「ねーねー泉!!」

「何?」

「サンタクロースっていると思う?」

「いるんじゃねーの?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」




あたしは思わず日誌を書く手を止めた。

絶句。




「んだよ。」


頬杖をしたまま泉が上目使いであたしをみた。




「いや、意外すぎて・・・・。」

「はぁー?」

「だってあの泉が!!サンタクロースなんていう非現実的な存在を信じるなんて・・・・・!」

「・・・・お前が聞いてきたんだろ?なんなんだよ、マジで。」

「だってだってだってーーーーー!!!」




あの、あの泉が!?あの泉ちゃんが!!?
見た目はかわいい子ちゃんなのに中身は結構毒づくあのツンデレ小僧が!!(デレを見たことがないのだけれど!!)
サンタクロースを信じるだってぇえーーーー!!?


「ふ、ふははは、ふはははははぁあぁーーーーー」

「・・・何その笑い方。めちゃくちゃ気持ち悪いからやめろ。」

「いや、だ、だって・・・・だ・・・ふはははははぁあーーーーー」

「ひっぱたくぞ。」

「すいません。やめてください。」

「ったく・・・さっさと日誌書いちまえよ。」

「う・・・はーい。」

泉ににらみを聞かされしぶしぶ日誌を書き進めることにした。
しぶしぶの理由はひとつ。


もっと泉と一緒に居たいからだったり。



二人で日直の日。
あたしがコレを書き終えたら泉は部活に向かう。
(はじめは「お前これ一人でかけんだろ?任せた。」って言われると思ったけど「お前一人じゃ何書くかわかったもんじゃねーから俺が見張ってる。」なんていわれた!)
だから、この二人っきりの間に、あたしは今日一世一代の告白をしようと思う。プレゼントだってちゃんと用意してきたんだから。
クリスマスは泉と過ごしたいから・・・
今日のうちに絶対絶対告白する。
だけどなかなかタイミングをつかめない。
無駄な話ばっかりふって・・・・そんなことがいいたいんじゃないのにーーって思ってはいるんだけどなぁ・・・・
上手くいかない。




は?」

「ぇえ!?」





「いると思う?サンタクロース。」

「え・・・・い、いるんじゃない?毎年あたしのところには来ないけどね。」

「ふーん。」

「なんで泉はサンタクロースがいると思うの?」

「あー・・・なんつーか・・・」

「何、」










「俺だけのサンタクロースがいるんだよ。」







「は?」





泉が黙った。
それを不思議に思って日誌を書く手を止めて目の前の彼に視線を移す。



あ。




視線を移したことを少し後悔した。




泉は頬杖をついたままニッと不適な笑みを浮かべて

あたしをう上目使いで射抜くみたいにじっとみていたから。


めちゃめちゃかっこいい。



なんなのこいつ。
むちゃくちゃかっこいいんですけど。
あーもー悔しい。惚れた弱みってやつかな。
あたしは軽く目をそむけた。





「だから、俺だけのサンタクロースがいんの。」

「い、意味、わからないんですけど・・・・・」

「だけどさーそのサンタクロースがまたつかえねぇー奴でよ。」


あたしの混乱なんてシカトで泉はたんたんと話を進めていく。


「クリスマスと間違えて今日プレゼント持ってきたみたいなんだよ。」

「きょ、今日・・・?」



この時点できっと両親ではないんだろうなとわかった。
まぁ泉が親をサンタだなんて思ってないんだろうなとは思うけど。







「しかもなかなかわたさねーし。」

「へ、へぇ・・・こ、困ったサンタもいたもんだねぇ・・・・」





あたしはゆっくりまた日誌を書き出す。

赤くなった顔が、泉にばれてない事を祈りながら。

ぶっちゃけサンタなんてどうでもいいや。
泉には悪いけど今は自分の事で手一杯なんでね。
日誌を書きながらも自分がどんな内容を書いているかなんてわからないぐらい、
あたしはドキドキしていた。



「・・・・・・・・・・・ホント、」

「ん?」





ため息をついた泉が、




「おわぁ!!」




あたしの手をシャープペンごと掴んだ。
あたし達以外誰もいない教室にあたしの声が響き渡る。
バッと顔を上げると眉間にシワをよせた泉がニヒルな笑みを浮かべていた。






「困ったサンタだなぁ・・・・さんはよぉ」













「はぃいい?」






「さっさとくれよ、プレゼント。」




「はいぃいいい?????」







この人なんで知ってんの!?



「さっき鞄の中見えた。」






きぇええええええええーーーーー!!!!!!








「メッセージカードも」





ひぇええーーーーーーーーー!!!!!!!!







「だから早くくれねぇーかなって思ってたのに、全然渡す気配ねーし。」






なんだよなんなのどーなってんの!!!!
っていうかこの人あたしの心読めるんですか、
っていうか手!!手!!!恥ずかしいってドキドキするってマジで!!!



あたしが口をパクパクさせていると「変な顔」とあたしの手を掴んでないほうの手で頬を軽くつねった。





「ゆ、夢じゃない。」

「夢じゃねーよ。」



ぱっと手を離されて

あたしは急いで自分の鞄をあさる。
青いリボンのかかった縦長の箱を見つけてとりだす。
あたしはゆっくり深呼吸をした。



「う、え、えっと・・・・はいこれ・・・・・」




震える手で泉に差し出した。



だけど泉は受け取ってくれない。




ど、どういうこと・・・・?
なんかあたし間違えた?


「え、えと、い、泉・・・・?」




「足りないって。」




「・・・・・・へ?」





い、一個じゃたりないってこと?
それとも小さいってコト?

え、何々?
何が?

「何が!?何がたりないの!?何!!?」



あたしが一人であたふたしていると泉は椅子から立ち上がって、あたしの差し出したままの両腕を前に引っ張った。
上半身だけ少し泉の方に引き寄せられて、



泉が耳元で


小さく


だけどあたしにはちゃんと聞こえるように




ささやいた。






「・・・・・・・!!!ちょ、な、なんで!?え、うそ!!なんで、しって・・・・」


「いいから、早く!!俺部活いかなきゃなんねーんだからさ。」

「う、あ、あ・・・・ず、ずるいよ!・・・も、もう、わかってるんなら、知ってるならもういいじゃーーん!!!」





「早く。」とまた泉が不適な笑みを浮かべる。
ずるいよ、そんな自信満々な顔。


あたしは詰まる喉を必死にこじ開けて、
俯いた。







「い、ずみが・・・・好きです・・・・付き合って・・・・ください・・・・・」









するとプレゼントがすっと手からとられる。
泉からの返答がない。
不安に思って恐る恐る顔を上げると
。」
泉の顔がまん前に、あって






唇が軽く触れる。





軽く触れただけなのにめちゃくちゃ熱く感じて、


焦点が合うぐらいまでに離された泉の顔をあたしは目を見開いて黙視した。





「俺もが好き。」







ニコリと笑ってそう一言言った後、泉は肩に鞄をかけて「じゃー後でメールする」といいながら教室を出て行った。


あたしは呆然としたまま泉の背中を見送った。



でもその余韻にしばらく浸ってはっとする。





あたし泉とキスしちゃったよ!!!
っていうかそれ以前にスキって!すきっていったし言われたし!
あれ、あれずるい。




熱くなった顔を両手で覆いながらあたしはさっきの事を思い出す。












『好きって言って。でなきゃ俺は返事しないし受け取らない。』






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泉君編。
意地悪な君って感じのタイトルイメージで。
なんていうか初泉なんですよね。誰だコイツ。
ほんとすいません!!

ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!!