「綱吉のバカァアアアーーーーーー!!!脳みそつるつるてんの空っぽ頭ぁあああーーーーーー!!!!」





「ちょ、!!!まって!!待てって!!!」







呼び止める綱吉の声を背にあたしは全力で廊下を駆け抜けた。



あのダメツナがあたしにおいつくことができるわけもなく、


あたしは彼を振り切った。





校舎を出て、体育館裏あたり。

頬を汗が伝う。
首筋にも汗がじっとりと滲んでいて体中が気持ち悪い。




そもそもなんであたしが全力疾走しなければならなかったか。








そんなの決まってる。










「あんの・・・・・五分分けダイナマイトやろぉぉおおおおおおおおおーーーー!!!!!!!!」







綱吉の




彼女の



あたしを差し置いて





あの五分野郎が




常に隣にいて








正直うざいですってこと。












つーかそれが原因です。









今朝も一緒に登校したいがために、わざわざ遠回りして綱吉の家まで行ったのに




玄関のチャイムを押す前にドアが開いて



中から出てきたのは




綱吉



「綱吉おは・・・・」

















「いやーやっぱ十代目はすごいっすよ!俺尊敬しちゃいます!!」





五分わけ。




「そんなことないってば・・・・あ、!?」


は?
なぜだ。
なんで沢田家からの登校だ。

しかも!!

あ、とか。

今気づいたんですか。
そんなに男とのおしゃべりが楽しかったんですか。

ッチと思いつつもここはあたしも大人な対応を見せてやろうとにっこり笑う。



「おはよう綱吉。」

「おはよう・・・え!?なんでここに!?だっての家って全然こっちじゃないよね!?」

「えー・・・あ、うん。一緒に、登校しようかなって・・・思って・・・・。」



なんだかちょっと照れくさくて俯き気味に言う。
今まで女の子らしさとか、それこそ彼氏とかは自分に無縁だと思っていたし、
一緒に登校したい?は?意味分かんないし。一人最高。みたいなあたしが朝早く起きて
綱吉の驚く顔と・・・喜ぶ顔が見たくて家を出たわけで。
チラリと綱吉に視線だけを移せば彼は頬を紅潮させていた。


ここまではいい感じ。



でも次に口を開いたのはあたしでも綱吉でもなくて



「十代目を迎えに!?テメェー何様だコラァアーー!!」




眉間にしわを寄せてあたしにメンチを切るのは獄寺だった。








・・・・・・・・・・・・・・・いや













テメェーが何さまだコラァアアーーーー!!!!!!!!!!!











さすがのあたしも怒りますでしょ。
怒りますよ。


「あぁ!?彼女ですよ。彼女様ですよ!むしろお前は誰なんだよ!何なんだよ!!!五分わけがぁあ!!!」

負けじとあたしもメンチを切り返して彼に一歩近づく。


「あ?俺は十代目の右腕なんだよ!!いい加減わかりやがれ!!」

「はぁー!?右腕!?オメーなんて魚の目以下なんだよゴブが!!っていうか何で今日に限ってあんた・・・・朝一緒なの!泊ってんの!せっかっく二人で登校しようとおもってわざわざきたのにぃいいーーーー!!!!」

「へっ、お前みたいな危ない女と十代目を二人きりにさせるわけねーだろうが!!この暴力女が!!」






暴力女。





これは獄寺があたしを綱吉から遠ざけたがる原因でもある。
昔は獄寺だってあたしに対してこんなんじゃなかった。むしろ「じゃあ姉さんですね!」みたいな感じで懐いてるぐらいの勢いだったのに。
それは本当に偶然がかなさって重なって重なりまくってしまったせい。



ある時、教室であたしが一人居残りをしてた時。
委員会の用事もやっと終えて教室を出ようと席を立つと携帯が鳴った。
ディスプレイには綱吉と表示されていてあたしは心躍る思いですぐに通話ボタンを押す。
電話越しに聞こえてくる綱吉の声。
一人だから余計に口元がゆるんでいたと思う。


『もしもし!!今どこ?』

「んー学校。教室にいるけど。」

『やっぱり!ちょうど良かったー!!』

「何ー忘れ物ー?」

『うん。そんで今急いで学校向かってるから・・・・ついでに・・・一緒に、帰らない?』

「・・・・うん、わかった!じゃあ待ってるね。」




電話を切った後も、もちろん頬は緩みっぱなしで
はやる気持ちを抑えきれないでいた。
それはあたしがどれだけ綱吉を好きなのかっていうのを表していると思う。
うん。
そそっかしいし、ダメダメでかっこ悪いけど
優しかったり、笑顔可愛かったり、いざというときはちゃんと的を得たことを言える人で

