「・・・・・・・・・・・。」

「これはまずいだろ。」

「うん、これはひどすぎるね。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」





きれいな手書きプリントが、ほぼ真っ白け。








あたしは今非常にやばい状態にいる。



テスト一週間前。



バスケ部と共に、勉強にいそしまなければいけない状態に追いやられていた。









そもそもことの発端はすべて流川君なんだ。
ちくしょう!!!




それはほんの3日前のこと。
いつも通り流川君と二人でお弁当をつついていたときだった。
すっと黒い影が2つできる。



見上げてみれば




「三井君、さん」

「なんだその他人行儀な言い回しは」

三井がピクリと眉を動かす。

「だってこの登場の仕方からして、やな予感がするんだもん!怖いじゃん!!」

「さすが、わかってるね、じゃあ流川君借りるよ」

にっこりとが笑った。




「あ、どうぞどうぞー」


なんだ、そんなことか、よかった!!
ほっと胸をなでおろしていると、ひょいと腰をつかまれて、視界がぐんと高い位置に持ち上がった。




、お前にも来てもらうからな」


「ちょ!!なんであたしも!?」



三井があたしを肩に米のごとく担いで軽快に歩き出した。(せめてお姫様だっこがよかった)


「そーしないとコイツが動かねぇからな!!・・・やっぱちと重いな・・・・」

「うぁがあああああああ!!!!!!!!!やめれぇええええ!!!!!!」





「む、」


あたしを眼だけで追う流川君。



「先輩・・・・・」

「返してほしかったらついてきな、先輩命令だ」








ふ、そんなんで流川君が釣れるわけが
































































言い終わる間もなくあたしと流川君は会議室に徴集された。





い と も か ん た ん に





がってむ!!!



そこにはバスケ部で見たことのある顔がそろっていて、
あたしとだけが部外者とみた。

いったいぜんたいなんなんですか、怖すぎるんですけど・・・・!!!


「すまんな、にまで集まってもらって・・・・」

「赤木君!!一体なんであたしまで!?」




、もうすぐ何がある?」

「えっ?」








がにっこりと笑う。(本日2度目)











「テスト・・・・・・・・・・・・あるよね?来週から」













「いや、ちょっと・・・存じ上げな「あるよね?」

「・・・・いやあの、「あるよね?」

「・・・・・・・・・・あーー、あの「あるよね?これ以上コピー&ペーストさせないで」


「・・・・・・・・・・・・・ありますね・・・」


「それでね、流川君や寿に赤点とってもらっちゃ困るわけ、バスケ部が」

「へー・・・・」

「んで寿の面倒はあたしが見るからいいとして、流川君のほうは・・・・」




「あたし!?」




「いや、まぁには無理なのはわかってるから、だからおまめとして一緒に勉強してもらうってことになったんだよね!」

「いやいやいやいやいや!!おかしおかし!!なったんだよっておかしいでしょ?何あたし抜きであたしの話を決定しちゃってるわけ!?おかしいでしょ?そしてさりげない戦力外通知!」



「赤点しかとらないあんたが勉強しない意味がないでしょ」




が長い溜息をついた。




「そんなことないって!!勉強以外でも大事なことってあるよ!!?人としてさ!!!」

「たとえば?」

「万物を愛す心」

「よし、愛する彼氏のためと、愛する教科書のため頑張ろうか」

「のぉおぉおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」








軽くあたしの肩に置かれた手は、
指先がめりめりと皮膚にめり込んでいって




あたしは逃げられないと悟った。









こうしてあたし(達)は、はめられ勉強する羽目になったわけで。






















「うーーーー・・・全部流川君のせいだ・・・・・」

「うるせ」




会議室、横並びで文句をたれる。





「馬鹿」

「お前だろ」




っく!減らない口ね!むかつく!


「はい、そこおしゃべりしない!手が止まってるよ!」



向かいに座っているがきっとにらんだ。





「うーーーーーーーーーー・・・・・・小暮君ーーここわかんないよー」




怖くて、すぐにあたしの専属の先生(とりあえず今だけだけど)小暮君に視線を移す。



「ん?どこだ?」



あんまり話をしたこともないあたしにとびきり優しく勉強を教えてくれる彼は、
自分のやっていたところから視線をあたしにもってきてくれた。




「えっと・・・ここ、ここ、ここの訳ー・・・・とあとここと、ここの意味も」





英文をなぞった後に、ちらりと上目使いで彼を見る。
実は整ってるんだよねー・・・・小暮君・・・・。
一回眼鏡をきゅっきゅとふいてるところを見たことがあったけど、きれいな顔ですごくびっくりした。
眼鏡ってこんなにも人の印象を変えるものなのかと改めて思ったっけ。




