「ゆーとぉー」

「はいはい、なに?」

「寒い。」

「そりゃ冬だからねぇ。」

「ゆーとは?」

「ん?」

「寒くないの?」

「・・・・が横にいるから寒くないよ?」



さらっと恥ずかしいコト真顔でいいやがって・・・・・・

でもそんな勇人が大好き。

あたしは紅潮する頬をマフラーで少し隠して

勇人が差し出してくれた手をそっと握った。


がいれば、なにもいらない・・・・メリークリスマス・・・・僕の愛するマイスイートハニー」





「・・・・・・・・・・・っというクリスマス!!!どうよ!?これどうよ!?」


あたしは学校の机をダンダン叩きながら興奮気味にに訴えた。

はもくもくと箸を口に運ぶ。



「・・・・・キモイ。しかも僕の、と、マイが重複してるし。キモイし。」

あたしを軽蔑した目で見ながらそう一言はいた。


「コーーーーラーーーー!!!それ言っちゃだめ!!っていうか真面目な顔して言わないでよ!?友達だよね!?ちゃん?あたしたち、友達だよね?」

「違いますけど。」

「ぇええええーーーー!!?即答かぁーい!あたしはずかし!何!?今まで友達だと思ってきたあたしはずかし!!」

「そーだね。」

「っていうか流さないでよ!!ねぇ!?どー思う!?さっきのあたしの夢どーおもう!?」

「え・・・・だからいってんじゃん。キモイ。」

「・・・・。」

「・・・わかったわかった。」


さすが!!
あたしはの返答に胸を高鳴らせる。



「気持ち、悪い。」




そーきたか。



「・・・分けた。分けてきた。気持ちと悪いを分けてきたか。余計傷つくわ!!」




「だって気持ち悪いんだもん。だいたい栄口君そーゆーキャラじゃないでしょ?何?二人っきりだとそーなるみたいな人なの?」

「いや?全然?」

「ちっげーのかよ!!じゃーもー絶対無理だ。お前一人の気持ち悪い妄想でおしまいだ。はいおしまい。」

「おおお!!ちょっと勝手におしまいにしないでよ!!」



もうすぐクリスマス。
あたしはテンションをあげずにはいられなかった。
なぜならば



、後ろ、後ろ。」



初めての



・・・・・ちょっと、いいかな・・・・」





彼氏と過ごすクリスマスなんだから。




「ゆーと!!!」



が顎で後ろをさすから何かと思えば!!
そこにはあたしの恋人栄口勇人の姿。
あたしは「大丈夫だよ」といって勇人の方に向き直った。
ちらりとあたし達の様子を見たはお弁当をたたんで「もーご飯食べたから栄口座ってていいよ」と席をはずしてくれる。
(天才的に空気の読めるいい友達をもったあたし!ちょっと自慢ですけどなにか?)



「どしたの?クラスまで出向いてくれるなんて珍しいじゃん!」

「あ、うん。ちょっとね・・・・」


あたしのはしゃぐ様子に勇人は表情を曇らせる。
・・・・・・「あーの・・・えーっと、ね・・・」と何度も何度もうなるみたいな声を出して頭をかいた。
さすがのあたしも勇人の異変に気づききっとこれはただ事ではない・・・!そう思った。





「・・・・・わ、わかれ・・・ばなし・・・・!」

「ちがうちがうちがうちがう!!」

「じゃー・・・何!?」

「うん・・・実は、ね・・・クリスマスの事なんだけど・・・・」


あたしは生唾をゴクリと飲み込む。







「ちょっと外せない用事が・・・出来ちゃって・・・・」







まさぁ〜かぁーーー・・・・・・??








「一緒にすごせなくなっちゃった・・・・・・・・・・・・・んだよね・・・・・・・・・」








「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」










・・・・・・・・・・・・・・・・






「そう、か。」


しばらく続いた沈黙。
あたしの口から出たとは思えないカラっと乾いた声。
冬の乾燥した空気が喉を切るみたいに痛く感じた。



・・・?あ、で、」


普段のあたしじゃない。
勇人の声
上手く聞こえない。


「いや、大丈夫!全然大丈夫だよ!気にしないで!!」



違う

「ごめん!ホントごめん!で、でもあの」


聞きたくない


「いやははははあはーーーい!!大丈夫だよ!クリスマスなんて平日平日ぅー!!気にしないよ☆」


かき消してしまいたい。


「いや、あの、だ、」


楽しみにしていた
自分の幻想
クリスマスに抱いた夢



「だーーーーもーーー大丈夫だってばぁ〜!まったく勇人は!いい人ちゃんなんだからぁん!ホラ!もう教室もどらないとチャイムなっちゃうよ?さ、戻った戻った!!」


恥ずかしいな
一人でもりあがっちゃって



!!!ちょっとまって、だから俺、」




勇人の大きな声にあたしは口をつぐんだ。







今まで感じたことのない緊迫した空気。
あたしはお弁当箱のふたを閉じる。








「ごめん。戻って。」

「・・・・・。」

「大丈夫。今は勇人と話したくない。すぐ元に戻るから。」

「・・・わかった。ごめん。」







勇人がいなくなって
授業がはじまって
それでもあたしの気持ちは総簡単には切り替わらない。


かつかつと先生が黒板にチョークで字を書く音、
みんながノートにカリカリとシャープペンを走らせる音、
コソコソと喋る声、
隣から聞こえてくる笑い声、
ウザイ。全部ウザイ。




最後に見えた勇人の顔。
何か言いたそうだった。
理由なんて聞きたくない。
聞いたところでどうにもならないし。
っていうかなんであたしこんなすねてんの?
別にはなから一緒に過ごそうだなんて約束してたわけじゃなかったじゃん。
勝手に過ごせるって思ってただけ。
ドタキャンされたわけじゃないのに
なんで勇人があやまってんの。
なんであたしが怒って
落ち込んでんの?