いつからだったんだろう。

ダメツナから一人の男の子に見えるようになったのは。
思い返すのも楽しくてうれしくなるくらいで。

早くこないかなー


髪の毛変じゃないかな

前髪を鏡で整えてみたり。


時間をつぶしているうちにどたばたとあわただしい足音が聞こえてくる。
それが綱吉の足音と理解するのにそう時間はかからなかった。




!!またせてごめぇあぁあ!!!」




「ちょ!綱吉危ない!!!」



やっぱりドジな綱吉は自分の足に躓いて前のめりになる。
それに気づいてあたしも全力で綱吉に駆け寄って手を伸ばすも



「おぁあああ!!!」



あたしもドジでした。




ずんのめったあたしは、綱吉の顔面に奇跡的に正拳突きをくらわせ、
奇跡的にそれによろめいた綱吉の後頭部に肘鉄を食らわせた上で、
ボディープレスでフィニッシュ。



もちろん




わざとじゃないんです。





急いで起き上がって、
彼を仰向けにさせる。







「つ、つな・・・・つなよし・・・・・・・・・・??」

「・・・・・・・・・・・・」




恐る恐る声をかけるも返事がない。
完全に伸びちゃってます。
ああああああ、どうしようどうしよう。
きょろきょろしていた時
一番出会ってはいけない人と
目が合う。








「じゅ、十代目・・・・・・・・・・・・!!!!!」











この日から

あたしは彼ににらみをきかされ、
二人きりになる機会を微塵なものにされてしまった。

まぁドジというか、ある意味で神が降臨してしまったあたしがわるいんだけど。






綱吉に相談しても「まぁ獄寺君にも悪気があるわけじゃないんだし・・・・ね?」なんて彼のかたを持つばっかりであたしの話なんて聞いてくれなくて





そんな日がずっと続いていた。







もうね
あたしの心は
限界だったんだよ。
うん。







「綱吉!!!」

「ど、どうしたの・・・」



いつもどおり食事をとっていた時、あたしがバンと机を叩いて前のめりみなると、
山本、獄寺、そして綱吉が目を丸くしてこっちを見る。


「今日うちに遊びに来ない!!?もちろん獄寺なしで。カットで。」




「はぁ!?」

「ぁあ!?」

「へぇーなかなか大胆なこと言うじゃねーか。誘われてるぜ、ツナ!」


山本がにやにやと笑いながら綱吉を突っつくと、
綱吉よりも先に返答したのはKY五分わけ。

「だめだ!!」

「ちょ、お前が答えんな!」

「うるせぇ!だめなもんはだめなんだよ!!」


へっと口を曲げてあたしを睨む獄寺、
それを8倍ぐらいの形相でにらみ返すあたし
いつもどおりにやにやであたしたちのやりとりを見る山本、
そしてそれをなだめるように「まぁまぁ」と苦笑いする綱吉。



いつもの光景なのが悔しい・・・・・・・!
でも今日は負けない!
何が何でも綱吉と二人で遊ぶ。
こんな男に負けてたまるかこの野郎!!!



「獄寺。」

「ぁあ?」

「今日は身を引け。綱吉はお前のボスである前にあたしの恋人だ。だから任せろ!!」

「それはできねぇな。お前みてぇーなあぶねぇ女に十代目を任せられるか!!」

「テメェーの方がよっぽどあぶねーよ!ホモ男がぁあーーー!!!いい加減綱吉に付きまとうのやめてよ!!!」

「あぁ!?んだよ!!!やんのかコラァ!!!」

「あああ?やるんならやるけど!?」

「ちょっと!二人とも!!やめろって!!」

「十代目!でもこの暴力女が・・・・!」


綱吉が獄寺のシャツをつかんで止める。
こんな時でも獄寺?
声をかけるのはあたしじゃないの?


