・・・・・。








「ったく、もう裸なんて見られて騒ぐほどの仲じゃねーだろ・・・・」

「ちょ!!そんなことないですよ!!だ、大体恥ずかしいんですからね!毎回毎回・・・電気けしてくれないし・・・・」

「うるせーな、俺の趣味だ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

「ひいてんじゃねぇ!!」








「と、とにかく殴ってすんませんでしたー、んじゃあたしはこれで」





すっと立ち上がった時に気がつく。


服の裾をつかんで離さない手があることに。






「・・・なんですか?」



「さっきも言ったじゃねぇーか。このままじゃ仕事も手につかねーって。」






いつもどおりの声で、

いつもどおり煙草の火を消す姿。





でも、目は


ちょっとだけ違う。

















「抱かせろ。」










「なっ!!!!!!!」







その一言を合図にそのまま力強く引き寄せられて、
簡単に組み敷かれてしまう。

あれ、おかしいな、あたしいつもちゃんと鍛練してるんだけどな。
ああそっか。この人の前ではいつも隙だらけってことか。



って違う!!!!!!!!!




「なにすんだコラ離せ!!!つか何!?お昼ですよ!!」

「んなもん知るか。」

「はぁああああぁぁああああ!!!?」

「欲情した。」

「はぁあぁあぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!?」











「さっさとこれ収めて、働かせてくれよ?部下なんだからよぉ・・・・・」




「上司のサポートはしっかりしなきゃなぁ」と楽しそうに笑う土方さんの声が耳元で響いた。





そのあとはあたしが何を言っても無視。


あたしは今日は季節限定パフェを堪能する予定だったのに。
きっとこの小一時間で腰をガッタガタにされた挙句、


今日の夜も寝かせてもらえないだろうと思った。





それはぼんやり見えた土方さんの部屋のカレンダー。






明日のところに「休」と赤ペンで書き込まれていたから。














「土方さん!ああたしあ明日仕事!!!明日仕事!!」

「午後からだろ?」





あ、知ってました?ばれてました?








そうやってあたしに対して上から返事をできる言葉だけはしっかり返してくるんだからかなわない。




あたしのせっかくの休みはどうやらこのまま土方さんにつぶされてしまうようです。






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あんまり無視関係ない!!関係ない!!!でも気にしない!!土方さんが書きたかったから!!!
本番なしのぬるいやつ。ホントすんません。


ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!