だって楽しみにしてたんだもん。
初めてできた彼氏だったんだもん。
一緒に過ごすもんだと思ってたんだもん。
プレゼント渡して喜ばせたかったんだもん。
普段こんな馬鹿みたいなキャラだから
こんなあたしだけどこれからもよろしくねってこっぱずかしい事を伝えられる
その勇気をくれる特別な日なんだもん。
だから、だから、





「すいまっせーーん。」



あたしはスッと挙手する。
先生のチョークを持つ手が止まった。
と思う。
実際見てないからわかんないけど音がしないし。



「どーした。」

「なんかちょっと具合悪いんでー保健室まで行ってきます。」

そういいながら椅子を引いた。



「一人で大丈夫かー?」と先生の声に黙って頷いてあたしは教室をのろのろとでる。
俯いたまま、静かな階段をのっそのっそと降りて、静かな保健室のベットにうつぶせに寝た。
どうやら先生は今いないらしい。
そいつは好都合。
あたしはこれでもかってぐらいにワンワン泣いた。
あたしってこんな泣き虫でしたか?
自分でもおどろくぐらい。
何が悲しいかってさ、



勇人にあんな顔させたって事。



普通に今まで仲良く過ごしてきた。
それなのにあたしのわがままで、
勇人を困らせた。
嫌われたかもしれない。
それが今一番辛い。





体を起こしてベットに座る。
両手で顔を覆ってみるけど、涙は止まらない。
ぽたぽたぽたぽたシーツに丸いしみをつくっていく。








「っく・・・ひっ・・・・うぇ・・・っぐわぁ・・・・」


バカバカバカバカ
あたしの馬鹿。









「ば、かぁ・・・ばぁ、・・・あた・・・し・・・の・・・ば、」
「馬鹿。」


「っ!!!!」

喉が詰まった。
だってここでは聞こえるはずの無い声とぬくもり。
後ろからぎゅって腕をまわされて肩には暖かくて少し重いもの。
うなじあたりを自分のものじゃない髪がかすめる。







「ホントは馬鹿だよ。」

「ゆっ・・・と・・・?」



整わない呼吸の中でやっと発せた言葉。
それに彼は「うん」と小さく言った。





「な、んで・・・?」

が教室でてく姿見えたから俺も抜けてきたんだよ。」



優しい声があたしの心をなだめるみたいだ。
勇人の不思議な力。




、ごめんね?」

「ちが!!ごめ、ん!あたし、が、かっ、てに・・・ご、め・・・んなさ、い・・・」



やっと素直に謝れた。
それが嬉しくて自分の首にまわされた勇人の手をぎゅっと掴む。












「落ち着いた?」

しばらくして勇人が言った。
あたしは黙って頷く。

「よかった。」





「じゃー本題。」



「・・・・・・・え・・・」


「今から本題に入るね。」




豆鉄砲にでも打たれたかのようなあたしの顔が目に入ったのか、クスクスと勇人が笑った。




いやいやいや、本題って・・・・なに?






「いやね・・・クリスマスイブ、24日はちょっとだめだけど・・・・」

「うん」

「だからね、別の日に・・・クリスマスやらない?」








「・・・くくくくくっ・・・・ハハハハハ!!!!ちょ、その顔ずるい・・・お、面白い・・・!」

「・・・・だって!だってだってだって!!!」



嬉しかったんだもん!!
びっくりしたんだもん!!!
うわーーーーー!!!!!
口元に手を当てて必死ににやけを隠すけど全然勇人には通じずに笑ったまま。

・・・・っていうか私の今の顔はそんなに面白いのか。
ちょっと気になったけど・・・まぁいいや。






「俺だって楽しみにしてたんだけど・・・ちょっと遠い親戚に不幸があってさ、色々忙しくなっちゃうんだよね。」

「そー・・・だったんだ・・・・」

「だからさ、また日を改めっていうのは・・・だめ?」

「だ、だめじゃないです!!全然だめじゃないです!!」

「よかった・・・・・・」



「ムードでないじゃんとか意味ないじゃんとか言われたらどーしようかと思ってた。」
無邪気に勇人が笑った。











それから数日後
12月30日。


勇人がくれたシンプルなラインが入ったリング。
ケーキをほおばりながら受け取ってしまって、
ついでにその顔を見てまた勇人が爆笑して、
あたしが怒ってポカポカ勇人の事を殴って、
その時に急に手を掴まれて引き寄せられて、


こつんとおでことおでこがぶつかって






ささやくような小さな声。








「知ってる?男が女にアクセサリーを渡すのって、独占欲の表れなんだって。意味わかる?」








その甘い台詞と笑顔に



あたしはずいぶん遅くなったクリスマスを満喫したのでした。















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栄口編。

消えうせろ!私!死ね!!私!!
夢小説を書くものとしてキャラがだれ?名前出てなかったらだれ?っていうのはいかんだろ!!!!
書きなれてないとはいえいかんだろ!!!
ホントすいません・・・・


ここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!!