「ん。」
「・・・あ。」
桜ヶ丘校の問題児だ。
金髪頭がトレードマーク。
でも、その辺のチャラ男とは別物で、筋肉質な体はいやでも目につく(あたしだけかもだけど)
それに、目つきは悪いものの整った顔には思わず見入ってしまうほどだ。
深沢遥輔。
こんなに近くで彼を見るのは初めてで、
体温が一気に上昇する。
顔が熱い。
「・・・お前こんな時間まで何してんの?」
「え、今何時ですかね・・・?」
「8時20分。」
「ぇえええ!?」
思わず声が裏返った。
「ね、寝すぎた・・・。」
「は?」
彼は眉をしかめてあたしを見る。
まぁ、その通りですよね。うん。
寝てました。寝てましたよ。
いや、なんていうかね、一回起こしてもらったんだよ。それは覚えてる。覚えてるけど・・・!
つーかなんでこんな時間まで寝ちゃったよあたし。
育ち盛りかっ!!っていうか何?なんで誰もこんな時間まで起こしてくれなかったの!?
友達いないの!?起こしてくれる友達いないの?
つーか友達じゃなくても良いから誰か声かけてくれてもいいんじゃない?
「いや、あのね!友達はいるんだよ!?いるんだけどってうっわぁ!!」
あたしが必死に弁解しているとき、今まで正面にいたはずの彼はいつの間にかそこにはいなくてそれと同時に生じた体の違和感。
「・・・寝てるわりには成長してないねぇ。胸。」
真後ろから胸をわしづかみにされていた。
「ちょ、おおおおおお!!?っふ、ふふふふふーーー!深沢君!それは軽く犯罪だよ!!!」
「む、・・・。」
「えぇ!?」
深沢君は振り返ったあたしの手首を掴んで今度は真正面からあたしを椅子の上から見上げる。
ま、まつげ長い・・・!
やっぱりこんな近くで見れることなんてないから、まじまじと見つめてしまう。
深沢君が深刻そうな顔をした。
「お前・・・着やせするタイプだろ・・・」
「・・・・・・・うん。」
じゃない!!
「っていうか失礼だから!いきなり女子にそーゆーの言うの失礼だから!!」
「じゃん。」
「コラァ!!あたしだったらいいんかい!!」
「ぁあ?」
逆ギレ!!(しかも超怖い!!)
だめだ。この人怖いよ。スーパー怖いよ。
結構いいもの見れたって事でね、もう今日はおいとましよう。うん。そうしよう。
「・・・いや、あ、あの・・・・すいませ・・・あたしそろそろ帰らないと・・・・」
とりあえずとんずらしようと決めたあたしは恐る恐る深川君に切り出して一歩後ろに下がる。
でも、あたしの気持ちとは裏腹に深川君は手を放してくれるどころか力強く自分の方へと引っ張った。
あまりに力が強くて少しよろけて前傾姿勢になる。
「ぇえ!?」
それを待っていたかのように深川君の手があたしの頬に触れた。
「・・・・・・・・・・。」
深川君は何も言わない。
あたしは顔が熱くて、心臓の音がうるさくて、口がだらしなく開いたまましばらく深川君をみる。
すると彼の肩が小刻みに震えだして、
口元が笑っていた。
「、寝あとついてる。スゲーついてる・・・!そんな顔でかえんの?」
「ぇえ!?」
深沢君の手があったところに自分の手を当ててみると
それはもうくっきりはっきりとあとがあって。
なんかもうクレーターみたいになってるよこれ。
多分原因はまくらにしてた鞄についてるキーホルダーの金具かなんかだと思う。
とにかくはっきり残ってるのはさわっただけでよくわかった。
「うわぁ・・・・・どーしよう・・・・」
時間も時間だからあとが薄くなるまで待ってる余裕もないし・・・・
両手でほっぺたを押さえながら帰るしかない・・・・!!!
そう決意して、あたしは自分の鞄に手をかけると
「帰るのか?」
と深沢君が小さく言った。
あたしはうなずく。
「ほっぺた押さえながら帰る・・・・。」
「・・・・・ふーん。」
「・・・・何?」
「俺と晃一はまだ部室にいるぜ。」
・・・・・・晃一・・・?
あ、寺尾君だ!
あの優しそうなエロ顔の!!
そういえば二人とも自転車部なんだっけ!!!
って・・・・さ、
「え・・・だ、だから・・・?」
あたしが頬をさすりながら言うと、深沢君は口をへの字にまげて眉を寄せる。
そしてずかずかとあたしのすぐそばまで来た。
「!!いひゃひゃひゃひゃーーー!!ちょいひゃいひょ!!」
急に寝痕がついているほうのほっぺたを思い切り横に引っ張られた。
痛くてちょっと涙がでたけど、それ以上にビックリした。
ホントに鼻と鼻がぶつかるんじゃないかってぐらいの距離まで深沢君がつめてきて、さっきよりも怖い顔であたしを見てる。
何!?あたしなんかした!?
っていうかまつげ超長い!すごい、うらやましなぁ・・・こんぐらい長かったらきっとマスカラいらずなんだろうな・・・・
ドキドキしながらもくだらないコトを考える余裕のある自分に少しあきれる。
深沢君はあたしのほっぺをつねったまましばらく黙ったままで、さすがにこの状態はつらい(痛いしだんだん恥ずかしくなってきた)
そろそろはなしてほしいなぁ・・・と恐る恐る目で訴えてみると深沢君は大きなため息をついた。
「だから、この俺が送ってやるっていってんだよ。」
「ひぇ?」
「・・・。」
「いっひゃぃいいいいいーーー!!!!」
「だーかーらー送ってやるっていってんだよ!!部活終わるまでまってろ。」
「・・・・は、はいぃ。」
「・・・何してんだよ。」
「え・・・」
「ほら、部室行くぞ。」
「え、あ、はい!!!」
ほっぺを放してくれた深沢君は今度はあたしの手をつかんでぐいぐいとひっぱっていく。
あたしも抵抗することなく、その力強い腕に引かれてそのままあるいた。
「えっと、あの、深沢君。」
「あー?」
「ほ、ホントだいじょう」
「あー、いや、どうせ遅かれ早かれ部室に行くことになんだから。今日送ってってやる。」
「ぇえ!?遅かれ早かれ!?何が!?なに!?」
「マネージャー決定。」
「ぇええええーーーー!!!!」
「なんか文句あんのか?」
「い、いやぁ・・・な、ない・・・です・・・。」
深沢君。
めっちゃ怖いけど、
めっちゃ強引だけど、
めっちゃヤクザだけど、
めっちゃかっこいいけど、
ちょっと優しい、
ちょっと・・・・好きかも。
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初、オバドラです!!!遥輔さんめっちゃ好きなのに夢小説で表現できないことが悔しい・・・!!こんなに好きなのに!!!
ああ、深沢遥輔!!今度はもっとかっこよく書きたいです・・・!
ここまで読んでくださってホントにありがとうございました!