なんでよ


やめてよ、
やめてよ


やめてよ









「本気でうざい!!!!!!!!!!消えろっ!!!!!!!!!」






クラスがしんと静間にかえった。
あたしの大きな声だけが教室にこだましてるみたいで
普段はすぐに言い返してくる獄寺もびっくりした様子で何も言い返してこない。
というか
あたし自身もびっくりしてます。





。」





「・・・っ、つ、綱吉・・・・・。」



聞いたこともない綱吉の低い声があたしをびくつかせた。



「言いすぎだよ。獄寺君に謝れって。」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」

。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」

!!!」




あたしの中で





何かが爆発した




「綱吉のバカァアアアーーーーーー!!!脳みそつるつるてんの空っぽ頭ぁあああーーーーーー!!!!」
















あああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーー











そして今に至る。
うん。
今更ながら
あたしが悪いのかもしれない。

・・・・・・・・・あたしも悪いのかもしれない。

はぁっと短い溜息をついてその場にしゃがみこんだ。

もしかしたら
別れちゃうのかもしれない。
あたしたちはこれで終わってしまうのかもしれない。
そう考えただけで涙が出てきた。

とりあえず気を落ち着かせようとそのあたりに生えている草をむしってみるもなんの効果もなく、
あたしの眼からはボロボロボロボロとめどなく涙があふれてくるばかり。

今思うとあんなに綱吉を慕っているといえる人は今までいなかったと思う。
綱吉にとって大切なやつなんだ。
わかってる。
だから、だからこそいやなんだ。

自分の居場所を奪われたみたいなそんな気持ちでいっぱいだった。








・・・・・」






そっと肩に触れた手。
あたしは気づいていながら振り返ることができないでいた。


もう一度「?」と聞かれてポンポンと肩をたたかれる。

気づいてるよ。
でも、今は振り向けない。


あたしはふぅーっと長い息を吐いてから両手でごしごしと涙をぬぐって立ち上がる。
背は向けたまま。



「ごめんね。」

・・・。」

「いやーほんとにごめん!最近体調悪くてイライラしてたみたい。うん!後でちゃんと獄寺に謝っとくからさ!うん!ごめん!ほんとごめん!」

、俺・・・・」




「別れるなんて言わないで!!」



木々が揺れる。
自分でもびっくりするぐらい大きな声は、あたしが本当に必至でしょうがないんだと思った。
こんなことで別れたくない。
別れたくなんてない。
さっきたくさんこすった眼からはまた涙があふれてきた。




「い、言わないよ!!!それは、考えてもなかったし・・・それに・・・」

「・・・それ、に?」





「俺、、のこと・・・す、好きだし・・・・・・・・・・・・」









「・・・・・・・・・あ、ありがとうございます・・・・。」

「・・・・・いえいえ・・・・。」




「俺さ、もちろん獄寺君は大事な友達って思ってる。まぁ獄寺君は俺のこと友達って思ってるかどうかはわかんないけど・・・・」

「・・・うん。」


わかってるよ。
あたしは小さくうなずく。


「でも、は、もっと違う意味で大事、な人で・・・・大事にしたいって思ってて・・・・・・・・。」

「・・・・・・。」

「だからどっちのほうが大事とかそういうんじゃなくて・・・・・あ〜なんて言えばいいのかわかんないんだけど・・・・」


「ちゃんと大事に思ってるから、のこと。だから、えっと・・・・・・」



「綱吉っ!!!!」





言葉に詰まる綱吉の胸に飛び込んだ。
こんなことするのは死ぬほど恥ずかしいけど
ぐしゃぐしゃの泣き顔を見られるよりましだと思った。
ぎゅっと綱吉のシャツをつかむと
はじめは、しばらくあたふたとしていた綱吉の手もあたしの背中をポンポンと優しくたたいてくれる。





「情けないけどね、」

「うん。」

「獄寺に嫉妬してました・・・・・・・。」

「はぁ?」

「・・・・・だっていつも一緒だし、あたしのことなんてどうでもよくなったのかとね、思った。」

「・・・・はぁ・・・・」

「でも、今こうやってあたしのところに来てくれて、嬉です。」

「・・・・友達は獄寺君を含めて何人もいるけど、」







「彼女は、、だけ、だから・・・・・・・・・」












普段の綱吉からは聞けない言葉を今日一日でたくさん聞けたので


あのムカつくセンター分けに頭を下げてやってもいいと


心から思えた。





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ヨウ様!!!
こんなになっちゃって申し訳ない(笑)
骸かけないや!!頑張ったけどなんか知らんが綱になりました!
無駄にながいし!!

とにもかくにもここまで読んでくださって本当にありがとうございました!!!!