優しいし、勉強できるし、きっとあたしにはこーゆー人があっているんじゃないかな・・・・・・・・・







「・・・・・・・っいったい!!!!!!!!」




あたしの珍しく発動した乙女フィルターが
右足に重なったでかい靴によって粉砕された。




「何すんの!!足!踏んでる!!!」

「勉強しろ」



こっちを睨むようにして流川君が言った。




「してるし!!」


「してなかった」

「うっさい口出ししてくんな!キツネー」

「む」




「おお!さんさすが!」



キツネというワードにすかさず流川君組(流川君の先生は晴子ちゃんだから晴子ちゃんの横)の花道君が身をのりだしてくる。
そんな彼にあたしも身を乗り出して親指を立てる。



「花道君!もちろんだよ!こんな美形黙らせてやろうぜ!」



「・・・・・・・・・・・・・・」

「る、流川君・・・・・手、止まってるよ?」

「は、晴子さん!!」



彼の顔を覗き込むようにして困った表情を浮かべる晴子ちゃんは

少しだけ頬を赤くさせていて










「あべし!見るんじゃないフラワーロード!!傷つくだけだ・・・・・・・・・!」




かわいすぎて花道君が不憫だった。







「だっからオメェーらはうっせーんだよ!!!!!!!!!!真面目に勉強しろ!!!!!!!」

「ミッチーーー!!!」

「三井!!!」





呆れた様子であたしたちを見る、三井は短い溜息をつく。




「ったく俺らだけ別室いこーぜ」

「おい、コラエロヤンキーが。何さりげなく秘密の個別指導望んでんだコラ。あー呆れたみたいな顔しやがって。お前のその発言に呆れるわ!!」

「ちげーよ、俺が指導する側になるから」

「下ネタじゃねーか!!!!!」

「あん!?やんのかコラ」

「暴力反対!」

「いざとなったら俺が戦いますよさん!」









「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」





ああ、花道君あなたやっぱりいい子!
と思ったらくいくいと服を引っ張られていることに気がついた。







「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「いや、いかないよ!?あたしたちは行かない!!おいエロヤンキーお前のせいで、早くも無垢な後輩に悪い影響が出始めているじゃないか!!!」



「流川、TPOだ。それをわきまえろ。」

「おめぇーーーーだよっ!!!!」

「お前らぁああいい加減にせんかぁああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーー」













「・・・・・すいませっん・・・・・・・・・・・」











こんな感じで怒られながらも真面目に勉強会がはじまった。




さすがに3日もたてば、みんな集中して勉強しだすもので









あたしはしっかりと小暮先生のお世話になっていた。
すごく分かりやすくて、すいすい頭に入ってくるような気がして、
結構真面目に話を聞いていたのに








「ここの訳がこのthat以下の・・・・・・・・・・・・・おぉ?」








「おーおー・・・・・おさかんなことー」





向かいの三井がにやりと笑う。









「・・・・・・・・・流川君?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」










あたしと小暮君の後ろにのっそりと立つ流川君。










「君、自分の勉強は。」

「飽きた。」

「晴子ちゃん困ってるよ・・・・・」

「しらん」




「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ、もう・・・・・・」








こいつは・・・・・
溜息しかでない


「席に戻って」

「・・・・・・・・」

「流川君?」

「便所」

「ああ、そう、いってらっしゃい」

「・・・・・・オメェーもだ」

「つれしょんかい・・・・・・・・」



「ごめんね、小暮君」と軽く頭を下げると彼はやっぱりにこりと笑ってくれた。

「いいよ、ずいぶん進んだし休憩ってことにしようか」







あああ、やっぱり優しい小暮君。
笑顔につられてあたしも笑ってしまった。


その
2秒後くらいに頭をひっぱたかれて現実にカムバックしたけど。



のろのろと会議室をあとにしようとしたとき、



、こっちおいで」


という声。




「?」


と三井が手招きしていた。




「何さ、二人して・・・・・・」








呼ばれるままについていくと

そっと耳打ちされる。



その内容に



「ぇえええええええええええええええええええええええええええええええええええむりむりむりむりむりむりむりむりむり」






あたしは奇声をあげた。








「無理じゃない、つーか今の状況を打破するにはこれしかない」

「大体もう両想いなんだろ!ちゃんとお前も好きならそれくらいしてやれ!」

「ちょ、なんで三井がしっている!?」

「ああ、まぁ、ほら、風のうわさ?」

「いや、じゃん!一兆パーセントが言ったんじゃん!」

「いや・・・・ほら、あたしもなんか風のうわさで聞いただけだから・・・・・」

「あたしは風か」







なんだこいつらめちゃくちゃいいやがって



まだ言い足りないのに、流川君があたしの頭をぐわしと掴んで歩き出す。
のろのろなのに、大股だからあたしは小走りで引きずられていった。








二人に言われたことを実行できる自信はないけれど、少し頑張ってみようと思う



意気込んで彼をちらりと見上げた。







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久しぶりの更新なのに、なんか中途半端です。

だって長くなっちゃうのだもの。みつお

すいません、いつもちゃんと更新できないから切れのいいところまでは
なるべく早くあっぷできるように頑張ります
^^



ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。